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2018年12月号

  • 地域包括ケアシステムの中で「薬局・薬剤師の見える化を」‐ 吉田医政局長が講演

    第12回日本薬局学会学術総会

    ■厚生労働省の吉田学医政局長は名古屋市で開催された第12回日本薬局学会学術総会で「『地域包括ケアシステム』を構築し『2040年の社会保障』を展望する」について講演。その中で、トータルとして地域包括ケアの理念の中における薬剤師、薬局は何かということを見える化していくことが必要との考えを示した。

     

    ■吉田氏は地域包括ケアシステムの「肝」として、病院・在宅、あるいは施設・在宅という二元論ではなく、循環型システムへの意識改革が必要であり、さらに医療と介護の連携という縦軸と、生活支援と街づくりという横軸が必要との考えを強調した上で、「地域包括ケアを語ることは、単に医療と介護だけを語るのではなく、生活、その地域を語ることにつながる」とした。

     

    ■また、地域包括ケアは「制度ではない。生活や街づくりの話が出てくるため、それぞれわが街の地域包括ケアを構築していくという意味ではご当地システム。実践が形作るネットワーク・マネジメントとして受け止められることが地域包括ケアで、規範的統合が大事」とした。

     

    ■一方、4月の診療報酬改定のポイントとして「かかりつけ薬剤師をどう推進するかが、調剤報酬改定のテーマであったことは間違いない」とし、対人業務や患者のための薬局ビジョンなどの大きな政策方針の方向性を後押ししたいという気持ちを込めた改定」との見解を語った。その上で、「それが実際に世の中で、どのように現場で受け止められているのか、あるいはどういうふうに現場を変えていくのかは、今後、いろいろな調査や意見を聞くことでわれわれも勉強したいと思う」とした。

     

    ■また、全国で1119軒(9月28日現在)の届出が行われている健康サポート薬局についても言及。「薬局、薬剤師が地域包括ケアの中で、どのような専門職だということを示す一つの答えだとすれば、全体の薬局の中で健康サポート薬局になっているところはどういう思いで取り組んでいるのか。また、なれていなところは仕組み(要件)の問題なのかということを議論し、トータルとして地域包括ケアの理念の中における薬剤師、薬局は何かということを見える化していくことが必要」との思いを語った。さらに、「健康サポート薬局が金科玉条、唯一だとは思ってはいないが、様々な議論によって進化、変化してもいいと思っている。少なくとも一つの議論の到達点として、健康サポート薬局の取り組みに対して、『イエス』とおっしゃらない方は何なのかというところはよく考えてみたい」とした。

     

    ■吉田氏は、医療における調剤技術料1.8兆円に見合った業務かという点についても、「医薬分業は、利用者からすると高くなっただけで、どんな御利益があるの?ということは言われ続けてきた。そうした素朴な疑問に対し、業界、関係者として、答えていることは事実だが、まだ、答えしきっていない」とし、この部分をどう考えるのかが今後の課題との見解を述べた。

  • ポリファーマシーへの介入‐ニーズ把握と連携が不可欠

    第79回九州山口薬学大会

    ■別府市で開かれた第79回九州山口薬学大会のシンポジウム「ポリファーマシーへのアプローチ」で、ポリファーマシーへの介入は、「患者のニーズ把握」と「地域連携・多職種連携」が不可欠で、薬剤師が処方箋を出した医師の思いと、薬を服用する患者の思いの相違点を埋める役割を果たすことの重要性を確認した。
    超高齢化が進む中、ポリファーマシー問題は、ここ数年で大きな課題になっている。診療報酬でもポリファーマシーに対する取り組みが評価されるようになり、2016年度の診療報酬改定では薬剤総合評価調整加算管理料が新設され、入院や外来での薬剤減薬に対する算定が可能になった。さらに、18年度改定では、薬剤師の処方提案についての加算が認められるようになった。

     

    ■だが、その一方で、薬局・薬剤師が、どのようにポリファーマシーに介入し、取り組んでいけば良いか戸惑っているケースが少なくない。
    ポリファーマシーは、単純に複数の医薬品を使用している状態を指す言葉ではなく、仮に多くの医薬品を使用していても、患者の治癒や健康管理に必要な場合は、そうではない。 反対に、使用している医薬品が少なくても、医薬品同士の相互作用が疑われる場合や、同じ成分の医薬品が重複している場合、使用する理由が明確ではない医薬品が含まれているときはポリファーマシーの可能性があることを認識しておくことが重要だ。

     

    ■シンポジウムでは、矢吹拓氏(栃木医療センター内科)が、「ポリファーマシーは、薬剤師を中心に多くの取り組みがなされ、様々な実践報告があるが、それが本当に患者にとって効果的かという点においては十分な検証がなされていない」と現状を報告した。

     

    ■さらに、ポリファーマシーへの取り組みでは、「潜在的不適切処方や潜在的過小処方を同定し、処方内容の適正化を目指す方法が王道である」と明言。具体的な手法として、「高齢者の安全な薬物療法ガイドラインの活用」を挙げ、「その分かりやすさや明確さから、処方見直しのきっかけとなる情報を与えてくれる」と述べた。

     

    ■また矢吹氏は、最近のマスメディアや一部の医師・薬剤師などの薬に対する過剰な拒否反応報道にも言及し、「極端な減薬ありきのポリファーマシー対策は、本来の患者の健康を支えるための視点とは異なる結果につながりかねない」と警鐘を鳴らした。

     

    ■ポリファーマシーへの介入についても、「薬剤師単独から、患者を中心としたコミュニケーションや多職種連携など次のステップに進んでいくだろう」と予測し、「高齢者ケアという観点では、高齢者総合機能評価(CGA)など包括的な観点からのケアが重要で、この部分でも薬剤師の果たす役割は大きい」と強調した。

     

    ■大分市医師会立アルメイダ病院での薬剤師・医師協働ポリファーマシー対策チーム活動について講演した山代栄士氏(同病院薬剤部)は、そのメリットとして「診断学と医療薬学の連携」を挙げた。その理由としては、「薬によっては薬剤師だけでは投与量調整や中止の選択が難しく、バイタルサインの知識を要する場合がある」と断言し、「ポリファーマシーを検討する上で、内科領域の総合的判断に熟達した総合診療科医は心強い協働者になる」との考えを示した。薬局薬剤師として地域医療に参画している千代延誠治氏(神崎薬局)は、「医師側の想いと患者側の想いの差がポリファーマシーの要因の一つになている」と指摘した。

     

    ■さらに、同ケースでQOLが改善した緩和ケアの一例を紹介し、「薬剤師が、患者側の想いをしっかりと検証して目標を設定し、その後現状と課題を抽出すれば、ポリファーマシーの改善・患者のQOL向上につなげられる」と力説。実践的減処方の手順として、▽全ての薬とその使用理由を洗い流す▽副作用を引き起こしやすい状況か否か評価▽各薬剤についての中止の妥当性の評価▽中止の優先順位を付ける▽減処方の実践と経過観察――を紹介し、「薬剤師は、“薬と幸せを運ぶ人”であらねばならない」と訴えかけた。