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2018年10月号

  • 20年度改定へエビデンス構築‐ 田宮薬剤管理官、在宅や減薬処方提案など要望

    厚生労働省保険局医療課の田宮憲一薬剤管理官は14日、専門紙の共同取材に応じ、2020年度診療報酬改定に向けて、訪問薬剤管理指導の充実や、ポリファーマシー対策に向けた減薬の処方提案、医療機関と連携してきめ細かい副作用フォローアップなどに積極的に取り組むと共に、それらが「医療の質向上につながるというエビデンスを出してもらいたい」とした。
    田宮氏は、旧医薬食品局総務課時代に「患者のための薬局ビジョン」策定に関わった経験を踏まえ、「薬剤師・薬局として地域包括ケアシステムの中で、しっかりと役割を担えているのかということを考えてもらいたい」と強調。「国民や患者からそういう薬剤師の姿が見えないから、指摘を受けていると思っている」との認識を示した。

    また、薬局ビジョンに盛り込まれている、在宅対応や、いつでも気軽に薬のことを相談できる体制整備、OTC薬も含めた服薬情報を一元的に把握することの重要性を指摘し、「訪問薬剤管理指導を充実させていかなければならないし、ポリファーマシーの問題があるので、減薬の処方提案がしっかりできるような薬剤師・薬局が増えてほしい」と要望。
    また、病院薬剤師と連携し、抗癌剤など副作用のフォローアップが必要な患者に対して、「医療機関と連携しながら、きめ細かく対応する薬剤師・薬局が増えてほしい」と述べた。
    田宮氏は、「薬剤師・薬局がそういうことに取り組むことで、医療の質向上につながるんだというエビデンスをしっかり出してもらいたい」と強調。そのためには、患者一人ひとりに寄り添った対応をした上で、「薬科大学や薬学部、病院薬剤師などと連携して研究を行い、データやエビデンスを示してもらいたい」と注文をつけた。

    一方、18年度改定で敷地内薬局向けに新設した「特別調剤基本料」(10点)について、「影響がどうなるのかしっかり見たい」との考えを示した。
    薬局ビジョンでは、立地にかかわらず、かかりつけ薬剤師・薬局の機能を25年までに全ての薬局が目指すとされているが、田宮氏は「個人的には敷地内にある薬局が地域でかかりつけ機能をしっかり果たせるのかというのはかなり疑問」との認識を示した。

  • 金沢大病院と薬局が連携‐薬局薬剤師が病棟業務を体験

    金沢大学病院薬剤部と地域の薬局が連携し、薬局薬剤師が病棟での薬剤管理業務を学んでもらう取り組みが始まった。薬局の薬剤師が高度急性期病院で入院から退院までの患者の動きを把握すると共に、病棟業務を通して多職種とどう関わるかを実際に体験してもらい、薬局での業務に生かすことが狙いだ。産学官連携で地域医療を支える新たな薬局モデルを構築することを目的とした「アポテカプロジェクト」活動の一環で、てまり薬局の安田圭子氏と小林瞳氏が「人工股関節置換術」で入院している患者の薬剤管理や他職種連携、外来化学療法に関連した業務などを学んだ。

    4年制課程を卒業した薬剤師は、実務実習を経験していないため、病院の薬剤管理業務を知る機会がほとんどないのが実情だ。また、6年制薬剤師でも、病院での実習を経験しているものの、大学病院での実習を経験したことがない薬剤師もいる。
    今回の取り組みは、薬局薬剤師が金沢大学病院での見学を通して高度急性期病院での業務の特徴や、入院から退院までの流れを知り、病院薬剤部の薬剤師と顔の見える関係になることにより、地域の薬局が果たす役割を広げることを目的としている。
    てまり薬局では、金沢大病院からの処方箋も受けているため、安田氏は、「何か疑義が生じて問い合わせたい時などに、お互いの顔を知っていると話がしやすい。顔が見える関係になっておくことは大事」と語る。

    見学を終えた小林氏は、「患者さんに処方の変更があった場合などに、症状がどう変化したのかをすぐに確認できたり、すぐにドクターに相談できるのはメリットと感じた」と語った。 また、薬剤師として働き始めて「日が浅い」こともあり、これまで関われていなかった「注射薬の払い出しを実際に見学できてよかった」と話す。
    安田氏は、医師に処方変更や、看護師に症状の変化を「すぐに確認できて、その場で即座に対応できるのは病院の強み。その点は薬局と違うなと感じた」としつつも、薬局では1週間、1カ月後に来た患者に対し、「その間の様子や生活のことを聞き取ったり、薬が効いているか、副作用はないかなど、気になることは確認する」ことから、「スパンは異なるが、(薬局も病院も)やっていることの根本は同じだと思った」との印象を語った。
    薬局でも、調剤業務だけでなく、在宅などに取り組んでいると、多職種と関わらなければならないため、「(病院薬剤師も薬局薬剤師も)目指すところは同じ。それをお互いが知ることで、地域で薬剤師が果たす役割は広がっていくのでは」と述べた。

    安田氏は今後、薬局の薬剤師が同病院の診療従事者として登録し、「見学だけでなく、薬剤部の薬剤師と一緒に働けるようになり、できれば、1人の患者さんの入院から退院までの様子をみることができたらいい」と話す。
    一方、大学病院の薬剤師にとって、退院した患者が地域の薬局でどう管理され、地域とどう交流しているかを知ることも大事だ。
    同病院薬剤部長の崔吉道氏は、「病院と薬局が協働して地域医療を支えていかなければならない」とし、今後は、病院薬剤師と薬局薬剤師が相互に交流し、「足りない知識や技能を補い合う」ような取り組みも考えているという。
    住宅型有料老人ホーム、訪問介護事業所などを運営し、福祉事業も展開するてまり薬局では、薬剤師が多職種と顔の見える関係を構築している。中でも、在宅に積極的に取り組む店舗では、医師の同行訪問を通して、看護師とも密に連携しており、病院薬剤師が地域のチーム医療を体験できる環境が整っている。
    また、定期的に実施している地域住民を対象としたイベントでは、健康測定を行ったり、「お薬教室」を開くこともあり、病院薬剤師が地域との関わりを知るには良い機会だ。
    崔氏は、「病院薬剤師、薬局薬剤師などと言っていては、地域完結型の医療は実現できない」と語った。