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2018年7月号

  • 添付文書の電子化を議論‐ 日医、日薬「紙と共存必要」

    厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会〜委員から賛成意見相次ぐ〜

     

    ■厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会では、医薬品の添付文書の電子化についても議論した。現在は、紙の添付文書と製薬企業のホームページなどの電子媒体で医療者に情報提供しているが、紙媒体では迅速に情報提供できないなどの現状を踏まえ、委員からは「一番新しい情報を患者に提供することができるので、電子化に移行するのは当然の流れ」など、電子化を進めるべきとの意見が相次いだ。ただ、一部委員は方向性に賛同しつつ、「全てを電子化するのは現場の混乱を招く。当面は紙と電子化の共存が必要」などと電子媒体のみでの情報提供に慎重姿勢を示した。

     

    ■医薬品の用法・用量、取り扱い上の必要な注意といった情報は、容器か外箱に記載することとされ、それが不可能な場合は添付文書として製品に同梱することが求められている。一方、製薬企業や医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページでも最新情報が公表されており、医療従事者が現場で閲覧できるようになっている。
    ただ、この日の部会で厚労省は、紙の添付文書について現状の問題点を列挙。頻繁に添付文書が改訂される中で、医薬品卸や医療機関の在庫品に同梱した添付文書は情報が更新されないままであり、迅速な情報提供に必ずしも役立っていないことを指摘。全ての製品に同梱されていることが紙資源の浪費につながっている現状も挙げた。その上で部会では、紙の添付文書を残すべきか、電子媒体のみで情報提供すべきかなど、医薬品の情報提供のあり方をめぐって議論した。

     

    ■山口育子委員(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、「全ての添付文書を電子化することは無理かもしれないが、一番新しい情報を提供できるので、電子化に移行するのは当然の流れだ。ぜひ進めてほしい」と賛成意見を述べた。

     

    ■村島温子委員(国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター主任副センター長)も、「身近に紙の添付文書があっても、今はスマートフォンなどで検索して見る傾向がある。紙の添付文書をアップデートする作業を考えたら、その労力をもっと有効活用してほしい」と同調した。 これに対し、中川俊男委員(日本医師会副会長)は「電子化は賛成」としつつ、「ITリテラシーが高い医師ばかりではないことを考えると、紙と電子の両方に取り組んでほしい。電子化のみというのはまだ時期尚早だ」と述べた。

     
    ■乾英夫委員(日本薬剤師会副会長)も「電子化を進める方向性は賛同する」としたが、「いきなり全てを電子化するのは現場の混乱を招く。当面は紙と電子の共存が必要ではないか」と電子媒体のみで情報提供することに対して慎重な姿勢を示した。

  • 検査値関連の疑義照会10倍に‐QRコード付処方箋が浸透

    旭川医科大学病院薬剤部〜根拠に基づく指導、提案実現〜

    ■旭川医科大学病院が昨年2月に院外処方箋の書式を変更し、QRコードを活用した検査値情報を提供する取り組みを開始してから、1年4カ月が経過した。必要な情報が1枚の処方箋に収まり、検査値部分が切り離されて薬局に持ち込まれることがないため、QRコード付きの処方箋を受けている薬局では、検査値関連の疑義照会が10倍に増えた。また、服薬指導や疑義照会がより具体的な根拠に基づいたものになったという。
    QRコードを読むと、検査値が自動的にレセコン上に取り込まれ、数値が基準値より高ければ赤、低ければ青で表示されるようなソフトも開発されており、生活習慣を含めた幅広い服薬指導の実施も期待されている。

     

    QRコード付き処方箋は、簡単に情報を読み取ることができるという手軽さに加え、1枚の処方箋に必要な情報が収まるというのが大きなメリット。処方内容が記載された用紙の隣に、切り離し可能な検査値を印字する処方箋様式とは異なり、切り離されることなく薬局に持ち込まれるため、現場での服薬指導や疑義照会に大きな変化が出てきているという。
    同病院の田崎嘉一薬剤部長によると、薬局薬剤師から「副作用や処方変更が推測ではなく、具体的な根拠を持って行えるようになった」とのメリットが示されているという。
    腎機能に関する検査値が比較的多く活用され、抗菌薬の減量などの処方提案に反映されたり、PT-I NR値をワルファリンの減量や増量に活用したケースなども見られているようだ。

     

    ■一部のレセコン会社では、QRコードをリーダーで読み込むと、データが自動でレセコン上に取り込まれ、異常値が一目で分かるソフトを開発した。転記ミスなく、情報が取得できる上、データが蓄積されれば、時系列に検査値を見ることができるといったメリットがある。
    生活習慣を含めた幅広い指導を行う際に、HbA1cやγ-GTPなどの経時的な変化を見ることができれば、意義は大きいという。田崎氏は、「病院を退院した患者が地域でしっかり管理してもらえれば、より重症な患者のケアに集中できる」と強調。「添付文書の警告欄に検査値を見ながら服用する医薬品もあるため、検査値などの情報を伝達し、薬局できめ細かいケアを行ってもらうことは非常に大事」と語った。

     

    ■QRコード付き処方箋は、市立旭川病院が7月中の導入に向けて準備を進めており、徳島大学病院が、次のシステム更新のタイミングに合わせて導入する方向で検討を進めているという。
    実際、QRコード付きの処方箋を受けている「みどりがおか薬局」では、専用の機器でQRコードを読み取るだけで、レセコン上にデータが映し出される。転記の手間やミスもなく、過去5カ月分の検査値が時系列で出てくるのでとても便利との感想だ。
    同薬局の疑義照会件数は、導入前の2016年が2666件、導入後の17年で2224件で大きな差はなかったものの、検査値関連の疑義照会の比率が、16年の0.49%から17年に10倍の4.9%に増えた。

     

    ■疑義照会は、変更の有無にかかわらず、腎機能に関する検査値が最も多く、腎機能の状態を示すeGFR値を見て、「水分管理に気をつけて」といったアドバイスも行っているという。同薬局の薬剤師は、「具体的な数値に基づいて説得力ある服薬指導が行えるようになったし、検査値に基づいて患者個々の状態を把握し、適正な用法・用量を考えるようになった」とメリットを強調した。