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2021年2月号

  • ワクチン体制構築へ通知‐薬局薬剤師の優先接種受け(日本薬剤師会)

    情報提供元:薬事日報社

     日本薬剤師会は12日、都道府県薬剤師会会長宛てに、新型コロナウイルス感染症ワクチンの予防接種体制構築に向けた通知を発出した。優先接種となる医療従事者に薬局薬剤師が対象に含まれることになったため、都道府県との連携・協力のもと円滑な接種が行えるよう対応していく方針。
     具体的には、各県の薬剤師会が22日までに接種予定人数を把握し、来月25日までに接種予定者リストを取りまとめ、速やかな接種につなげる。接種を希望する非会員の薬剤師に対しても、日本保険薬局協会(NPhA)や日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)と連携して接種体制を構築する。
     新型コロナウイルス感染症ワクチンの予防接種をめぐっては、まず医療従事者への接種を行うとされており、昨年12月末から接種体制や接種順位などについて意見募集が開始されている。薬局では、「新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する機会のある薬剤師、登録販売者を含むその他の職員」が優先接種の対象に含まれることになった。
     薬局が店舗販売業等と併設される場合の薬剤師以外の職員については、「薬局に従事すると共に、主に患者への応対を行う者に限る」としている。
     ファイザーが承認申請中の新型コロナウイルス感染症ワクチンが承認された場合に、速やかな接種が可能になるよう接種体制を整える。全国の薬剤師会が22日までに接種予定者数を把握し、28日までに都道府県で調整されたワクチン保管に用いる超低温冷蔵庫の配置先も踏まえ、薬剤師が接種を受ける接種施設を確保する。
     非会員の接種も都道府県の要請を受けて実施する。既にNPhAやJACDSと連携し、接種に向けた話し合いを進めている。
     2月3日までに確保した接種場所に関する情報を都道府県に報告し、接種場所ごとの接種予定人数を確定した上で、同25日頃までに接種予定者リストを取りまとめる予定。薬剤師会から接種予定者にクーポン券付き予約票を配布し、接種日時や場所を案内する。

    接種推奨発出には躊躇‐会長協議会山本会長

    13日に都内で開かれた都道府県会長協議会では、医療従事者を対象とした新型コロナウイルス感染症予防ワクチンの優先接種に向けた体制整備を中心に議論が行われた。
     現在、各都道府県薬剤師会で接種希望者数の把握を行っており、愛知県薬剤師会の岩月進会長は、「既に3回ほど会員に接種希望者を募り、今の時点で89%の薬剤師が接種を希望している」と報告した。
     広島県薬剤師会の豊見雅文会長は、「医療人として薬剤師がワクチンを打つべきというメッセージを薬剤師会として発信するつもりはあるのか」と質問。
     それに対し、山本信夫会長は、「医療人として薬剤師がワクチンを接種すべきかといえばイエスとなる」としつつ、「mRNA型のワクチンは初めて使われるため、副反応や安全性で不安感を持つ人もいる。接種すべきというレコメンデーションを出すことには躊躇している。その人の判断に任せることになる」と回答した。
     また、福島県薬剤師会の町野紳会長がワクチンの優先接種対象とされている「薬局で頻繁に接する機会のある薬剤師やその他の職員」の“頻繁”の定義を質したのに対し、磯部総一郎専務理事は「薬局の薬剤師や従業員は患者さんの相手をしているので、通常の業務を行っている人は当然対象になるという理解をしている」と述べた。
     一方、大学病院内に敷地内薬局が開設されている件について、山本氏は「極めて由々しき問題。診療報酬で縛るのはそろそろ限界がある。別段の方法を検討したい。まずは今、何が起きているかを把握していきたい」と述べた。

    会員薬局に休業補償‐来月15日から開始

    また、日薬は来月15日から、会員薬局を対象に「コロナウイルス感染症対応店舗休業補償制度」の取り扱いを開始する。勤務する薬剤師や事務職員が新型コロナウイルスに感染、濃厚接触した場合に1事故につき30万円を補償する。補償期間は来月15日から来年2月15日まで。昨年12月21日時点の加入対象者宛てに今月下旬に募集案内を発送する予定。
     同制度は、日薬正会員である開設者、法人代表者、管理薬剤師の登録がある薬局や店舗販売業の薬剤師が対象となる。勤務する薬剤師や事務職員が新型コロナウイルスに感染、濃厚接触した際に、一時的に休業を余儀なくされた場合の喪失利益やPCR検査費用、消毒費用などを補償する。
     補償を受け取るための要件としては、▽薬局に勤務する者が新型コロナウイルスに感染、濃厚接触すること▽該当薬局を消毒すること▽所定の休業日を除いて2日以上連続して休業すること――の全てを満たす必要がある。

  • 共通プロトコル、福岡で加速‐疑義照会の包括的事前合意

    情報提供元:薬事日報社

    基幹病院と薬剤師会が連携

     福岡市内の複数の基幹病院と市町村単位の薬剤師会が共通の疑義照会包括的事前合意プロトコルを活用する動きが加速している。2年前から段階的に取り組みが進み、昨年12月から2大学病院を含む基幹病院3施設と5薬剤師会が歩調を合わせて共通プロトコルを利用するようになった。6日には、各病院と薬剤師会の関係者が今後定期的に集まってプロトコルの改訂や利用効果の数値化に取り組むことで合意した。枠組みが強固になったことで、参画する病院や薬剤師会はさらに増えそうだ。
     疑義照会包括的事前合意プロトコルは、院外処方箋を発行する医療機関と応需する薬局間で締結。プロトコルで事前に合意した項目の範囲内であれば、院外処方箋を応需した薬局薬剤師がその都度医師に問い合わせることなく、患者の合意を得た上で内服薬の剤形変更などを行える。
     共通プロトコルの原型は、九州大学病院が近隣薬局と連携して2017年に作成したもの。同年5月から個々の薬局と合意書を締結し運用を開始した。
     19年1月には福岡市薬剤師会と一括して合意を締結。福岡市薬が会員薬局とそれぞれ合意を交わすことで、九大病院が個々の薬局と合意を締結する手間を省いた。
     その後、九大病院作成のプロトコルを利用して福岡市薬と合意を交わす仕組みが他病院にも広がった。19年3月以降、福岡大学病院、済生会福岡総合病院、福岡赤十字病院、浜の町病院、九州医療センターが同様の合意を福岡市薬と締結した。
     昨年12月には参画する薬剤師会が増加。九大病院、福岡大病院、九州医療センターの3病院と、糸島、宗像、筑紫、粕屋の各薬剤師会がそれぞれ共通プロトコルの利用について合意書を交わした。3病院合同で事前に薬剤師会の会員を対象にオンライン説明会を開催するなど、歩調を合わせて取り組みを進めた。
     こうした動きの結果、これら5薬剤師会の会員薬局の約半数に当たる計492薬局が取り組みに加わる意思を表明し、共通プロトコルを利用できる状況になっている。
     九大病院副薬剤部長の渡邊裕之氏は「九大病院と近隣薬局の間で連携強化に努めてきたことが、福岡市薬との連携につながった。そこでうまく連携できたことがモデルになり、他院にも広がった」と振り返る。
     各病院が内容の異なるプロトコルを運用すると、薬局側は個別対応を迫られ業務の負担になってしまうが、共通プロトコルの利用で負担を解消でき、効率的な業務が実現する。内容が統一されているため分かりやすく、プロトコルの利用率向上も期待できる。地域に共通の基盤があることで、他の病院や薬剤師会も新たに導入しやすくなるという。
     6日には、今後、地域の基幹病院と薬剤師会の代表者ら十数人が定期的に集まって、プロトコルの改訂などを進めることで合意した。
     幅広く意見を聴取して課題を抽出し、必要に応じて内容を改める。九大病院が作成したプロトコルが、地域の関係者が協力して作るプロトコルへと発展しそうだ。
     プロトコルの活用は、医師や薬剤師の業務負担軽減、薬局薬剤師の薬学的介入の増加などに役立つと見込まれている。関係者が連携し、実際の成果を客観的な数値で示すことにも取り組みたい考え。