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2020年7月号

  • 在宅訪問時の感染対策‐チェックリスト作成 (全国薬剤師・在宅療養支援連絡会)

    情報提供元:薬事日報社

     全国薬剤師・在宅療養支援連絡会(J-HOP)は、「訪問服薬指導における新型コロナウイルス感染症防止のためのチェックリスト」をまとめた。連絡会が会員に行った調査で、新型コロナウイルスに対する向き合い方に戸惑いが見られたことから、ウイルスを患者宅に持ち込まず、持ち出さないためチェックリストを作成することにした。
     チェックリストは、▽訪問服薬指導における感染防止対策の基本的姿勢▽標準予防策と個人防護具▽感染防止のために検討すること▽訪問時の感染対策▽薬局の事業休止への備え――などで構成。
     基本的な姿勢では、訪問服薬指導の対象患者の多くが重症化しやすい高齢者や重度な疾患障害を持つ人であるため、「訪問薬剤師には感染防止に最大限考慮した行動が求められる」と指摘。医薬品を確実に供給し続けることを第一とし、必要に応じて医師やケアマネジャーなど他職種との協議や近隣薬局との連携体制構築の必要性を訴えた。
     予防策や個人防護具の具体的な着用基準では、参考となるウェブサイトを列挙。感染防止に向けては、地域の感染状況を踏まえつつ、訪問回数を減らしたり、患者の状態や服薬状況を電話や情報通信機器などで事前に聴収することにより、接触の機会や時間を最小限に抑えることを検討すべきとした。訪問担当者を限定することも有益としたが、担当者の精神的負担への十分な配慮を求めた。
     訪問時の感染対策では、訪問薬剤師の健康状態確認や電話による患者・家族の健康状態確認、患者・家族へのマスク着用依頼、距離を2m以上とって窓を開けるなど、訪問前から面談時、帰局に当たってのポイントを示した。
     事業休止への備えでは、在宅患者や施設へのサービス継続が困難となることを想定し、▽定時薬はストックに余裕があるように主治医と調整▽移行薬局の選択と調整▽移行薬局に提供する患者情報の整理――などを行っておくことを求めた。業務移行などについて患者や家族をはじめ、主治医と担当ケアマネジャーなどにも説明し、了解を得ておくべきとした。

  • 病薬連携で緊急入院半減‐COPDの症状増悪防ぐ (京都大学病院薬剤部)

    情報提供元:薬事日報社

     京都大学病院薬剤部が地域薬局と連携して外来に通院する慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の吸入指導などに取り組んだ結果、緊急入院の割合を半減できたことが分かった。同院では、2013年12月から処方医と病院薬剤師、地域の薬局薬剤師が連携し、喘息やCOPD患者の教育や吸入指導を行ってきた。患者に合った最適な吸入薬を、適切な手技で途切れず使い続けられるよう支援した結果、連携前は2.4%だったCOPD患者の緊急入院割合が1年後には1.2%に減少し、4年後も1.0%と低値を維持していたことが明らかになった。
     同院の医師は、COPDや喘息患者に新たに吸入デバイスを処方した場合や患者の吸入手技に不安を感じた場合に「吸入指導依頼箋」を発行する。
    指導依頼箋を受け、病院薬剤師はデバイスごとに説明内容や評価ポイントを標準化した吸入指導評価表に基づき、薬剤部内で平均20分かけて練習用吸入器を用いた指導を行う。その上で、必要に応じて医師にデバイスの変更を提案する。
    その後、院外処方箋を受けた薬局薬剤師が吸入手技を再度確認し、不十分な手技を指導。病院と薬局それぞれの薬剤師が記入した評価表をFAXで病院に送信し、医師に状況を伝える。薬局から病院への返信率は約60%で、約6割の患者が出向く近隣11薬局に限ると返信率は90%近くに達する。
    以前は、吸入薬の指導を外来看護師が担当していたが、コントロール不良症例が散見される状況にあった。状況を改善したいと考えた医師から依頼を受け、薬剤部は13年12月、病院薬剤師にとどまらない薬局薬剤師を含めた連携体制を構築した。近隣薬局の薬剤師を対象に年数回講習会を開き、医師の処方意図を説明。吸入デバイスの操作方法や補助器具の活用法を学んでもらった。
    その結果、喘息患者では変化が認められなかったものの、COPD患者では症状の増悪によって緊急入院した割合が半減。特に軽症患者で緊急入院の割合が減少した。
    患者のQOL向上に加え、医療費を抑制する効果も見込まれる。06年の東京都老人医療センター呼吸器科の報告によると、COPD急性増悪による平均入院費用は69万円。今回の結果をもとに国内に530万人いるCOPD患者の緊急入院率を半減させた場合、日本全体で医療費は約475億円減少すると推計できるという。
    20年度調剤報酬改定で「吸入薬指導加算」が新設され、薬局薬剤師の業務は評価された。病院薬剤師が行う外来患者への吸入指導業務も今後、診療報酬での評価が望まれている。
    薬剤部では近年、吸入デバイスを新たに処方した場合だけでなく、2回目以降も継続的に薬局薬剤師が評価を行う体制に改めた。