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2019年8月号

  • 田宮薬剤管理官「対人業務への流れで議論」‐ 調剤料の20年改定見通し

    ■厚生労働省保険局医療課の田宮憲一薬剤管理官は名古屋市内で講演し、2020年度調剤報酬改定に向け、財政制度等審議会財政制度分科会から大幅な引き下げを要求されている調剤料に言及。「対物業務から対人業務への全体の流れの中で議論していくことになる」との見通しを示した。また、「かかりつけ薬剤師が、どれだけ医療の質の向上に貢献しているかというエビデンス構築が引き続き必要になる」との考えを強調した。

     

    ■田宮氏は、今国会で継続審議となった医薬品医療機器等法改正に言及し、昨年末の取りまとめで「現在の医薬分業は政策誘導した結果の形式的な分業」「単純に薬剤の調整など対物中心の業務を行うことで成り立っており、多くの薬剤師が患者から職種の意義を理解されていないという危機感がない」など厳しい指摘があったことを紹介した。

     

    ■その上で、医薬分業について「薬局薬剤師が地域住民から信頼されて進んできたのであれば全く問題ないが、残念ながら経済的な要因で進んできた面が否めない。自己負担が院内処方より高くなることに対して、コストに見合うだけのサービス提供ができているのか、あるいは医療の質が向上するデータやエビデンスがあるのかということが重要になってくる」と強調。「国民からすると、そうした実感が湧く経験がまだまだ少ないと言わざるを得ない」とし、これらエビデンスの構築が必要とした。

     

    ■田宮氏は、「(エビデンスの構築が)今後の議論においては必須であり、薬科大学などと連携する中で、薬剤師会がやらないのであれば、自分の薬局でデータを作るくらいのつもりでやってもらいたい」と訴えた。

     

    ■薬剤師・薬局の将来については、「医療の担い手としての高い倫理観と使命感を持って患者に接していくことが重要。目の前の患者を何とか健康にしてあげたいと患者に寄り添い、薬物療法の結果について自分が責任を持つというマインドでやってもらいたい」と注文を付けた。

     

    ■さらに、25年までに全国で1万〜1万5000軒という目標を設定している健康サポート薬局の届出の現状についても、田宮氏は「目標数から一桁違う。しっかりと目指してほしい」と強調。「健康サポート薬局は、かかりつけ薬剤師指導料の算定に加え、健康サポート機能を持って地域で貢献する薬局が目指す一つのモデル。自ら健康づくりを提供できなくても、地域の社会資源を把握した上で適切なところを紹介するつなぎの役割も重要」とした。

  • CSTD使用、投与時も必要‐国内外指針や基準で明記【日本臨床腫瘍学会学術集会】

    ■全ての抗癌剤の投与時に閉鎖式薬物移送システム(CSTD)を使用する病院は今後増加するとの見通しが、京都市内で開かれた日本臨床腫瘍学会学術集会で示された。関連3学会が2月に発刊した職業性曝露対策ガイドラインの2019年版では初めて投与時におけるCSTDの使用が推奨された。12月に施行予定で、法的拘束力を持つ米国の基準「USP800」においても、CSTDの使用義務が明記されている。これらの指針や基準が今後、投与時の使用を後押しすることになるという。

     

    ■抗癌剤など曝露による健康被害を起こす可能性のある「ハザーダス・ドラッグ」(HD)への対策が世界的に進んでいる。日本がん看護学会、日本臨床腫瘍学会、日本臨床腫瘍薬学会は15年に、3学会合同で「がん薬物療法における曝露対策合同ガイドライン15年版」を出版。2月には内容を改定し19年版を発刊した。15年版では、CSTD使用の推奨はHD調製時のみにとどまっていたが、19年版には「HD静脈内投与時のルートにCSTDを使用することを強く推奨する」との文言が盛り込まれ、推奨範囲が広がった。

     

    ■策定に関わった高橋雅信氏(東北大学加齢医学研究所臨床腫瘍学分野)は「HD投与時のCSTD使用の有無による医療従事者の健康被害を比較したエビデンスレベルの高い研究はないが、観察研究などの結果によって、少なくともCSTDを使わないよりは使った方がいいだろうということで、強い推奨となっている」と報告。法的拘束力を持つUSP800にも「HDの投与管理において形状が合う場合にはCSTDの使用が必須」との記載があり、「海外の基準も重視した」と語った。

     

    ■高橋氏らがガイドライン作成委員の施設を対象に、HD投与時のCSTD使用範囲を聞いたところ、19年版発刊前は7割の施設が「揮発性の高い3薬剤」、3割の施設が「全薬剤」に使用すると回答していたが、発刊後は7割以上の施設が「全薬剤に使用または使用を検討」と回答した。

     

    ■高橋氏は「現在、多くの施設では揮発性の高い3薬剤の投与時にCSTDを使用しているが、いずれは全薬剤に使用する方向になるだろう」と言及。現在、投与時のCSTD使用には診療報酬が設定されていないため、「この課題を解決する必要がある」と訴えた。