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2016年7月号

  • 処方箋1枚調剤は12分前後、薬剤師配置基準に「合致」‐厚労科研で薬局の実態調査

    情報提供元:薬事日報社

    院外処方箋1枚の調剤に要する薬局薬剤師の業務時間は平均12分前後に達することが、厚生労働科学研究班「薬局・薬剤師の業務実態の把握とそのあり方に関する調査研究」が2015年度に実施した薬局のタイムスタディ調査で明らかになった。省令で1日平均40枚の院外処方箋に対して薬局に薬剤師を1人配置することが求められているが、調査結果はその現状に「概ね合致している」と分析。今後は「対人業務にシフトする中で、1処方箋あたりの時間が増えるのか減るのか、薬剤師の業務の見直し等の中で引き続き検討すべき」としている。

     

    □タイムスタディ調査は、薬剤師数などに偏りが生じないよう調査対象薬局を選定し、薬局の特徴や地域の違いを配慮した上で愛知県、東京都、兵庫県、富山県など全国の10薬局を対象に実施した。院外処方箋の受付やお薬手帳の確認、ジェネリック薬の希望確認、薬袋の準備や記入、薬歴確認、処方箋監査、医師への疑義照会、計数調剤や計量調剤、監査、薬剤交付、服薬指導までの一連の調剤業務に薬剤師が費やした時間を調べた。

     

    □調査日1日における院外処方箋1枚の調剤に要した薬剤師の業務時間は、神奈川県座間市のA薬局(薬剤師3人、事務職員1人)では平均9分50秒、愛知県尾張市のB薬局(同4人、2人)では平均14分34秒などとなっていた。10薬局のうち9分台は1薬局、10分台は3薬局、12分台は4薬局、13分台は1薬局、14分台は1薬局だった。

     

    □研究班は報告書で、この結果は「1薬局40枚で1薬剤師が必要としている現状に概ね合致している」と言及。「ただし、12分を超える場合には8時間を超えてしまうこと、さらに今後、対人業務にシフトする中で、1処方箋あたりの時間が増えるのか減るのか、さらに薬剤師の業務の見直し等の中で、引き続き検討すべき」としている。

     

    □研究班はこのほか、調剤業務だけでなく、管理業務を含めた薬局における業務全体のタイムスタディ調査も実施した。薬局・薬剤師の1日の業務量のうち医療用医薬品の調剤業務が最も多く、6割前後を占める薬局が多かった。一方、面分業の薬局や処方箋集中率の低い薬局では、在宅業務やその他の業務の割合が増え、調剤業務は4割前後となっていた。
    昨秋厚生労働省が公表した「患者のための薬局ビジョン」では、患者が医薬分業のメリットを実感できる対人業務へのシフトを図ることが強調されたほか、「薬局におけるタイムスタディ調査を実施し、調剤技術の進展、機械化の状況など、最新の状況に応じた薬剤師業務の実態を把握する」ことが示された。今回の調査はその提言を受けて実施されたもの。

     

    □研究班は「今後の薬局・薬剤師の適正業務を把握するためには、対人業務や残薬対応等での業務量の増加の割合と、これまでの調剤業務で減少できる業務について明確に把握できるよう、継続的なタイムスタディ調査等の実施が必要」としている。

  • 地域包括ケア、病院薬剤師の役割検討‐同時改定のデータ収集も必要

    情報提供元:薬事日報社

    □日本病院薬剤師会は18日、通常総会を開き、2月の臨時総会で次期会長候補者に選出されていた木平健治副会長を新会長に選任した。木平新会長は、総会終了後の会見で、地域医療への取り組みの重要性を強調。2025年をメドに構築される地域包括ケアシステムの中で、病院薬剤師としてどう活躍できるかについて、早急に検討したい考えを示した。また、「他団体との関係構築も進め、病院薬剤師の存在を訴えていきたい」とし、日本薬剤師会だけでなく、複数の病院関係団体などとも緊密に連携していく方向性も示した。

     

    □木平氏は、これからの病院薬剤師を考える上で、地域医療が重要なテーマになると指摘。キーワードとして、地域包括ケアシステムや地域包括ケア病棟、療養病棟などを挙げ、「この辺りで薬剤師がどう活躍できるかについて、川上純一副会長を中心に考えたい」とし、病院薬剤師が地域の中で「力を発揮でき、それに対する評価も得られるようなシステムを構築したい」との考えを示した。

     

    □また、この日の通常総会で新たに副会長に選任された、土屋文人、松原和夫、賀勢泰子(新任)、川上純一(新任)、林昌洋(新任)の5氏について、「強力な体制が組めていると思っている。互いに力を合わせていけば、様々な局面が打開できる。それぞれの得意分野で力を発揮してもらいたい」と語った。

     

    □18年度には、診療報酬と介護報酬の同時改定が控えていることを踏まえ、「相当、本腰を入れていろいろなデータをとっていく必要がある」と強調。「副会長、理事と心を一つにして病院薬剤師の将来が明るくなるよう頑張りたい」と抱負を述べた。