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視点を持って業界を読み解く。調剤Scope

対物・対人両方を総合的に扱う
「服薬ケア」の概念とは?~かかりつけ・健康サポート時代の
道先案内人~

服薬ケア研究所 所長 岡村祐聡(おかむらまさとし)

かかりつけ薬剤師制度がスタートし、薬剤師の皆さまにとって対人業務の比率を高めることに頭を痛めている方も多いかも知れません。こんな時だから、対物・対人双方を含んだ薬剤師業務全般を新たな視点で見直してみてはいかがでしょうか。今回から「服薬ケア」という視点についての連載です(M)

 皆さんは「服薬ケア」という言葉をご存じでしょうか? 服薬ケアの大きな特徴は、「患者さん中心の医療」を目指すというところにあります。もしかすると「そんなことあたりまえじゃないか!」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、「徹底的に患者さんのための医療を追及する」のが服薬ケアの特徴なのですね。

 外来患者さんのお薬は、薬剤師がどんなに丁寧に服薬指導したとしても、患者さんご本人が「薬を飲む」という服薬行動を自ら起こさない限り、患者さんの体内には入りません。つまり、自律的な服薬行動が薬物治療成功のために欠かせないものであり、そのためには、患者さんの心を動かさなければ私達薬剤師の仕事は医療としての意味をなさないのです。これが「感情への着目」をなにより大切にしている理由なのです。

 そして、服薬ケアでは、なにより実践を大変重視しています。医療者がどんなに立派な能書きを並べたとしても、実際に患者さんが満足して下さらなかったらなんの意味もないからです。そして、そのために身に付けなければならない様々な考え方、方法論、知識などを皆で勉強し、実力を高める努力を続けています。

 そこで、具体的に「どんな勉強をしているのか」をご理解いただくために、実際に今後計画されている勉強会で行う内容を紹介しながら、なぜそのような実力を付ける必要があるのか、簡単に述べてみたいと思います。

2017年9月は、服薬ケア研究会では「薬歴」を集中的に取り上げます。

SOAP遊び

まず最初にご紹介するのは、「SOAP遊び」の勉強会です。

 皆さんは、薬歴を書くのに時間がかかる、アセスメントが書けない、書くことが多くて薬歴が長くなる、SOAPで書くと時間がかかって効率が悪い、薬歴残業にうんざり・・・などと悩んでいませんか?

簡潔でわかりやすい薬歴を、短時間に書けるようになりたい!
薬歴をサッさと書き終え、薬歴残業無しで業務を終えたい!
次回に活かせる薬歴を残し、無駄のない服薬指導を行いたい!

実は、それ、全部叶います!

そのために身に付けるべきは、思考力です。服薬ケアでは「頭の中をPOSにする」と呼んでいます。そしてその思考力の元になるのが、「SOAPをバランスで見る」ことなのです。SOAPは薬歴の書き方の決まりではなくて、患者応対している時の考え方のガイドです。つまり、「SOAPで考える」ことが必要なのです。そしてその「SOAPで考える」力をつけるためには、この「SOAP遊び」が最も効果的な訓練なのです。

勉強会に出てこの思考力を身に付けた方の感想です。

○「薬歴残業がゼロになりました」20代女性

○「薬歴を書くのに悩むことがなくなりました」30代女性

○「残業代が無くなり、待ち時間に患者さんがイライラすることもなく、薬剤師にも余裕が生まれ雰囲気が変わりました」50代経営者

○「薬剤師は医師や看護師に比べ得られる情報量が少ないからSOAPは書きにくいと思っていましたが、その論点がそもそもずれていたことがわかり恥ずかしくなりました…」30代男性

私もそうなりたい!勉強してみたい!という方はぜひ下記の勉強会(※服薬ケア研究会からのご案内※を参照)へお越しください。

「薬歴の書き方」講座 ~実例と添削~

さて、次にご紹介するのは、ズバリ実践論である「薬歴の書き方」講座です。

これは、薬歴の書き方を基礎の基礎から徹底的に解説し、さらに実際の記載例を豊富に紹介した後、事前に提出していただいた薬歴を添削してお示しするという、大変贅沢な勉強会です。(薬歴添削は、服薬ケア研究会会員のみ対象)

例えば・・・

<薬歴記載例>

S:うがいはまあまあしています。咳はでないけど咳が出そうな感じがする時に、追加で吸入をします。喉が冷たい感じがするんです。定期の吸入はちゃんとしています。先生には特に聞かれませんが追加吸入していることは言った方がいいんですか?受診日は決まっていなくて薬が無くなりそうになったら行きます。今回は年末年始を挟むので、途中で無くなると不安なので1本多く頼みました。検査値は前より下がってました。良かったです。

O:呼気NO検査14、シムビコート2本処方(用法はDo)

A:うがいはしているよう。咳が出そうな時に追加吸入をしていることはDrへ伝えていない。咳無し。NO検査は前回より改善。他特に変わった事なし。

P:次回追加吸入についてDrへ伝えたか確認して下さい。


この薬歴はまずSが長すぎて忙しい業務中に読む気になれません。その上、処方箋や過去の記録を見ればわかることもわざわざ書いています。なにより、指導の経緯がわかりません。これはわかりにくい薬歴の典型ですね。さあ、どのように直せば良い薬歴に生まれ変わるでしょうか!

このように実際の薬歴の記載例を見ながら「良い薬歴」と「悪い薬歴」を具体的に学んでいきます。

さあ、薬歴の悩み、一緒に解消して参りましょう!(続く)

POAを活用するすべての医療者のためのSOAPパーフェクト・トレーニング
岡村 祐聡(おかむら まさとし) 服薬ケア研究所 所長

(文責:2017年8月 岡村 祐聡(おかむら まさとし) 服薬ケア研究所 所長)