2025年1月号
【NPhA】半数以上が後発品を選択‐長期品選定療養に一定効果
【日病薬 武田会長】今年度中に30施設超えも‐薬剤業務向上加算の算定
【NPhA】半数以上が後発品を選択‐長期品選定療養に一定効果
情報提供元:薬事日報社
長期収載品にかかる選定療養の説明を受けた患者のうち、後発品への選択を希望した患者は中央値で60%、平均値で55%に達したことが、日本保険薬局協会(NPhA)が実施した調査で明らかになった。NPhAは「半分以上は後発品を選択し、一定程度の効果があった」と分析。自己負担額が増額となり後発品に切り替える患者が増え、後発品使用率が上昇した薬局の増加を評価した。一方、後発品の品目数が増えて長期収載品が不動在庫となるなど「在庫管理上の課題に対応することが必要」と指摘している。
調査は11月1日から今月4日にかけてオンライン調査で実施し、4551薬局から回答を得た。
長期収載品にかかる選定療養の説明を受けた患者のうち、後発品への変更を希望した患者のおおよその割合を聞いたところ、「5割」が844薬局と最も多く、「7割」が833薬局、「8割」が733薬局と続いた。説明を受けた患者のうち、長期収載品の選定療養を選択した患者に支払いを求める特別の料金の平均金 額は586円だった。
長期収載品の選定療養の対象患者に説明を行った際に算定される「特定薬剤管理指導3-ロ」の平均算定率は3.12%、患者1人当たりのおおよその説明・対応時間の中央値は「1~3分以内」で平均値は2.89分となった。
長期収載品を調剤した理由の内訳を見ると、「医療上の必要性から長期収載品を調剤」が19.6%、「患者本人の希望」が46.2%、「保険薬局における後発品の在庫状況を踏まえ、後発品を提供するのが困難」が34.2%となった。
特出すべき好事例については722薬局のうち、約130薬局が「後発品使用率の向上」を挙げた。特に小 児や公費負担患者の後発品使用率が上昇していた。
後発品使用を拒否していた患者が自己負担額の増額で後発品を選択するようになるなど、「患者の意識変化」を挙げたのは約70薬局に上った。
そのほか、「先発品と原薬や製法などが同一のオーソライズドジェネリック(AG)があることを知らせると変更してくれる」「薬剤師の説明スキル向上」「患者とのコミュニケーションが増え信頼関係が深まった」などの好事例も報告された。
一方、薬局が負担となっている工程を聞いたところ、最も多かったのが「対象患者への制度説明」で85.8%、次いで「対象患者からの意向聴取や相談対応」が71.0%、「差額の算出」が66.8%となった。一方、「後発品の在庫確認」は47.1%、「変更に伴う医薬品調達」は33.2%、「変更に伴う欠品発生・対応」との回答は32.3%となった。
制度開始後は患者説明の工程が負担となっていたが、今後は「調達・在庫管理」の業務に対する負担感が増えていくと予測している。フリーコメントでも、「後発品への変更が進むことで長期収載品が不動在庫となり廃棄リスクが高まっている」「品目数が増えてしまい、在庫金額が上がり管理も大変になった」「後発品の安定供給に不安があり在庫確保に苦慮している」など、中間年改定が行われた場合には評価損となることへの懸念も指摘された。
石井僚特任部長は12日の記者会見で、リフィル対応に加え、長期収載品の選定療養でも「医療上の必要性」や「患者希望」の項目をチェックしなければならない処方箋様式の複雑化を問題視。「薬局現場で目視で確認しなければならない項目が多く、チェックにストレスがかかっている。本来であれば薬学的業務に注力しなければならないが、アナログ的なところに力を使わなければいけないことが悩みになっている」と吐露した。
【日病薬 武田会長】今年度中に30施設超えも‐薬剤業務向上加算の算定
情報提供元:薬事日報社
日本病院薬剤師会の武田泰生会長は11日に都内で記者会見し、全国で拡大している基幹病院から地域の病院への薬剤師出向に言及。「6月時点で薬剤業務向上加算を算定しているのは3施設だったのが、現在は10施設まで増えている。20を超える都道府県が準備段階にあるので、今年度中には30を超えてくるのではないか」との見方を示した。
武田氏は、薬剤師出向が広がっている現在の動きについて、「非常にありがたいと思っている」と述べた。薬剤業務向上加算は、病棟業務実施加算(120点)に上乗せされる形で100点が加算されるなど、薬剤部にとって大きな収入が見込めることから「算定する施設は病院薬剤師を確保していただきたい。少なくとも数千万円の収入があれば、3~4人は新しい人を採用して進めてもらいたい」と要請した。
薬剤師確保策に取り組む日病薬は、各都道府県における地域医療介護総合確保基金の活用状況に関する調査を実施する予定だ。武田氏は「薬剤業務向上加算も薬剤師確保策の一つの案として入ってきているので、施設の契約や選定をどのように行っているかの情報を収集・解析していきたい」と語った。
会員施設における来年4月の薬剤師採用状況についても「定員数に対する充足率や入職者数などを調査していきたい」と述べた。
武田氏は、「感触としては病院見学者が増えている。大学からも確実に病院希望が増えてきているとの声も聞いているので期待している」と語った。