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2019年9月号

  • 薬剤師の7割が減薬実践‐緩和領域で処方を適正化‐日本緩和医療薬学会研究推進委員会

    情報提供元:薬事日報社

    日本緩和医療薬学会研究推進委員会が会員の病院薬剤師を対象に実施したアンケート調査で、薬剤師の介入による減薬の実態が明らかになった。回答した薬剤師の70. 2%が、医療用麻薬が処方された癌患者に対して薬剤数の削減につながった介入を実践しており、薬剤師は緩和領域で処方適正化に貢献していることが分かった。こうした患者はポリファーマシー(多剤併用)になりがちだが、実際に回答した薬剤師の73. 0%が日常的に不適切処方を経験していた。

     

    ■アンケート調査は、同学会の会員のうち病院薬剤師2618人を対象にウェブサイト上で実施。359人から回答を得た(回答率13.7%)。2017年10〜11月までのデータを対象に9問に回答してもらい、解析した。

     

    ■ポリファーマシーの実態を把握するため、医療用麻薬が処方された癌患者について、6種類以上の定期薬を処方された患者の割合を聞いたところ、「4〜6割」と回答した薬剤師が最も多く、全体の40.9%を占めていた。

     

    ■このうち、不適切処方が見られた患者の割合については「1〜3割」と回答した薬剤師が最も多く、全体の64.3%に達していた。「4〜6割」「7〜9割」と回答した薬剤師も存在し、合計すると全体の73.0%の薬剤師が日常的に不適切処方を経験していた。不適切処方の理由は、「不要な漫然処方」(63.8%)、「副作用の原因」(24.0%)、「同種同効薬の重複」21.7%)、薬物相互作用」12.8%)の順に多かった 。

     

    ■薬剤師の介入によって薬剤数を削減できた患者の割合を聞いたところ、薬剤師の46.8%が「1〜3割」、23.4%が「4割以上」と回答した。70.2%の薬剤師が薬剤数の削減につながる介入を実践し、回答者の4人に1人は多くの患者の薬剤数削減に関わっていることが明らかになった。

     

    ■介入によって削減できた薬剤の平均数を聞いたところでは、42.9%の薬剤師が「1種類」、22.6%が「2種類」と回答。平均で3種類以上の薬剤を削減している薬剤師も6.4%存在した。
    薬剤師が介入して削除した薬剤の種類は「制吐薬」(44.8%)、「消化器用薬(39.3%)、催眠鎮静薬(28.7%)、鎮痛薬(28.4%)、下剤」(20.1%)、「抗精神病薬」(14.2%)の順に多かった。

     

    ■回答者のうち、同学会が認定した緩和薬物療法認定薬剤師は123人、その他の専門・認定薬剤師は99人、資格を有さない薬剤師は130人だった。緩和薬物療法認定薬剤師は専門資格がない薬剤師に比べて、薬剤数を削減できた患者の割合が高く、不適切な処方の削減に貢献していることも分かった。認定薬剤師の処方適正化の貢献を初めて数値として示すことができたという。

     

    ■今回の研究は、緩和ケア領域におけるポリファーマシーの現状や薬剤師の介入実態を明らかにした初めての全国規模の調査となる。同委員会は「緩和ケアを開始した癌患者の多くが多剤併用の状況にあり、不適切な処方を受けている患者が少なからずいることや、薬剤師が通常業務の中で処方削減を医師に提案し、不適切な処方薬を削減することに高頻度で成功していることが明らかになった」としている。

     同学会は今回の調査結果をもとに現在、多施設共同前向き観察研究の実施と解析を進めている。今後、その解析結果が待たれる。

  • 消費税対応、改定薬価を告示‐6121品目が引き上げへ‐厚生労働省

    情報提供元:薬事日報社

    ■厚生労働省は、消費税率10%への引き上げに伴い全面改定した薬価基準を官報に告示した。10月1日から実施する。薬価基準の収載医薬品1万6510品目のうち、現行の薬価より引き上げられたのは6121品目。残りの1万0389品目については、ほとんどが現行薬価より引き下げられたが、厚労省によると、価格を維持した品目も「わずかに含まれている」という。

     

    ■薬価改定率は、 消費税対応分として、医療費ベースで0.42%(薬剤費ベースでプラス1.95%)引き上げるが、実勢価改定等が医療費ベースで0.93%(マイナス4.35%)の引き下げとなり、医療費ベースで0.51%(マイナス2.40%)引き下げられた。今回の薬価改定は、2018年度診療報酬改定での薬価改定ルールの範囲内で対応しているため、大きな動きは見られない。

     

    ■改定ルールが適用されたのは、新薬創出・適応外薬解消等促進加算、基礎的医薬品、後発品の価格帯などである。新薬創出等加算は、339成分(18年度改定時314成分)、591品目(560品目)が加算対象となった。

     

    ■薬価収載後15年を経過したり、後発品が登場するなどして対象から外れた品目があった一方で、18年度改定以降に新薬として収載され、加算の要件を満たしたものがあり、対象品目が増えたものと見られる。

     

    ■新薬開発やドラッグ・ラグ解消に向けた企業の取り組みを点数化し、それに応じて加算に差をつける「企業要件」は、上位25%の「区分I」の企業数は23社(23社)、「区分II」が55 社(54 社)、「区分III」が5社(6社)で、合計の企業数83社は18年度改定時と変わらなかった。

     

    ■医療現場で欠かせない基礎的な医薬品の製造・販売の継続を目的に、薬価を下支えする基礎的医薬品の対象となったのは261成分(262成分)、715品目(660品目)だった。後発品の価格帯は、1価格帯の成分規格数が1498(1440)で、2価格帯が376(364)、3価格帯が85(83)だった。

     

    ■今回の改定では、消費税増税によって増える薬局の仕入れコストの負担増を補填するため、調剤報酬の一部項目を引き上げる対応も行った。全ての調剤基本料(41点、25点、20点、15点、10点)の点数にそれぞれ1点を上乗せしたほか、一包化加算、無菌製剤処理加算の各項目の点数を引き上げた。

     

    ■一包化加算は、「42日分以下」を2点プラスの34点、「43日分以上」を20点プラスの240点に設定。無菌製剤処理加算は全て2点上乗せし、「中心静脈栄養法輸液」を69点(6歳未満は137点)、「抗悪性腫瘍剤」を79点(147点)、「麻薬」を69点(135点)とした。 また、かかりつけ薬剤師包括管理料は1点上乗せして281点に引き上げた。新たな診療報酬点数表も10月1日から適用される。