クリニックを開業する際の居抜き物件を選ぶメリット・デメリットとは?
テナント入居でクリニックを開業する際には、設備や機器、備品の購入費に加えて敷金や礼金などの初期費用が必要です。
金融機関から事業資金を借り入れ、返済のことを考えると少しでも初期費用を抑えて開業したいと考えられていると思います。
そのような場合、前の入居者がクリニックを運営していて、機器や設備が残されている「居抜き物件」はいかがでしょうか。
本記事では、クリニックを開業する際の居抜き物件を選ぶメリット・デメリットについて解説します。
居抜き物件とは?
居抜き物件とは、前にテナントを借りていた方が設備や機器などを残したままの物件です。
クリニックを開業する際には、テナントを借りるのか自宅など自身が所有・購入する不動産で運営するのかをはじめに検討します。
いずれにしても、敷金や礼金以外に設備や機器、備品など、さまざまな物品の購入や施工が必要になります。
そのため、クリニックを開業する際には高額な費用が必要であり、自己資本では賄いきれないことが多いです。
そのような場合は金融機関から事業資金の借り入れなどを行う必要があり、毎月の返済が求められます。
従って、可能な限り初期費用や購入金額を抑えたい、抑えられるに越したことはないということになります。
費用を抑える手段のひとつとして、前にテナントを借りていた方が設備や機器などを残したままの「居抜き物件」という選択肢があります。
必要な機器や設備がある程度そろっていることから、新たに購入するものを減らして費用を抑えられる点が魅力です。
スケルトン物件との違い
居抜き物件と比較されることが多い物件のなかには、「スケルトン物件」と呼ばれるものがあります。
スケルトン物件は壁や床、天井などの内装だけではなく、設備も含めて一切が切り取られている物件を指します。
一般的な賃貸物件には、借りた状態に戻す「原状回復」が義務付けられています。
先述した居抜き物件には改装した設備や導入した機器が含まれているため、原状回復に該当しないことがあります。
一方、前の利用者がスケルトン物件で借りたときは、返すときもスケルトン物件にする必要があるのです。
しかし、スケルトン物件ではレイアウトの自由度が高く、自分好みに構築しやすい点がメリットになります。
居抜き物件のメリット
こちらでは、居抜き物件で期待されるメリットをご紹介します。
開業コストを下げられる
居抜き物件には最初から機器や設備が搭載されていることから、開業にかかるコストを大幅に削減できるメリットが期待されます。
新規開業の際には診療や経営に関するさまざまな機器や備品を購入する必要があります。
また、クリニックの内装工事は通常、半年程度かかることから、長い工期を待たなければなりません。
一方、居抜き物件はすでにレイアウトや設備がクリニックに沿ったものであることから、費用だけではなく工期も短縮できるのです。
行政からの許可を得やすい
クリニックは一般的な店舗とは異なり、保健所に「開設許可証」を提出する必要があります。
申請後に保健所の職員による、クリニックの管理体制や内装、設備などを確認するために現地への立ち入り検査が行われます。
すべてを新規で開業する際にはさまざまな箇所で指摘を受ける可能性があり、そのたびに改装作業が必要になります。
一方、居抜き物件の場合は過去に開設許可を得ていることから、少ない工数で行政から許可を得やすい点がメリットです。
患者を集めやすい
クリニックの経営では、収益性向上のために患者さんを集める必要があります。
全てをイチから準備していく新規開業の場合は診療科目やクリニックの場所などを認知してもらうところからのスタートとなるので、集患に多くの時間とコストを要します。
居抜き物件の場合は元々クリニックがあった場所という認識を持つ方が多いため、より少ない時間と費用で集患を行えることが期待されます。
診療科目が同じ場合、以前のクリニックに通院していた患者さんを迎えやすい点が、居抜き物件のメリットといえるでしょう。
居抜き物件のデメリット
一方、居抜き物件には下記のようなデメリットがあります。
レイアウトの自由度が低い
居抜き物件を借りる場合は機器や設備がすでに設けられていることから、設計やデザインの自由度が低い点がデメリットになります。
「ここに○○が欲しい」といった場合でも、改装に費用が発生したり、そもそも改装ができなかったりすることがあります。
しかし、借りる前には十分に確認をされていることが考えられるため、気にされない向きも多くいらっしゃいます。
機器や設備の劣化
居抜き物件の機器や設備は以前の入居者が使用していたものであることから、経年劣化を起こしている可能性は否めません。
経年劣化している機器や設備は買い替えなければならないことがあり、場合によっては高額な費用が発生します。
そのため、居抜き物件を選ぶ際には事前に機器や設備の状況を確認しておきましょう。
おわりに
本記事では、クリニックを開業する際に居抜き物件を選ぶメリットとデメリットについて解説しました。
居抜き物件は前にテナントを借りていた方が設備や機器などを残したままの物件を指します。
全てをイチから準備していく場合と比べると開業コストを下げられる、行政からの許可を得やすい、患者を集めやすい点がメリットです。
一方、レイアウトの自由度が低い、機器や設備の劣化といったデメリットがあります。
これから開業を検討されている方は、居抜き物件も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

株式会社ユヤマ

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