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2020年6月号

  • 薬歴管理料1の算定可‐在宅患者に電話指導で‐厚生労働省‐

    情報提供元:薬事日報社

    ■厚生労働省は、「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱い」を発出した。感染を懸念する患者から要望があれば、在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定患者に訪問ではなく、電話などで必要な薬学的管理指導を実施した場合でも薬剤服用歴管理指導料1を算定できるとした。

     

    ■こうした特例的な扱いの場合は、当月か前月に患者に対して在宅患者訪問薬剤管理指導料を1回以上算定している必要がある。また、薬歴管理料の点数は在宅患者訪問薬剤管理指導料と合わせて月4回(末期癌患者および中心静脈栄養法の対象患者は週2回かつ月8回)まで算定できる。

     

    ■薬歴管理料は、処方箋受付1回につき、所定の点数を算定することになっているが、患家を訪問しない電話などによる薬学管理指導では、処方箋受付回数が0回で薬歴管理料を請求することになる。その場合の請求方法について、調剤報酬明細書の摘要欄に「訪問できなかったため電話等により実施」といった記載を行う必要があるとした。また、薬歴管理料を処方箋受け付け回数「0回」で請求するとレセプトコンピューターがシステムエラーになるなど、電子レセプト作成が困難な場合には紙レセプトにより請求することとしている。

     

    ■居宅療養管理指導費または介護予防居宅療養管理指導費を算定している患者についても、感染リスクを回避したい患者の要望で、電話などにより薬学的管理指導を行った場合、薬歴管理料を算定できるとした。ただ、前月に居宅療養管理指導費または介護予防居宅療養管理指導費を1回以上算定している必要がある。また、医科点数の病棟薬剤業務実施加算の施設基準で規定されている病棟専任薬剤師の病棟薬剤業務の実施時間の考えも示した。同加算の施設基準では、「病棟専任の薬剤師による病棟薬剤業務の直近1カ月の実施時間が合算して1週間につき20時間相当に満たない病棟があってはならない」と規定されている。

     

    ■ただ、感染拡大防止のため、病棟での滞在時間を制限するなどして施設基準を満たせなくなった場合についても、「当面の間、直ちに施設基準の変更の届け出を行う必要はない」とした。

  • 新型コロナ対応でマニュアル‐国立国際医療研究センター薬剤部‐

    情報提供元:薬事日報社

    ‐感染患者の受入れ経験共有へ‐

    ■感染症指定医療機関として新型コロナウイルス感染症患者を受け入れている国立国際医療研究センター病院で診療支援を行っている同院薬剤部は、感染リスクを最小限にし、感染疑いの患者や入院患者に対応するためのマニュアルをまとめた。寺門薬剤部長は、「今後さらに患者が増えれば、指定医療機関以外の病院でも薬剤師が医師、看護師などとチームで対応していかなければならなくなる」と指摘。「マニュアルを参考にしてもらい、積極的に関わる薬剤師が増えることを期待したい」と話している。

     

    ■同院では、患者の症状に応じて一般病棟(感染疑い患者)、陰圧病棟(中等症患者)、ICU病棟(重症患者)に振り分け、それぞれの病棟で薬剤師が必要な対応を行っている。

     

    ■新型コロナウイルス感染症患者に対応する薬剤師は1人の専従とし、横断的に三つの病棟で活動。新型コロナウイルス感染症担当薬剤師は、夜勤をはじめ、土日の日直業務から外して平日日勤のみとしている。また、他の不特定多数の患者と接触しないよう他病棟の患者対応や外来窓口対応から外し、チーム医療のラウンド参加も中止している。

     

    ■サポート薬剤師も1人配置している。寺門氏は「感染が長期化すれば、専従の薬剤師を複数名にするなどバックアップ体制を整えておいた方がよい」と話す。

     

    ■一般病棟に入室している感染疑い患者は、他の患者とは完全に隔離されている。翌日に判明する検査結果で陽性だった場合は、陰圧病棟に移され、新型コロナウイルス感染症担当薬剤師が必要な対応を行う。陰性の患者は他の一般病棟に移され、転棟先の病棟を担当する薬剤師と情報共有を行う。

     

    ■中等症患者に対応する陰圧病棟では、入院患者に持参薬がある場合はナースステーションには持ち込まず、患者の病室内で新型コロナウイルス感染症担当薬剤師が聞き取りをして鑑別を行う。

     

    ■持参薬は、ウイルス汚染の観点から看護師による管理が難しいため原則不使用とし、院内処方に切り替える。ただ、外国籍患者が服用する海外の医薬品など、院内処方できない特殊な薬剤は持参薬を使用する。

     

    ■主治医の依頼による服薬指導は、新型コロナウイルス感染症担当薬剤師が患者の状態を確認しながら行う。薬歴を確認し、必要と判断される場合は、主治医と相談した上で服薬指導を行っている。重症化した患者はICUに移され、呼吸管理が行われる。ICUでの通常業務はICU担当薬剤師が行うが、患者に接触しなければならない場合は、新型コロナウイルス感染症担当薬剤師が対応し、ICU担当薬剤師と情報共有する。

     

    ■感染患者と接触する際には、N95マスク、シールド付きマスク、帽子、ガウン、手袋などの個人防護具(PPE)を装着する。薬剤師はブルーのビニールガウンを装着。退室の際、PPEは部屋に設置された廃棄ボックスに廃棄し、着脱時は適切なタイミングで必ず手指消毒を行う。

     

    ■同院では、多くの新型コロナウイルス感染症患者を受け入れていることもあり、薬剤部としての対応について問い合わせが少なくない。寺門氏は「自施設での取り組みを公表することは、他施設の参考になる」と話している。