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2019年11月号

  • 【薬局薬剤師ら対象に調査】調剤補助者「必要」8割‐取り揃えや在庫管理に期待

    情報提供元:薬事日報社

    ■約8割の薬剤師は調剤補助者を「必要」としていることが、佐川賢一氏(神奈川ファーマ)や栂安雅満氏(日本地域薬局薬学会会長)、横浜薬科大学臨床薬理学研究室などのグループが全国の薬局薬剤師らを対象に実施したアンケート調査で明らかになった。調剤補助者に期待する支援内容として回答割合が高かったのは「計数調剤医薬品の取り揃え」「薬袋・ラベル作成」「医薬品の在庫管理」などだった。調剤補助者に何らかの資格が必要とする意見は少なかった。調査では、既に約3割の施設には調剤補助者が存在していることも分かった。

     

    ■調査は今年3〜4月に、薬局を中心とした593施設の薬剤師らを対象に実施した。日本地域薬局薬学会の会員140人、無作為に抽出した全国の保険薬局262施設の薬剤師、調査協力を得た191施設の薬剤師を対象に設定し、404人から回答があった(回答率68.1%)。回答者の81%は薬局薬剤師、11%は病院薬剤師、3%は大学教員だった。

     

    ■調剤補助者の必要性を聞いた結果、回答者の77%が「必要」、19%が「不必要」と答えた。回答者の薬局や病院薬剤部で従事するスタッフの職種を聞いたところ、27.5%の施設には調剤補助者が存在していた。約3割の施設は必要性を実感し、既に調剤補助者を活用しているが、存在しない施設でも多くが調剤補助者を必要と考えていることが明らかになった。

     

    ■調剤補助者に期待する支援内容として回答割合が高かったのは、「計数調剤医薬品の取り揃え」91.6%、「薬袋・ラベル作成」85.5%、「医薬品の在庫管理」75.9%、「分包薬のラインマーク」71.7%、「錠剤・カプセル剤の脱ヒート」66.9%、「計数医薬品の充填」54.0%、「錠剤の半割や脱カプセル」50.2%などだった。

     

    ■一方、調剤補助者が必要な理由として回答割合が高かったのは「服薬指導」91.3 %、「薬歴作成」66.9%、「在宅医療」54.3%、「健康相談」50.8%、「医師への処方支援」46.3%などだった。これらの業務に費やす薬剤師の時間を確保するために、調剤補助者を必要としていることが分かった。「薬剤師の人材確保が困難」(47.3%)や「人件費削減」(34.1%)も理由に上がった。

     

    ■適切と考える調剤補助者の職種については「技能職」41%、「事務職」27%、「特別な職種は必要なし」32%と意見が分かれた。具体的な資格としては「必要としない」(30%)や「研修終了者に対する認定」(23%)、「認定と研修の継続」(16%)という意見が多く、「都道府県知事免許」(22%)や「国家資格」(9%)を必要とする声は少数だった。
    調剤補助者の制度を導入するために必要な事項としては、▽研究・教育▽調剤の安全性の確保▽法整備▽技術の確保――を求める声が多かった。
    欧米には調剤補助者が存在し、薬剤師の業務を支援している。日本でも厚生労働省が今年4月に通知を発出して、非薬剤師が行うことができる業務の基本的な考え方を提示するなど、調剤補助者を活用する環境は整備されつつある。

     

    ■調査を実施した佐川氏は「薬剤師が実施すべき業務は増えるばかりで手が足りないのが現状。地方では特に薬剤師が不足している」と指摘。「本来の薬剤師の役割を果たすために、機械化や調剤補助者の導入などによって、どのように業務を効率化するかが問われている」と話している。

  • タスクシフトめぐり議論‐処方代行入力、医師は高評価

    情報提供元:薬事日報社

    ‐全国自治体病院協議会・薬剤管理研修会‐

    ■全国自治体病院協議会(全自病)は、都内で薬剤管理研修会を開き、医師の働き方改革の重要課題である「タスクシフティング」をテーマに議論を行った。内服処方の代行入力や薬剤師外来に注力することで、医師の負担軽減につながった事例が紹介され、パネル討論では医師から「処方の代行入力で医師の労働時間抑制につなげるべき」「地方は薬剤師の偏在がある。調剤ロボット化が進むのではないか」などの意見が出た。

     

    ■古谷翔太氏(静岡県立総合病院循環器・心臓血管外科病棟主担当薬剤師)は、今年1月から心臓血管外科病棟の患者に対し、医師に代わって薬剤師が内服処方の代行入力している取り組みを発表した。具体的には、褥瘡予防の軟膏や頓服薬などの継続処方入力、薬剤師の提案を加味した定期処方入力などを実施した結果、時間外処方箋が占める割合がタスクシフト前の49%から36%に減少したほか、他の業務の中断や担当患者以外に対する処方入力などが減少したという。古谷氏は「処方入力業務の負担が軽減され、医師が業務に集中できることが分かった」との考えを示した。

     

    ■池末裕明氏(神戸市立医療センター中央市民病院薬剤部副部長代行)は、同院がタスクシフティングで注力する「薬の説明や服薬指導」のうち、経口C型肝炎治療薬と間質性肺炎治療薬の薬剤師外来の取り組みを報告した。 間質性肺炎の薬剤師外来は2017年から開始し、外来診察前に薬剤師が面談を行い、服薬指導や処方提案などを実施。その結果、服薬開始から1年半後に服薬を継続している患者の割合は約30%増加した。また、14年から開始したC型肝炎の薬剤師外来では、耐性ウイルスと服薬継続の重要性、副作用、服薬アドヒアランスの確認などを行った結果、処方提案384件のうち84%が処方に反映された。アドヒアランスも極めて良好で、ウイルス除去率が99.6%に達した。

     

    ■パネル討論では、処方の代行入力が医師の負担軽減につながるかどうかについて、望月泉氏(岩手県立病院名誉院長)は「代行入力は医師から非常に好評を得ており、病棟業務全体の改善にもつながる好事例になると考えている」と高く評価。「好事例を集積しつつ、本丸である医師の労働時間抑制につなげるべき」と積極的な取り組みを求めた。

     

    ■望月氏は、調剤ロボットの活用にも言及。「少子高齢化の進行で、雇用の問題は考えないといけない。地方ほど医師、薬剤師の偏在があるため、IT化を進める方向に行くのではないか」との見方を示した。

     

    ■池末氏は、多くの病院で薬剤師外来に対応できる若手薬剤師の育成が課題となっている現状を指摘。「まずは診療科と信頼関係を結ぶことが大事だ。入退院時の業務をしっかり行うことで診療科も考えてくれるし、信頼関係の中でバランスが取れる。今頑張っている人に声をかけていきたい」と述べた。