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2017年2月号

次期改定の議論、第1弾は在宅‐支払側「ICTの活用を」診療側「医療は対面が原則」

◇中央社会保険医療協議会は11日の総会で、2018年度診療報酬改定に向けた議論をスタートさせ、第1弾として「在宅医療」を取り上げた。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、厚生労働省が提示した資料で、訪問診療対象患者のうち、健康相談や血圧・脈拍の測定、服薬援助・管理のみだったケースが46%を占めていたことについて言及。

 

◇これらの行為について、「医師が出向いて診る必要があるのか」とし、医療資源が限られる中、「薬局や訪問看護ステーションなどに任せるという対応をとれば、負担軽減につながる。こうした人たちの管理をどうしていくかという議論も今後、必要になる」と述べた。幸野氏は、医療分野におけるICT化が進んでいる現状を踏まえ、スマートフォンなどを活用した遠隔的な診療のあり方についても言及。「25年には患者と医師との関わりも変わってくる。それを踏まえた在宅医療のあり方を検討していく必要がある」と提案した。
診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「ICTがいくら発達しても医療は対面が原則。ICTは補完にすぎない」と反発。
幸野氏は、「抗癌剤を使っている患者をICTでなどは考えていない」としつつも、限られた医療資源を有効に活用するため、「生活習慣病で症状が安定している患者については、コメディカル、薬剤師がもっと力を発揮して服薬管理することで対応できる」と主張。中川氏は、患者の病態が安定しているかどうかは「かかりつけ医が判断すること」とし、折り合わなかった。

 

◇厚労省がこの日の会議に提示した資料では、薬局による「居宅療養管理指導」(介護保険)や、「在宅患者訪問薬剤管理指導料」(医療保険)の算定回数が伸びており、算定薬局数が増加していること、在宅患者訪問薬剤管理指導を実施している薬局のうち、年間算定回数が10回以上の薬局が約6割に上っているなどのデータが示され、全体として薬剤師による在宅での薬剤管理が進んでいることが明らかとなった。
診療側の安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)は、これらのデータについて、「在宅医療で先進的な取り組みをしてきた薬局・薬剤師が下支えをしてきた部分がある」と分析。
今後は、「地域包括ケアの推進と共に、かかりつけ薬剤師・薬局がより積極的に在宅医療に取り組めるような形で進めていく必要があり、その方向で議論を進めていきたい」と述べた。

ポリファーマシー解消は指標‐適正使用のエビデンス構築を‐

◇厚生労働省薬剤管理官の中山智紀氏は、「どれだけ目に見えて効果を示せるかが重要」とし、2016年度調剤報酬改正を踏まえ薬剤師業務が検証されることを改めて強調すると共に、「ポリファーマシーの解消は分かりやすい指標になる。ただ、あくまでも減らすことが第一ではない」とし、薬剤師による適正使用の具体的なエビデンス構築を求めた。さらに、「評価する仕組み作りはわれわれの仕事であり、データ、エビデンス作りに取り組んでもらいたい」と薬剤師職能の観点からの評価作りにも積極的な姿勢を示した。15日に横浜市内で開かれた第15回かながわ薬剤師学術大会で述べた。

 

◇大会では、ポリファーマシーを焦点にした矢吹拓氏(栃木医療センター内科医長)の特別講演、シンポジウム「ポリファーマシーへの取り組み」が行われた。また、一般口演でも残薬調整に向けた三浦半島地域での「ネイビーバック」プロジェクトの状況など関連話題のほか、リハ・ケア病棟での病棟薬剤師常駐化への試行など病院薬剤師のさらなる業務展開に向けた取り組みなどが紹介された。シンポジウムではけいゆう病院での「薬剤総合評価調整加算」等を介したポリファーマシー回避に向けた業務展開、大島薬局での薬物療法適正化への各取り組み状況、さらに中山氏による薬剤師への期待が述べられたのを踏まえ、フロアを交えた多角的な視点からの討議が行われた。その中で中山氏は、高額薬剤の緊急薬価改定、薬価の毎年改定、最適使用ガイドラインなど直近の薬価・薬剤問題に触れ、「医療費財政が厳しい中で、薬価のみならず調剤にも同様の目が向けられていくものとの覚悟が必要」と述べた。また、16年度の調剤報酬改正に至る各種報告書等の概要を示した上で、「かかりつけ薬剤師の評価を含め、『患者本位の医薬分業でできること』ができているかが、この1年で検証されることになる」とした。

 

◇質疑では、新設の薬剤総合評価調整管理料などの評価のあり方をめぐり「財政的評価のみが正しい評価だとは思わない。適正化ということだと思う。ぜひ適切な評価項目を挙げてもらいたい。合理的な回答ができるかにかかっており、きちんと説明できることが重要」とし、薬剤師による適正使用推進に対するエビデンス構築が必須であることを示唆した。特に「減薬」への点数評価に関しては、「あくまでも減らすことが第一ではない。いわばポリファーマシーに取り組むための誘導というか、期待があると思う」と述べた。また経済的評価の一方で医療的側面からの評価を求める意見に対しては、評価の仕組み作りに薬剤師職能、機能が評価し得る、データやエビデンス構築の重要性を指摘、合わせて現場からの具体的提案を踏まえ、相互に検討していくとの姿勢など改めて強調した。

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