• ツイート

視点を持って業界を読み解く。調剤Scope

対物・対人両方を総合的に扱う
「服薬ケア」の概念とは?~かかりつけ・健康サポート時代の道先案内人~【最終回】

服薬ケア研究所 所長 岡村祐聡(おかむらまさとし)

これからの激動の時代を生き抜くために!

 さて、今回は、薬剤師を待ち受ける激動の時代に向けて、今、何をすればよいのか、今、何を学んでおく必要があるのか、そんな話をしましょう。

もうすぐやってくるセルフメディケーションの時代

 セルフメディケーションという言葉は、皆さん誰もがご存じのことと思います。しかしその実態については、意外に曖昧なまま捉えている方が、どうも多いような気がしてなりません。今、国が進めようとしているセルフメディケーションは、国民が自らの健康を自ら守っていくという、理想的なモノではありません。簡単に言えば、医療費削減のため、医者にかからずに薬を自分で買うようにする制度のことです。そして国民のセルフメディケーションをサポートする専門家として、薬局の薬剤師が期待されていることになります。もちろん薬剤師としては、責任も重くなりますが、やりがいも大変大きくなりますので、前向きに捉えて、しっかりとその役割を担っていくべきだと考えています。

 しかし、これまで処方せん調剤を主たる業務として行ってきた薬局薬剤師の多くは、かなり勉強をして備えないと、この重責を担うことができないのではないかと、危惧するところです。それならば、いったいどんな勉強をして、今、どんなことに気を付けて行けばよいのでしょうか。

患者さんとの信頼関係をより強固に結ぶ

 セルフメディケーションが始まって、スイッチOTCとなって薬が販売されるようになると、処方せんなしで患者さんがいきなり薬局を訪れることになります。したがって今までのように、処方せんを見れば名前がわかるということにはなりません。保険は使いませんから、「保険証見せてください」ともいえません。しかしOTCとなっても薬歴は必要ですから、お名前なり、生年月日なりをお伺いしないと、過去の薬歴を引っ張り出すことすらできません。それにお名前をお伺いしても、もしかすると答えて下さらないかもしれません。まずはお一人お一人の患者さんと信頼関係をしっかりと作ることが急務であるといえるでしょう。

 そのために、今最も大切なのは「かかりつけ薬剤師」制度です。「かかりつけ薬剤師」のサインは、一人でも多くの方からいただけるように努力してください。「こんな点数とれないよ」などと言っている場合ではありません。目先のことだけを考えるのではなく、セルフメディケーションへ向かうにあたって、一人でも多くの方と結びつきを強くするための制度だと思って、努力を続けてほしいと思います。

薬歴の内容の充実が必須である

 さらに、薬歴の充実が必須となります。医者の目が離れ、薬剤師だけでその方の薬物治療を見て行かなければなりませんから、過去の記録は大変重要となることは、論を待たないでしょう。

 しかし薬歴はあっても、「DO、お変わりなし。必要事項説明」しか書いていないような薬歴では、何の役にも立ちません。具体的に、何があって、患者さんの様子はどうだったのか、「薬物治療の履歴」が記録されていなければ、役に立たないのです。今、私たちがすべきことは、薬歴記載をしっかりした内容に充実させることです。これこそ今やっておかないと、セルフメディケーションが実際に始まってからでは手遅れとなる大切な事柄だといえます。

 更に言うならば、薬歴の重要性を患者さんにしっかりと伝えることも必要です。どんなに詳細な記録を付けたとしても、患者さんご自身がその記録の重要性をきちんと認識して下さらなければ、意味がありません。やはり、「かかりつけ薬剤師」としての認識を持っていただくことが重要ですね。「やっぱりあなたでなければダメね」と患者さんが信頼して下さるまで、徹底的に患者さんの役に立つ必要があります。

処方ありきの指導ではなく、患者さん中心の指導ができるか

 これまでは、処方せんに記載されている薬についての指導をしていればよかったかもしれませんが、これからは、それでは通用しません。セルフメディケーションが進んでくれば、スイッチOTCの発売も増えて来るでしょうし、特に、国民がそれに慣れてくれば、頭が痛いとか、身体がだるいとか、様々な相談を薬局に持ち込んでくださるようになることでしょう。その時、患者さんの病気がどんなものか判断し、正確に受診勧奨する必要があります。この受診勧奨がいい加減だと、患者さんの信頼を失いますし、社会からの信頼も失うことになるでしょう。薬剤師がセルフメディケーションの担い手とするには力不足であると判断されるかもしれません。それでは悲しいですね。

 「風邪薬下さい」と言ってきた患者さんに「風邪薬ですね」と売ってしまってはいけません。よくお話を伺って、受診しなければいけない病気が隠されていないかどうかを見つけ出さねばなりません。例えば、「喉が痛い」と訴える患者さん。飲み込むときに痛みを感じないのならば、もしかすると心筋梗塞の放散痛かもしれません。それらを見つけられるかどうかが、これからの薬剤師の実力となるのです。(完)

本物の薬剤師をめざそう!

 今、服薬ケアでは、薬歴の充実、服薬指導のレベルアップなどに取り組んでいますが、実はすべて将来の薬剤師に絶対必要なものをピックアップして選んでいます。そして本当に世の中から必要とされる薬剤師の実力をつけるために、様々な勉強の機会を提供しています。興味のある方はぜひ研修会にお出かけください。遠方の方はご自宅からwebでの受講も可能です。

選ばれるかかりつけ薬剤師になる患者応対技術と服薬ケアコミュニケーション
岡村 祐聡(おかむら まさとし) 服薬ケア研究所 所長

(文責:2018年3月 岡村 祐聡(おかむら まさとし) 服薬ケア研究所 所長)