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2017年4月号

  • 健サポ薬局の支援・育成を‐全国の自治体に要請(セルフメディケーション推進協議会)

    情報提供元:薬事日報社

    セルフメディケーション推進協議会(SMAC)は、現時点で健康サポート薬局が全国で約150軒程度しか届け出がないこと、地域包括ケアの進展に難題が多くあるなどの懸念から、これら制度の普及・進展を図るため、[1]住民対象の教育の構築[2]地域包括ケアにおける薬局の健康サポート機能の向上――の2点に取り組むことを、全国の自治体の行政担当者に昨年12月、協力を要請したことを明らかにした。現在のところ、まだ具体的な反応はないという。
    SMACでは、「健康サポート薬局」は顧客の体の不調・不具合に対応して改善や予防に役立つ医薬品や関連製品の販売提供により、住民のセルフメディケーションを支援する構想と位置づけている。また、全国に展開する薬局・薬店(店舗販売業)は約7万軒と推定されるが、健康サポート薬局構想を実現するためには、薬局・薬剤師の研鑽・努力が基本であるものの、地方自治体や住民の理解・協力が欠かせないことから、今回の要請につながったもの。
    [1]の趣旨は、「健康維持、疾患予防は国民の願望であり本人への利益につながる。セルフメディケーションはそれを具現化する基本手段であり、国民、地域に居住する住民自身が主体となって参加すること」としている。事業主体は自治体で、対象は国民健康保険の加入者。年に2回程度、180分程度の健康教育講習会を実施するというもの。
    [2]の趣旨は、「健康サポートは地域包括ケアの一翼を担う重要な機能で、薬局・薬剤師の努力が必要であるが、自治体における多職種との連携、調整を支援する」ことが趣旨。自治体や地域薬剤師会、地域内で営業する薬局・店舗販売業を事業実施者とし、▽地域環境に適応した健康サポート薬局の整備▽地域(中学校区を目安とする)に適応する薬局の設置を目的として地位、機能を検討し、モデル薬局を試行する▽モデル薬局または候補薬局において住民対象の講習会の講師、健康相談を引き受けることを通じて、効果を検討していく▽月1回程度の報告会により事業進行をチェック、報告をまとめる――などを提案している。

  • 電子カルテデータ提供開始へ‐大学や製薬会社の研究者に‐HCEI

    情報提供元:薬事日報社

    全国130の医療機関から収集
    ■国内で電子カルテのデータベース構築を進めている一般社団法人「健康・医療・教育情報評価推進機構」(HCEI)は、2017年度から本格的にデータセットの提供を開始する。現在、全国の約130医療機関と契約を結んでデータを収集しており、このうちクリーニングを終えた25医療機関約450万人分のデータが二次利用可能な状態になっている。今後、大学や製薬会社などの研究機関に所属する研究者を対象に公募を行い、倫理審査委員会の審議を経て提供先を決定する予定だ。

     

    ■電子カルテデータなど医療の実態を反映したリアルワールドデータ(RWD)は、製薬会社のマーケティングや製造販売後調査、臨床開発、アカデミアの医学研究など様々な目的で活用できるとして、関係者から注目を集めている。

     

    ■HCEIは15年に川上浩司氏(京都大学大学院医学研究科薬剤疫学教授)らが立ち上げたもの。同年に発足したリアルワールドデータ(本社京都市)に必要な実務を委託し、契約を結んだ全国の医療機関から、匿名加工した電子カルテデータとレセプトデータを収集している。
    既に約130医療機関からデータ提供の合意を取りつけた。1000床以上の病院が複数含まれるほか、各地の多様な病院や大規模診療所からデータを収集。データ提供先の規模やエリアは、ほどよくばらついているため、データの偏りが小さいことが特徴だ。

     

    ■収集した電子カルテデータは、クリーニングを経て統合している。電子カルテの構造は標準化されておらずメーカーによって異なる上、同じメーカーでも個々の病院の要望に応じてカスタマイズされ、違いがある。
    そのため検査値ひとつとっても表記や単位、識別コードなどは病院によって様々だ。その違いをチェックして統一した様式に変換する作業が必要になる。現時点で25病院、約450万人分のクリーニングを終え、二次利用可能な状態になっている。
    既に製薬会社や大学への試行的な提供を実施しており、17年度からその利用希望受付を拡大。本格的なデータセットの提供を開始する。18年春ごろには少なくとも130医療機関1400万人以上のデータベースになる見通しだ。
    データ提供先の医療機関には、経営に役立つ指標や医療の質向上に役立つ指標を、それぞれの要望に応じて無料で解析したレポートを提供している。電子カルテデータの収集には金銭的な授受は生じないが、そのレポートが、医療機関がデータを提供する動機のひとつになる。

     

    ■製薬会社は近年、製造販売後調査における電子カルテデータベースの活用に注目している。
    国は、MRが医師から調査票を回収する既存の方法に加え、電子カルテなどRWDの解析結果を製販後調査に活用することを認める方針。現在、それに向けたGPSP省令の改定作業が進行中だ。国内ではほかにも、国が中心になって10拠点23病院、300万人台の電子カルテデータを集積する「MID-NET」の構築が18年度の本格稼働を目指して進んでいる。