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在宅医療 成長期~薬局は何から始めれば良いのか?Part2

各種施設・住宅の特徴を知る

~まず各種施設・住宅の傾向を掴む

地域にもよるが既設の高齢者入所施設には、協力医療機関ならびに提携薬局が既に入り込んでいる場合が多い。ただしこれにも例外があり、とりわけ認知症である方が入所されるグループホームがそれにあたる。認知症の方はこれまでの生活環境が替わると認知症の進行が加速するとも言われている。このことから、グループホームを運営する法人は、入所前からのかかりつけ医に継続して診てもらうことを推進しようとするし、ご家族に通院付き添いと薬をもらってくることを任せる傾向が強い。要するに、ここに薬局が入り込む余地があるのだ。薬をもらってくるご家族に対して、「通院付き添いのあと、薬局に寄らずにホームに戻って来て下さい」「ホームから処方せんをFaxでお送りくだされば、○○様の入所されているホームまでお薬をお持ちします」という具合に。また、看護師の配置基準がないのがこのグループホームの特徴である。以下に主要な種別の施設・住宅の特徴を簡易なものだがまとめたので参照して欲しい。

■ 主な高齢者入所施設

  施設名 医師 薬剤師 指導算定の可否 特徴
介護保険施設
サービス
介護療養型医療施設 常勤 常勤 × 病状が安定している長期療養患者で常時医学的管理が必要な要介護者のための医療施設。2018年度中に全廃される。
介護老人保健施設 常勤 定員300人
以上は常勤
× 病状は安定しており入院治療の必要はないが、リハビリや看護、介護が必要な要介護者のための入所施設。
介護老人福祉施設
(特別養護老人ホーム)
非常勤 末期悪性
腫瘍の
患者のみ
65歳以上で介護を必要とする高齢者の入所施設。日常生活上の介護や機能訓練、健康管理などを行う。
介護保険地域
密着型
サービス※
グループホーム
(認知症対応型共同生活介護施設)
認知症高齢者が、ケアを受けながら少人数で共同生活を送るための居住施設。
介護保険
居宅サービスを
受けられる施設
有料
老人
ホーム
介護付き 介護や食事などのサービスがある居住施設。要介護状態での入居が可能。
住宅型 食事などのサービスがある居住施設。介護が必要となった場合、訪問介護など介護サービスを利用しながら生活を継続することができる。
健康型 食事などのサービスがある居住施設。介護が必要となった場合、契約解除し退去する必要がある。
軽費老人ホーム 居宅での生活が困難な60歳以上の人を対象に、無料または低額な料金で居室や日常生活上の軽度のサービスを提供する居住施設。ケアハウスもこれに含まれる。
サービス付き
高齢者向け住宅
高齢者対応の賃貸住宅。
※介護老人福祉施設、有料老人ホーム、ケアハウスの一部にも、介護保険地域密着型サービスのものがある。

いざ各種施設・住宅へアプローチ!

~既設と新規開設

いよいよ施設・住宅へのアプローチだ。調査をした結果、各施設・住宅ごとのウィークポイント(弱み)が見えてくる。たとえば、提携薬局が定期薬の配達もせず、施設職員に自局まで薬を取りに来させている。また、一包化した包み(分包紙)への印字が氏名と服用時しか記されていない等。こんな施設・住宅が見つかったら即刻その施設にはアプローチをかけたい。そして、上記にある既設の高齢者入所施設よりもアプローチする優先順位が高いのが、何といっても新規開設予定施設・住宅である。皆様もお察しの通り、既設の高齢者入所施設へアプローチをし、プレゼンを通じ薬剤関連業務の受託をするには、ある程度の労力を要する。既に既定路線に乗って、受診からお薬を手にし、服薬までを行う、という流れが出来上がっている施設・住宅に対して、その既定路線外のことを提案しているのだから。その提案内容が、本当の意味で「入居者のためになるもの」であったり、「職員の業務軽減につながるもの」であったとしてもだ。しかし、ある程度の労力を要する既設の高齢者入所施設を捨てるわけにはいかない。いくら新規開設予定施設・住宅の優先順位が高く既設ほどの労力を要しない、といっても新規施設・住宅が星の数ほど開設されることはないからである。ここは、新規開設予定施設・住宅に比重をかけながらも、既設にアプローチをしてゆく、というスタンスでありたい。

アプローチ手法はDMとFaxDM

~施設管理者とアポイントを取得する

各種施設へのアプローチを試みる薬局も多いなか、他社が取り組まない手法を採用する。第一の手法がダイレクトメール(DM)。このDM、通常だと不特定多数の方々に同じ体裁の原稿をお送りし、ある一定の反響を得るという手法だ。しかし、われわれが推進しているDMとは、以下の通り。

ステップ①
各種施設・住宅への調査
ステップ②
各施設・住宅ごとのウィークポイント(弱み)が見えてくる
ステップ③
そのウィークポイントに焦点をあてたDMを作成し発送

この手法だと、DM反響率は脅威の2~4%(※一般的なDM反響率は1%という事実)という数字を叩き出す。
そして、DMでの反響を得られなかった施設・住宅に対しては、第二の手法、FaxDMでのアプローチを試みる。このFaxDMのポイントは、以下の通り。

  • 『取材』というかたちを採用
  • 在宅業務に取り組む環境が整った点を訴求(※又は、既に数年前から強化中)
  • テーマは、医療連携など(※薬剤関連業務から少し的を外す)
  • 施設の管理者宛に月中でのアポイント取得
  • 電話口では介護関連のことを教えて欲しい旨を訴求

この上記1.2.3をおさえた原稿を作成し、5を意識した話法を繰り出すことで、施設管理者との取材アポイント取得確率は40%超を記録する。

プレゼンテーションと受託

~継続アプローチと一点突破全面展開

施設管理者との取材アポイントが取得できたら、次はいよいよ取材&プレゼンテーションだ。『取材』という名目でアポイント取得をしたわけなので、取材をしている感を醸成した場づくりの中、薬局として最も聞きたい薬剤関連業務について徐々に切り込んでゆく。ここで、これまでの取材を通じて施設側が興味を持った内容 ベスト5をお伝えする。

<施設管理者などが興味をもつ内容 ベスト5>

  • 職員向け薬勉強会
  • セット業務を薬局内で完結してくる
  • 分包紙への印字レベル完全化(日付・氏名・服用時・ライン入れ)
  • 協力医療機関の紹介
  • 薬剤関連マニュアルづくり(服薬マニュアルなど)

以上の内容の他にも、自社の薬局でできる事柄・強みをプレゼンテーションツール(アプローチブック)にまとめ、取材時に思う存分アピールをしたい。
この取材・&プレゼンテーションの場に持参いただきたいのが、薬管理ケースの見本だ。特に小規模(グループホームなど)の施設では、薬管理ケースそのものがないところも多いのが実情。
最後に、このプレゼンテーションを一回実施しただけでは、そう簡単に薬剤関連業務を受託することはできない。施設管理者とのコミュニケーション頻度の数と質も意識し、継続的にアプローチを重ねて行けば、そう遠くない時に薬剤関連業務の受託ができる。
小さな穴(=顕在化されていない悩み)を見つけ出し、そこに自社がサポートできることを訴える。今回の例でわかりやすく伝えると、臨時薬の配達、かかりつけ医分の処方せん、職員向け薬研修会の実施からその施設・住宅に入り込み、徹底的なサービスを施しているうちに、施設・住宅入居者分全員の処方せんを受託していた、という状況を作り出す。これが、船井流経営法の一つでもある『一点突破全面展開』というものである。

薬局・薬剤師の皆様のサポートを施設・住宅の職員様は求めている。薬局・薬剤師の業務領域を拡大させるのは今しかない。


※高齢者向け施設に関する調査等に関するご相談は、船井総合研究所 経営コンサルタント 清水洋一まで(下記ボタンより連絡可能)

(文責:2013年3月 清水 洋一 船井総合研究所 ㈱チーフ経営コンサルタント)