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2018年3月号

  • 「地域支援体制加算」新設‐後発品体制加算は3段階に【中央社会保険医療協議会総会】

    情報提供元:薬事日報社

    ■厚生労働省は24日、中央社会保険医療協議会総会に、2018年度診療報酬改定に関する個別項目の改定案を示した。調剤報酬では、現行の基準調剤加算に代わり、夜間・休日対応など、地域支援に貢献する薬局の体制を評価する「地域支援体制加算」を新設。いわゆる大型門前薬局の適正化では、敷地内薬局を対象とした最も低い点数を創設したほか、「調剤基本料2」でビル診療所など、同一建物内に複数の医療機関がある薬局の要件を設けた。また、現行の「調剤基本料3」について、処方箋受付枚数に応じて評価を二つに分けるなどし、調剤基本料は5段階の加算で評価することとした。後発医薬品調剤体制加算は、現行の2段階から3段階評価に変更。調剤数量シェアが著しく低い薬局の基本料を減算する規定を設けた。

     

    ■新設の「地域支援体制加算」は、夜間・休日対応や医療機関等への服薬情報提供の実績など、地域に貢献する一定の実績があることなどを前提とし、地域支援に積極的に貢献するための一定の体制を整備している薬局を評価する。

     

    ■施設基準は、現行の基準調剤加算で要件となっている、「一定時間以上の開局」や「医薬品の備蓄品目数」などに加え、地域医療に貢献する体制を有することを示す実績も求める。
    具体的には、1年間の常勤薬剤師1人当たり、▽夜間・休日などの対応▽重複投薬・相互作用等防止加算▽服用薬剤調整支援料▽単一建物診療患者が1人の場合の在宅薬剤管理▽服薬情報等提供料▽麻薬指導管理加算▽かかりつけ薬剤師指導料など▽外来服薬支援料――の8項目全てにおいて、今後定める実績(算定件数など)を満たす必要がある。このほか、薬物療法の安全性向上に資する事例の報告や副作用報告体制の整備も要件とする。

     

    ■薬剤総合評価調整管理料を算定する医療機関と連携して、医薬品の適正使用を行った場合の評価として、「服用薬剤調整支援料」を新設する。6種類以上の内服薬が処方されていたケースで、保険薬剤師が文書を用いて提案し、患者に調剤する内服薬が減少した場合に、月1回算定できるようにする。

     

    ■分割調剤における医師の指示や分割調剤を行った際の手続きの明確化・合理化を図るため、処方にかかる加算と処方箋様式を見直す。 留意事項として、▽分割指示にかかる処方箋を発行する場合、分割の回数は3回までとする▽分割指示に係る処方箋を発行した場合は、患者に対し、調剤を受けるたびに、記載された回数に応じた処方箋などを薬局に提出するよう指導する▽薬剤師は、継続的な薬学的管理指導のため、同一の薬局で調剤を受けるべきである旨を説明する▽患者が次に調剤を受ける予定を確認し、予定時期に患者が来局しない場合は、電話などで状況を確認――などを示した。「かかりつけ薬剤師指導料」は、新たな要件として、患者の同意取得時にかかりつけ薬剤師の必要性や、患者の要望などを確認することを追加する。

  • 抗癌剤の副作用重篤化回避‐薬局薬剤師が電話フォロー【外来化学療法にPBPM】

    情報提供元:薬事日報社

    ■外来癌化学療法について、病院と薬局が経口抗癌剤の治療管理に関するプロトコールを交わし、合意に基づいて薬局薬剤師が次回来院時までの間に発生した副作用の有無等を電話でフォローアップしたところ、休薬や処方変更等によって副作用の重篤化を回避できたことが、厚生労働科学研究班「薬剤師が担う医療機関と薬局間の連携手法の検討とアウトカムの評価研究」(代表:安原真人帝京大学薬学部特任教授)の中間解析結果で明らかになった。副作用の不安解消や対処方法の指導など、薬局薬剤師が介入することで、患者の安心と安全な抗癌剤治療につながっていた。

     

    ■抗癌剤や支持療法薬の院外処方が急増する中、薬局で服薬指導を行う機会が増えているものの、例えば4週間ごとに通院している場合、外来診療後に患者が医師や薬剤師と接するのが4週間後になってしまい、その間に発生する副作用などの問題に十分対応できない課題があった。また、処方箋を通じた情報伝達のため、病院と薬局で患者情報が十分に共有できず、連携が不十分な現状があった。

     

    ■こうした課題を解決するため、研究班は外来癌化学療法について、病院と患者のかかりつけ薬局が経口抗癌剤治療管理に関する「プロトコールに基づく薬物治療管理」(PBPM)を適用し、薬局薬剤師が来院時から次回来院時までに副作用の発生有無や服薬状況に関して電話によるフォローアップを行い、薬局薬剤師が発生を把握したイベントと重篤度を評価する研究を実施した。

     

    ■調査対象は、国立がん研究センター東病院、昭和大学横浜市北部病院、東京医科歯科大学病院、愛知県がんセンター中央病院、長崎大学病院の医療機関で経口抗癌剤の「ティーエスワン」か「ゼローダ」を処方され、共同研究に参加した日本調剤柏の葉公園薬局、クオール薬局港北店、さくら薬局御茶ノ水駅前店、三聖堂薬局自由ヶ丘店、エムハート薬局自由ヶ丘店などの薬局で調剤を受けた同意が得られた患者。

     

    ■プロトコールでは、電話フォローアップで患者にインタビューした内容を薬局薬剤師がチェックシートに記載し、病院に送信。病院薬剤師が緊急性を判断して医師に報告、必要な指示を薬局に行うこととし、薬局薬剤師が来院時から次回の来院時までに副作用の発生有無や服薬状況に関して電話でフォローアップを1回以上実施。その間に発生した副作用の発生や悪化、治療に影響するイベントについて薬局薬剤師が把握し、重篤度を評価した。

     

    ■予めプロトコールに定めた重篤度以上に該当する場合は、薬剤の服用中止や臨時受診、緊急入院の勧奨などを行い、それ以外はプロトコールに沿って副作用への対処法の指導などを実施し、電話フォローアップによる薬局の介入を集計。昨年10月時点での103人について中間的に解析した結果をまとめた。 その結果、患者103人で344件の服薬情報提供書が報告され、薬局薬剤師の電話フォローアップがきっかけの予定外受診が3人で4件、抗癌剤の休薬が8件あり、緊急入院はなかった。また、重篤でないイベントで医師への処方提案を行ったのが42件、そのうち20件(48%)と約半数で処方に反映されたことが分かった。これら電話フォローアップによる薬局の介入は、副作用の重篤化を回避し、患者の安全に直接寄与したと考えられた。