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2021年8月号

  • 薬剤師会が自治体と保健事業‐実績積み、薬局の役割認知‐日本医薬品情報学会学術大会

    地域住民の健康維持や医療の質向上を目指して、各地の自治体や他団体と連携して事業に取り組む薬剤師会が増えている。ウェブ上で開かれた日本医薬品情報学会学術大会のシンポジウムで、広島県内の各自治体と地域の薬剤師が連携してポリファーマシー適正化や住民の健康維持に取り組んだ事例が示された。事業に関わった薬局薬剤師は「取り組みが始めからうまくいったわけではない」と述べ、「実績を示すことで少しずつ理解を得て事業につながった」と語った。


     広島県の事例を紹介したのはホロンの石村智加子氏。同社が展開するすずらん薬局は2015年度から5年間、安芸高田市から糖尿病予防事業を受託した。薬局の薬剤師や管理栄養士らが定期的に、糖尿病の発症リスクが高い住民を対象に生活習慣や食事などを指導した結果、糖尿病の発症を防ぐことができた。


     18年度からは広島市と広島市域の3医師会、4薬剤師会、全国健康保険協会広島支部が連携協力協定を締結し、高齢者のポリファーマシー対策事業が始まった。16年度に実施された呉市安芸灘地区でのポリファーマシー現状分析に石村氏が関わったことが契機になったという。


     同事業は、レセプトデータを解析して多数の薬剤を服用している患者を抽出し、服薬情報のお知らせを送付して、医師や薬剤師への相談を促すもの。薬局薬剤師は処方内容を精査し患者にアドバイスすると共に、必要に応じて処方医にトレーシングレポートを送信する。


     薬剤師が送信したレポートに反応しない医師も少なくないものの、薬剤師の提案が受け入れられ、減薬や慎重投与薬の変更につながった症例もあったという。


     20年度には、広島市と地域の4薬剤師会が高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する連携協定を締結。多職種と連携して薬剤師は、糖尿病性腎症ハイリスク患者への服薬管理指導や、ポリファーマシー通知対象者への訪問指導、地域の健康教室での相談などを実施した。


     石村氏は「これらの取り組みは始めからうまくいったわけではない。薬局に何ができるのかと相手にしてもらえなかったこともあった」と言及。「行政や保険者を巻き込むために積極的に活動し、実績を示すことで少しずつ理解を得て、これらの事業につながった」と振り返った。


     このほか石村氏は、今後の業務について「服薬期間中のフォローアップなど薬剤師の責任が重くなっている。薬剤師業務の支援やレベルの均てん化のためICT活用は不可避」と強調。医薬品医療機器総合機構の副作用報告データベース(JADER)をもとに服薬指導や副作用管理を行えるシステム「マディア・スピーク」をすずらん薬局グループの全店で導入していると紹介した。


     それぞれの医薬品で、どの副作用が何件報告されているかが分かるため、発現頻度が高い副作用を患者に伝えて注意を促したり、患者の自覚症状から副作用を推定したりするなど、早期の対応や発見に役立つという。


     一方、高知市でつちばし薬局を展開する藤原英憲氏は、今後の薬剤師の業務について「情報提供型から傾聴型コミュニケーションになる」と指摘。薬局を訪れる患者や住民の話に耳を傾け、不安や問題をいかに引き出せるかが薬剤師職能を活用するカギになると語った。


     実際に薬局で声をかけると様々な症状の相談があり、解決策を支援できることがよくあるという。対話を通じて診療が必要と判断した場合には理由を説明し、受診を勧めている。その時には医師への紹介状を渡しており、診察した医師から診療情報提供書が薬局に届くなど、医師との連携も生まれている。

  • 厚労省・山本審議官「病院薬剤師が薬局と連携を」‐薬局認定制度の施行で

    厚生労働省の山本史大臣官房審議官(医薬担当)は、オンラインで行われた日本病院薬剤師会フューチャーファーマシストフォーラムで講演し、8月から薬局認定制度が施行されるのを受け、病院薬剤師側が積極的に薬局と連携するよう求めた。


     山本氏は、「病院薬剤師への期待」をテーマに講演。その中で、医薬品医療機器等法改正に触れ、8月1日から開始する地域連携薬局と専門医療機関連携薬局の認定制度の概要を説明した上で、「病院薬剤師のカウンターパートとして大きく活躍すると期待しているが、双方の薬剤師が患者をしっかりとフォローし、連携して効果を上げることが重要。医療機関側から連携の手を積極的に出してほしい」と求めた。


     医薬品等の製造販売に必要な承認申請資料の提出様式や媒体も時代と共に変化しているとし、「おそらく来年にはオンラインで申請データ、申請そのものも受け付けることになる」と述べた。


     一方、時代が進んでも薬剤師の使命は変わらないとし、「医薬品のリスクを最小化、ベネフィットを最大化する努力をし、患者の疾患を治療、改善するために薬剤師が力を発揮することだ」と強調した。


     医療現場における医薬品の活用状況にも言及。薬効分野別の治験届出件数の推移から、右肩上がりで増加している抗悪性腫瘍薬の開発が今後必要になるとした。


     脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬の「ゾルゲンスマ」など遺伝子治療製品の登場も相次いでいるとし、「非常に高額な医療技術だが、ニーズがある製品を現場に届けることは必須」との認識を示した。