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2022年8月号

  • 薬局の抗癌剤調剤で手引き‐適切な薬剤師業務へ留意点(日本臨床腫瘍薬学会)

    情報提供元:薬事日報社

     日本臨床腫瘍薬学会は、抗癌剤の処方箋を取り扱う機会が少ない保険薬局の薬剤師が調剤業務で注意すべき点や行うべき事項を「かかりつけ薬剤師・薬局におけるがん薬物療法に関する業務ガイダンス」としてまとめた。保険薬局が副作用マネジメントや患者の服薬情報の共有、不安軽減などに取り組むことが安心で安全な癌薬物療法につながるとし、処方箋受付時から投薬後のフォローアップまで適切な業務を行えるよう留意点を盛り込んだ。

     ガイダンスでは、癌薬物療法における調剤業務の注意点として、抗癌剤治療中の患者情報の収集に当たって、特に薬剤名、用法用量、投与期間、休薬などのレジメンに基づく内容、オピオイドの使用状況や効果、副作用などの患者に最適な疼痛緩和のための情報を確認すべきとした。

     処方監査においては、ハイリスク薬である抗癌剤では休薬期間があったり、レジメンや適応症によって投与量、休薬期間が異なる場合が多いことから、特に注意が必要とした。

     疑義照会に当たっては、医療機関の薬剤部が窓口になる場合もあるため、患者背景なども含めた疑義の要点を説明できるようにしてから実施するよう留意すべきとした。支持療法薬に関しては、具体的な処方提案などの対応策を予め考えた上で疑義照会を行うこととし、次回来院時の対応でも問題ないと考えられる内容の場合には、トレーシングレポートによる情報提供も考慮するよう求めた。照会内容、照会結果は適切に記録し、調剤後のフォローアップに活用できるようにすることを求めている。

     実際の調剤においては、患者の残存機能に応じて1回量包装で薬剤調製することや、口腔内崩壊錠への剤形変更、簡易懸濁法の指導など適切な設計を行うべきとした一方、1回量包装での調剤時の抗癌剤表面やPTP包装からの曝露、散剤調剤時や粉砕時の曝露に注意が必要とした。

     薬袋については、休薬期間が存在する薬剤があることや他の薬剤と混同するリスクが高いことを踏まえ、1薬品ごとに1薬袋として薬剤を調製する対応のほか、内袋を活用して他の薬剤と物理的に分けることが有用とした。休薬期間中に誤って抗癌剤を服用しないよう薬袋に服用スケジュールを記載するなどの対応を行うことも望ましいとしている。

     調製された薬剤の監査については、抗癌剤は規格や薬剤の取り違えが重篤な副作用に直結するリスクが高いことから、特に注意が必要とし、服用期間と休薬期間の設定が煩雑であることや処方日と内服開始日が違うこともあるため、薬袋の記載や説明資料の確認も重要な確認項目とした。

     投薬後の患者フォローアップについては、抗癌剤は薬剤の特性から有害事象の発現可能性が高く、外来治療では患者が自ら副作用の予防や対処を行わなくてはならないため、次回来局までに患者フォローアップを行う意義は大きいと強調。

     服薬状況、体調変化の確認、有害事象モニタリング、支持療法薬の適切な使用の支援、患者の不安感軽減に向け、対面や電話、SNSなどのICTといったどの手段が適当か、双方向性が維持されているかといった視点でフォローアップの手段を選択することが重要とした。

  • 【厚労省調査】薬剤師不足の認識に乖離‐都道府県と病院薬剤師会

    情報提供元:薬事日報社

    都道府県内における病院薬剤師の偏在状況について、都道府県病院薬剤師会の9割以上は「薬剤師不足が生じている」と回答した一方、都道府県と都道府県薬剤師会の半数以上は「不足は生じていない」と認識にギャップが見られたことが、厚生労働省が実施した調査で明らかになった。国公立病院や公的病院で薬剤師不足を認識する声が強く、地域における薬剤師の充足実態を把握し、それを踏まえた経済的・制度的な対応策の検討が求められそうだ。

     調査は、昨年度予算事業の「薬剤師確保のための調査・検討事業」によるもの。13日の厚労省検討会で公表した。医師・歯科医師・薬剤師統計の個票データ(薬剤師分)を活用し、都道府県や都道府県薬剤師会・病院薬剤師会、3183病院、3200薬局などにアンケート調査を行った。

     薬剤師の地域偏在について、病院で「都道府県内の多くの地域で薬剤師不足が生じている」「一部の地域で生じている」と回答したのは、都道府県が約49%、都道府県薬剤師会が約33%となった一方、都道府県病院薬剤師会は「多くの地域で生じている」が70%、「一部の地域で生じている」が23%と合計で93%に達していた。

     これに対し、薬局での薬剤師不足については、都道府県が5割、薬剤師会が8割となったが、病院薬剤師会は2割に満たず、半数以上は「ほとんど生じていない」と回答。都道府県と都道府県薬剤師会、病院薬剤師会の間で薬剤師不足の把握状況や認識に大きな乖離があった。

     薬剤師の充足感について「不足している」と回答した割合は病院が65%、薬局が41%となり、二次医療圏の人口規模に関わらず、病院が薬局よりも「全く足りない」の回答割合が高く、両者で約3倍以上の差が見られた。

     国公立病院は約8割、公立病院は約7割、公的病院は約9割が薬剤師不足を認識する一方、医療法人は約5割の回答にとどまり、差が見られた。高度急性期・急性期機能の病院は、回復期・慢性期機能の病院と比べて薬剤師不足を認識する病院の割合が高かった。

     薬剤師不足を認識している病院の53%で薬剤師の時間外勤務が増えていた。薬剤師不足により生じている弊害について、72%が病棟業務、52%がチーム医療への参画に支障があると回答した。

     一方、薬剤師不足を認識している薬局では52%で薬剤師の時間外勤務が増え、薬剤師不足により54%が在宅対応、36%が地域での多職種連携に支障があるとした。