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2022年6月号

  • 薬局間連携で「ハブ薬局」‐無菌調剤や災害など対応(厚生労働省作業部会)

    情報提供元:薬事日報社

     厚生労働省の「薬局薬剤師の業務および薬局の機能に関するワーキンググループ」が19日に開かれ、地域における薬局間連携で「ハブ機能」を担う薬局を設ける厚労省案に肯定的な意見が相次いだ。災害等対応に関しては、行政や医師会、薬剤師会が中心となって対応を検討する必要性が示される一方、薬剤師会の協力姿勢を疑問視する声も上がった。

     地域包括ケアシステムの構築を目指す中、小規模薬局が単独で多様な薬局・薬剤師サービスを提供するのは難しいため、地域で求められるサービスを提供するには薬局間の連携が不可欠とされている。この日の作業部会で厚労省は、地域連携のあり方として薬局間連携の中心となる「ハブ薬局」を位置づけ、各薬局が連携を通じ特色あるサービスを提供していく姿を示した。

     ハブ薬局は、地域内の薬局が持つ多様なリソースを把握し、連携のハブ機能や個別薬局では難しいサービス提供などを担うとした。薬局間の連携内容としては▽無菌調剤▽災害対応▽医薬品の融通――などを例示した。

     橋場元構成員(日本薬剤師会常務理事)は、「ハブ薬局という新しい類型を作るのとは異なるし、全国にハブ薬局を作るのも違う」とハブ薬局設置ありきの案に慎重姿勢を示す一方、「地域のステークホルダーが連携のあり方を話し合い、その結果としてハブ機能を持つ薬局があっても良い」と地域医療計画の中で位置づけるべきとの考えを述べた。

     藤井江美構成員(日本保険薬局協会常務理事)は、へき地など医療資源が少ない地域での活用を挙げ、「医療機関も毎日は開いていない中、地域を支える意味で調整の役割を担う薬局も必要」と賛同した。

     猪口雄二構成員(日本医師会副会長)は「人材や設備が充実しているチェーン薬局がハブ薬局を担うようになれば、チェーン薬局と個人薬局の問題が出てくるので、どう整理するかが難しい」と指摘。「小規模薬局の質を上げる方向に行かないと、なかなかうまくまとまらない話」とした。

     山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)も、「大手チェーン薬局はスタッフの異動が多い」として、薬局間の信頼関係構築に影響が出ることを懸念した。

     また、災害や新興感染症の発生時に備えた対応に関して、橋場氏は「多職種が一堂に会して決めることが必要で、その中に地域の薬剤師会が関わることが絶対に大事」との認識を示した。

     しかし、佐々木淳構成員(医療法人社団悠翔会理事長)は、在宅療養となった新型コロナウイルス患者への対応を引き合いに「大手チェーン薬局が患者宅に医薬品を届け、地域の在宅患者の死亡率を確実に下げた」と評価した一方、「薬剤師会は門前払いだった。公的業務は薬剤師会が出てくると聞いているが、ほとんど機能していない」と対応を批判した。

  • 多剤服用対策を地域展開‐病院内から外来、在宅へ(厚生労働省)

    情報提供元:薬事日報社

    厚労省がモデル事業
     厚生労働省は、診療所や薬局、介護施設などが連携した高齢者のポリファーマシー(多剤服用)対策を推進するため、今年度に複数地域を対象にモデル事業を開始する。大規模な医療機関を対象としたモデル事業の第1弾では、院内での対策チーム設置に加え、処方見直しや減薬などの効果が見られた。医療機関での運用と同様、病院や薬局が連携した地域の取り組みでも国が作成した業務手順書を活用し、対策を進める上での課題を抽出する。ポリファーマシー対策が院内から地域へと広がり、2023年度以降には全国の各地域が取り組みに着手できるよう準備を進めていく。

     ポリファーマシーをめぐっては、医療機関や地域の単位で実施していく重要性や課題は認識されているものの、取り組み事例は少ない。厚労省は19年に国として初めて高齢者の特徴に配慮した薬物療法を実践するための基本的な留意事項をまとめた「高齢者の医薬品適正使用の指針」を策定。

     さらに昨年3月には、ポリファーマシー対策にどう着手していいか分からない医療機関に対し、指針の内容から実践へと促すための取り組みを分かりやすく記載した業務手順書を作成した。

     昨年度に実施した医療機関を対象としたモデル事業では、ポリファーマシー対策のチーム体制整備に業務手順書が役立ったとの成果が報告されている。処方見直しや減薬を評価する診療報酬の算定件数が増加する病院も確認されたという。

     今年度は、ポリファーマシー対策を院内から医師や薬剤師の連携のもと、地域へと広げるための準備を進める。約856万円の予算を計上し、医師会や薬剤師会が連携してポリファーマシー対策に取り組む地域を対象に業務手順書の有用性を検証するモデル事業を実施する。

     各地域から提出された企画書の募集を終え、21日には企画書の提出を行った各事業者がプレゼンテーションを行った。高齢者医薬品適正使用推進事業の企画評価委員会が提出者から複数地域を選び、契約候補者の採択手続きを進めている。正式に契約がまとまれば選定地域で業務手順書を活用したポリファーマシー対策事業を開始する。

     病院と地域では、ポリファーマシー対策の課題に違いがあるのが現状で、厚労省も「病院でのポリファーマシー対策の導入を促進するための業務手順書がそのまま地域に適用できるか検討が必要」との考えを示す。

     例えば、連携体制の確保については、病院の場合は院内での連携になるため、関係職種への周知やチーム設置などによる連携体制構築が比較的容易だ。

     しかし、地域の場合は複数の病院、診療所、薬局、介護施設などにまたがる連携が必要となるため、連携体制の構築が比較的複雑になりやすい。

     処方見直しの方法も、病院では主治医などへの確認・相談で対応できても、地域の場合は見直しが必要と考えられる薬剤が受け付けた処方箋に含まれない場合、トレーシングレポートでの対応となり、処方変更から継続の検討、決定までに時間を要する。

     こうした状況を踏まえ、地域を対象とするモデル事業では、病院向けの業務手順書から不足する内容や課題などを明らかにし、業務手順書に追記・修正する内容があれば23年度に改訂を行う。成功事例も集積することでポリファーマシー対策が未着手となっている地域の取り組みを促し、全国に広げていく方針だ。