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2022年9月号

  • 対人業務の評価軸が論点、安川薬剤管理官「現場からエビデンス発信を」‐調剤報酬改定

    情報提供元:薬事日報社

     厚生労働省保険局医療課の安川孝志薬剤管理官は、本紙のインタビューに応じ、2024年度の次期調剤報酬改定に向け、「薬剤師が行ういろんな取り組みの中で、患者に対して良くなった、医療の質が上がったと評価するポイントとしてどんなものがあるのか考える必要がある」と述べ、対人業務の評価軸を設定することが重要との考えを示した。評価軸の考え方については「患者にとってどうだったかというデータやエビデンスをまとめてもらうことで初めて議論できる」とし、現場から声を上げてほしいと呼びかけた。

     安川氏は、患者のための薬局ビションが策定された以後、「この数回の改定は単に薬を出すという評価ではなく、患者のために何をしたかを視点に置きながら、薬剤師の取り組みをいろんな形で評価してきた」と説明する。

     ただ、薬剤師の対人業務においてアウトプットやアウトカムで評価すべきとの指摘がある中、評価軸を決める難しさにも直面していることに言及。「医師であれば医療技術を評価すれば良いが、薬剤師は技術というより、指導をしてどうだったかが評価の中心であるため、評価軸が限られている範囲の中で評価ポイントをまとめなければならない」との認識を示す。

     今後、対人業務の評価軸を決めるに当たっては、「厚労省の思いよりも、現場で今何が動いているのか、それをどう評価するかというのが基本的なスタンスになる」と述べ、薬剤師の価値が示されたデータやエビデンスが現場から発信され、検討できる材料を土台に改定を進めていきたい考えを示した。

     具体的な例として、4月の改定で新設された医療的ケア児に対する薬学的管理や指導を行った場合の評価を挙げ、「日頃からしっかりと取り組んできたことを評価するのも大事なポイントとなる」と話す。

     昨年8月にスタートしてちょうど1年が経過した認定薬局制度の評価については、「実態として認定薬局の必要な機能をどう果たしているかという情報があってこその議論になる。認定ありきの話ではない」としている。

     リフィル処方箋の推進に向けては「今回の改定を検証した上で考えていくことになる。医師からリフィル処方箋が来て、薬剤師が聞くべきポイントをきちんと聞いたのか、それに対して患者がどう感じたかが重要」と話している。

    薬価制度改革「難しい連立方程式」
     一方、薬価制度改革に向けては、「製薬企業にきちんとした開発力を持ってもらい、安定供給をしっかりできるような環境を作ってもらうのは大事なミッションだと思う。一方で保険制度が崩れてはいけないので、なかなか難しい連立方程式を解かなければいけない状況にある」と話す。

     薬価制度が複雑化していることについては、「いろんなルールを積み重ねて現状の薬価算定ルールがあるが、全体としては関係者が期待するルールにはなっていないような気がする。ルールそのものは都度変えているが、今の医薬品産業の中で新薬、後発品を作る企業にとって、開発や製造の実態にどこまで合っているのか常に見ていく必要がある」と語る。

     毎年薬価改定による製薬業界への打撃を懸念する声が上がる中、「薬価と市場実勢価格が一定程度乖離している状況であれば、国民負担の軽減を考えると薬価を下げないのはなかなか難しい。毎年薬価改定があるから困るではなく、それによって製薬業界に与える影響を具体的に説明してもらいたい」と要望した。

  • 薬剤師数充足率は微増‐97%適合、高値を維持(厚生労働省)

    情報提供元:薬事日報社

     厚生労働省は18日、全国の病院7749施設に対する2019年度立入検査の結果を公表し、薬剤師数の適合率は前年度比0.4ポイント増の97.1%だった。過去数年間にわたって96%以上を示していることも踏まえ、厚労省は「高い数値を維持しており、業務を遂行する上で特段の問題はない」と分析した。

     医療法第25条では、病院が同法が規定する人員、設備を備え、適正な管理を行っているかどうかを厚労省が検査することとしており、院内で勤務する医師や薬剤師等の充足率、安全管理体制の確保状況等を確認している。

     充足率に関しては、同法施行規則で定める標準数に対する医療従事者数の割合を示しており、19年度は全国7749施設を対象に実施した。
     その結果、薬剤師数の適合率は97.1%(7527施設)で、前年度の96.7%を上回った。

     15年度から19年度までの適合率は96.3%〜97.1%で推移していることから、厚労省は「全体として高い数値を維持しており、業務を遂行する上でも特段問題ないのではないか」との見解を示した。

     適合率を地域別に見ると、近畿98.8%、関東98%、北陸・甲信越97.9%、中国97.7%の順に高かった。東日本の平均は97.7%、西日本は96.6%で、それぞれ前年度より0.6ポイント、0.4ポイント上昇した。

     病院種別・病床規模別では、一般病院、精神科病院、結核病棟などその他病院について、500床以上では99.2%、300〜399床で98.8%と比較的高かった一方、20〜49床では94.1%、50〜99床では97.4%にとどまった。

     一方、厚労省は、高度な医療を提供する特定機能病院に関する21年度の立入検査の結果も公表した。18施設に立入検査、69施設に書面で確認を行った結果、指摘事項があった病院は41施設だった。

     内訳を見ると、「口頭指摘事項」があったのは40施設、「検討を要する事項」を通知したのは3施設だったが、「不適切事項」を通知した病院はなかった。口頭指摘事項は101件で、このうち、「医薬品、医療機器の安全管理のための体制確保」は6件だった。

     医薬品関連として、業務手順書の内容が医療法施行規則に沿ったものでないとして、修正が必要と判断したものが1件だった。指摘のあった病院に対して、翌年度の検査で改善状況を確認する方針だ。