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2021年9月号

  • 【日薬学術大会】完全ウェブ開催に変更‐新型コロナ拡大で決断

    情報提供元:薬事日報社

     日本薬剤師会は、来月19〜20日に福岡市で開催される「第54回日薬学術大会」について、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、当初予定していた現地開催とウェブ開催を組み合わせたハイブリッド形式を取りやめ、ウェブ配信のみによる完全ウェブ開催に変更することを決めた。日薬学術大会が完全ウェブ開催となるのは初となる。開催の運営方法など具体的な変更についての詳細は速やかに大会ホームページで公表する予定だ。

     開催地となる福岡県では、今月6日に1日の感染者数が過去最多となり、12日には1000人を突破。県からはまん延防止等重点措置から緊急事態措置への適用に変更するよう国に要請も行われている。

     県境を越えた移動や人流抑制が呼びかけられているものの、速やかに感染者が減少することが想像し難い状況下で、医療従事者である薬剤師の学術大会が県境を越える形で開催される点、緊急事態措置の適用が会期と重なった場合は、開催会場の使用制限などによる中止も想定される点を考慮した。

     ウェブに特化した学会開催の準備を進めるためには、開催日まで残り1カ月となるこの時期が「意思決定を行う上でギリギリの時期」(原口亨福岡県薬剤師会会長)であったため、土壇場で苦渋の決断を下すことになった。

     福岡県薬では、昨年10月に札幌市で開催された学術大会と同様、新型コロナウイルス感染症拡大に対応したハイブリッド形式による開催を準備してきた。

     原口氏は、「大変残念な思いだ」と吐露。「優先すべきは医療提供体制の確保。全ての医療職種が医療提供体制の確保に対応する中、われわれ薬剤師が現地開催でやりたいといってもそれは難しい」と述べた上で、「コロナを原因に学会を中止にすればいいという話でもない。自己研鑽の場を継続して提供していく意義を考えると、今できる最善の方法が完全ウェブ開催だった」と説明した。

     完全ウェブ開催となることで、「機材や資材、オペレーションも変えないといけないので準備はとても大変になる。この1カ月間で進めていかないといけない」と語った。既に約9500人が事前に参加登録を済ませており、「ウェブから学術大会に参加する方法がメリットとして捉えられるようにしていきたい」と述べた。

  • 2年後3万人の利用者に‐アイ・ファルマ拡充に注力(木村情報技術)

    情報提供元:薬事日報社

     木村情報技術はこのほど、創立15周年記念セミナーをオンラインで開催した。2005年の起業後、ウェブ講演会ライブ配信サービスや人工知能(AI)チャットボットサービスが製薬企業を中心にヒットし、今では400人以上の社員を抱えるまでに成長した同社。製薬企業のMRを経て同社を立ち上げた木村隆夫社長は同日のセミナーで、多施設の医療従事者が医薬品情報を管理・共有するクラウドシステム「AI-PHARMA(アイ・ファルマ)」の拡充に引き続き注力すると報告。2年後に3万人の利用者獲得を目指す考えを示した。
     アイ・ファルマは、岡山大学病院薬剤部との共同研究で開発したシステム。院内のDI室と医療従事者の質疑応答事例や様々な情報源を整理し、AIを利用して必要な情報の素早い抽出が可能で、全国の医療従事者は無料で利用できる。
     岡山大学と共同研究を続けており、段階的に機能を拡充している。今年12月には機能をリニューアルし、院内外で双方向のやりとりができる掲示版機能や、製薬企業などがイベントを告知できるお知らせ機能などを実装する予定だ。
     木村氏は、多数の利用者が協力し集合知として活用できるように「仮想空間上にスマートDI室をつくる」と展望。現在は薬剤師を中心に約1200人が利用しているが、1年後には5000人、2年後には3万人、将来は15万人の利用者を獲得したいと語った。
     同日のセミナーでは医療業界の関係者がデジタルトランスフォーメーション(DX)の方向性を討議。病院薬剤師を経て起業した佐古卓人氏(H&H CONNECT取締役)は、製薬企業から医療従事者に提供される情報のあるべき姿として「構造化された再利用性の高い情報が本当に価値のある医療情報と言える」と強調した。
     佐古氏は「現状では製薬企業のMRが分かりやすい説明をしてくれたり、見やすい資料を作ってくれたりすることが価値のある医療情報とされているが、数カ月後に実際の患者を目の前にした時、容易に引き出せない」と指摘。電子カルテなどと連携して情報を再利用できるように、製薬企業に対して、標準的なコードでタグやラベルをつけた情報や、XML等で構造化した情報の作成や提供に取り組むよう求めた。
     木下芳一氏(兵庫県立姫路循環器病センター院長)は、あるべき電子カルテの姿について「リスクの高い薬を処方する場合にはAIが検査データを評価して止めてくれたり、最新のガイドラインに反する医療行為には警告を発したりするなど、電子カルテが助けてくれることを期待している」と展望を語った。