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2018年8月号

  • 非薬剤師との協働が焦点に‐ 日本在宅薬学会学術大会で討議

    (日本在宅薬学会学術大会)薬剤師の本質的業務を支援

    薬剤師と非薬剤師がいかに協働して薬局業務を行うべきか――。大阪市で開かれた日本在宅薬学会学術大会のセミナーで、両者が協働する業務のあり方や目的、注意点について討議が繰り広げられた。同学会は昨年度から、薬剤師と協働する薬局内のスタッフをパートナーと称し、その教育や検定を推進している。薬の取り揃えやお薬カレンダーへの薬のセットなどを協働して行えば、薬剤師は本質的な業務に注力できることが示される一方、協働する業務を設定する際には、薬剤師業務の法的な位置づけを十分に意識する必要があることが強調された。


    ■狭間研至氏(同学会理事長)は、薬剤師との間で業務を区分けする海外のテクニシャン制度と違って、薬剤師の指示やチェックのもと様々な業務を両者が協働で実施するのがパートナーであると説明。同学会が提唱するパートナーという概念とテクニシャン制度とは法律的、実務的、心理的に全く異なるものだと強調し、理解を求めた。
    狭間氏は実際にハザマ薬局7店舗においてパートナーの概念を導入。薬剤師約50人とパートナー約70人が協働して業務にあたる体制を構築している。


    ■パートナーの活用は「人材不足解消、人件費抑制、経営効率化が目的ではない。薬剤師が本質的業務に専念するための手段」と言及。「非薬剤師業務を考えることは薬剤師の本質的業務を考えることにつながる」と述べ、「薬局の業務を一度洗い出し、見直してほしい。そうすると薬剤師がやらなくてもいい仕事を薬剤師がやっていることが判明する」と呼びかけた。


    ■薬剤師資格を持つ弁護士の赤羽根秀宣氏(中外合同法律事務所)は、薬剤師法各条文の表現の違いによって、薬剤師の業務は、薬剤師の独占業務とそうでない業務に分けられると解説。薬剤の容器や被包への情報の表示など「しなければならない」とされている業務は「薬剤師が行わなければ違法だが、非薬剤師が行っても違法ではない。ただし、薬剤師自身が義務を果たしたと言える必要がある」と語った。一方、薬剤師法第19条で「薬剤師でない者はしてはならない」とされる調剤は、薬剤師の独占業務に該当し、非薬剤師が行えば違法になるという。しかし、医師の独占業務である医業に定義がないように、調剤にも業務範囲の定義はない。赤羽根氏は「薬の取り揃えが調剤と言えるのか。言えないという議論も十分あり得ると思う」と指摘した。


    ■実際に、2016年度に実施された厚生労働省科学研究「かかりつけ薬剤師の本質的業務と機能強化のための調査研究」の報告書には「計数調剤は、薬剤師の業務ではあるが、薬剤師の目が確実に届く範囲であれば、機器や薬剤師以外の者に実施させることはあり得ると考えられる」と記載されている。「指示および確認なくして目の届く範囲とはいえない。その指示が包括的な指示でいいのかどうかは、危険の差によって違ってくる」と赤羽根氏は話した。


    ■まえはら調剤薬局など3店舗を経営する前原理佳氏(有限会社はらから代表取締役)は16年からパートナーの概念を導入したと語った。在宅医療への関わりを強めるうちに高齢者施設での業務が増え、薬剤師に疲弊が生じたことを契機に業務の見直しに着手。各種調剤機器の導入と併行して業務の見える化や効率化を推進し、パートナーとの協働を取り入れた。パートナーは、朝昼晩の服薬タイミングごとに薬剤をホッチキスで止める作業や、お薬カレンダーへのセット、薬の取り揃えなどを実施。薬剤師は指示を出したり事後にチェックしたりし、協働で様々な業務を遂行している。


    ■こうして薬剤師に時間が生まれた結果、地域のケア会議やサービス担当者会議に出席できるようになり、薬局内の症例検討会も充実。重複相互作用等防止加算の算定件数は約3倍に増加した。「それぞれが主役として働くことができる喜びを感じている」と前原氏は語った。
    フロアからも活発な発言が相次いだ。「パートナーの概念を導入すると非薬剤師の仕事量が増えるが、給与をどう設定すればいいか」「パートナーを導入しようとしたが、薬局内の事務員から反対された。モチベーションを高めるにはどうすればいいのか」「包括的な指示によってミスが発生した場合の責任は誰がとるのか」など、非薬剤師の活用をめぐって様々な声が上がった。

  • 徐放剤を粉砕し血圧急低下‐薬剤師関与ない状況で発生(日本医療機能評価機構)

    ■日本医療機能評価機構は、2018年1月〜3月の医療事故情報を分析した報告書をまとめ公表した。その中で、カルシウム拮抗薬の徐放性製剤「ニフェジピンCR錠」を粉砕し、胃管から投与したところ、血圧低下を来した事例が報告されたことから、錠剤の粉砕に関連した3事例を分析。いずれも薬剤師の関与が難しい状況で投与が行われており、誤った投与方法を防げなかったことが明らかになった。同機構は、薬を処方する医師や投与する看護師は、有効成分の放出を調節した薬の存在を知っておくことが重要と注意喚起している。

     

    ■今回、報告書の分析対象期間(1〜3月)に徐放性製剤の「ニフェジピンCR錠」を粉砕し、胃管から投与したところ、血圧低下を来した事例が報告されたことから、同事例を過去に遡って検索し、錠剤の粉砕に関連した事例について分析が行われた。報告件数は、12年1月から今年3月までに報告された医療事故情報のうち、錠剤の粉砕の関連事例は3件あり、全て徐放性製剤を粉砕して投与した事例だった。

     

    ■徐放性製剤は、有効成分の放出速度、放出時間、放出部位を調節した製剤。添付文書には、割ったり、砕いたり、すりつぶしたりせず、そのまま噛まずに服用させるよう注意事項が記載されている。今回、報告されたのは、徐放性製剤を患者が経口内服できないため粉砕して投与したところ、体内で急速に吸収されて影響が出たという事例。「ニフェジピンCR錠」による血圧低下が2件、癌疼痛治療剤「オキシコンチン錠」による意識レベルの低下や呼吸機能悪化が1件あった。具体的には、患者は肺炎、高血圧症で意識障害があり、経鼻胃管を挿入していた。全身状態が改善したため、内服していた「ニフェジピンCR錠20mg」を再開する方針が決まり、研修医は患者が経鼻胃管を挿入しているとは知らず、同錠を処方。看護師は、錠剤で届いた同錠を粉砕し、経鼻胃管から投与した。

     

    ■30分後に血圧を測定したところ、収縮期血圧が90mmHg台、1時間後には80mmHg台まで低下した。病棟薬剤師は当日、薬剤部で業務をしており、翌日に患者の急激な血圧低下に関するカルテ記載を発見。原因を調べたところ、経鼻胃管を挿入している患者に同錠を粉砕して投与していたことに気づいた。

     

    ■こうした事例が発生した要因として、医師や看護師が徐放性製剤の特性を知らないまま、患者に処方や投与をしていたことが判明。薬剤師の関与が難しい状況で徐放性製剤の投与が行われ、誤った投与方法を防げなかったことが分かった。また、医師は病棟薬剤師が作成した粉砕不可一覧表を活用しておらず、粉砕して投与できる代替薬について薬剤師に問い合わせなかったことも要因として考えられた。

     

    ■同機構は、薬を処方する医師や投与する看護師は、薬には有効成分の放出を調節した徐放性製剤があることを知っておくことが重要と指摘。薬の形状を変えて投与する必要がある場合、粉砕して投与できるか、または経管投与に適した代替薬があるか薬剤師に確認するなど、情報収集した上で処方する必要があると注意喚起した。