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視点を持って業界を読み解く。調剤Scope

水剤の
[ロボット調剤]黎明期。

独特の配慮が必要な水剤
その要求内容とは。

昨年あたりから活況になってきた感がある【調剤のロボット化】。その中心は最も調剤業務内の構成比率が高い錠剤のPTPシートが占めており、調剤機器メーカー各社がそれぞれのセールスポイントでしのぎを削っている。その一方で、構成比率は決して高くはないものの、メニスカス(表面張力で三日月形になる現象)状態の液面や、様々な希釈条件が内規で設定されるなど、独特の配慮が必要な水剤(内用液剤)調剤のロボット化も進行しつつある。今回はあるアンケート結果に基づいて、その要求内容等に光をあててみた。

172施設における全国アンケート。

 2008年に行われた㈱ユヤマによるアンケートは、有効回答が病院89軒・薬局83軒、合計で172軒に及ぶ規模で、回答元の所在地は北海道から九州まで全国にまたがるものであった。病院は大学病院から民間の個人病院まで、薬局においてもチェーン薬局から個人薬局まで幅広い層からの回答となっている。そこでは、水剤の調剤における現状の様子と、自動化(ロボット化)するなら何を求めるか?についてを中心に問われていた。

調剤に要する時間は短縮可能なのか?

 アンケート内容の中に、調剤の時間についての問いがある。そこには現状の人手による1回あたり調製時間が60秒以内であるとの答えが75.5%であったのに対し、ロボット化への要求は同92.9%と水準が高くなる傾向が読み取れた。しかし、実際にはロボット化によって時短が実現するとは限らない。だが、投薬瓶の目盛を凝視するストレスの軽減と、全自動ロボットであれば他業務へのシフトにより、事実上の時短が図れるとは言えそうだ。

施設差があるから欲しい選択肢。

搭載希望数は10品目か?20品目か?

病院と薬局との間でも傾向には差異がある。

 172施設全体では、ロボット化に求める水剤の搭載品目数は10品目までで57.6%、同20品目までで実に89.0%を占める。ところが同じ10品目でも病院だけに限ると48.1%へと10ポイント近くダウンするのに対して、薬局では67.4%と逆に約10ポイントアップ、両者の差異は約20%にも及ぶ。その他の両者の違いとしては、用いる希釈水の1位が、病院では精製水(53.2%)・薬局では水道水41.9%であることや、水剤調製ロボットのシステム化を求める率が病院(88.7%)・薬局(65.0%)などがあった。

病院のファーストチョイス・薬局のファーストチョイス。

 服薬指導など、薬剤師が薬物療法の専門家としてその職能を、より力強く発揮していくことが求められている現代。調剤のロボット化は水剤の領域においても、今後進展していくことが予想される。ただし、ここまで見てきたように、水剤調製ロボットに求める搭載品目数ひとつとっても、病院と薬局ではその差は明らかだ。
 その差は施設そのものに由来するというよりも、採用品目数によるところが大きいのかも知れないが、何品目を搭載するかは重要だ。例えば、ユヤマであれば、20品目搭載の全自動ロボット【アクアロボ】、10品目搭載の自動ロボット【ミニアクア】がある。メーカー都合ではなく、ユーザー主体で選べるよう、事前に検討されることが望ましいと思われる。

(文責:2012年2月 森 和明 ㈱ユヤマ 営業企画部部長)

現在、ユヤマでは20品目対応の『アクアロボ』と、10品目対応の『ミニアクア』を販売しております。