2025年9月号
薬情に二次元コード印字-患者向ガイド取りまとめ
薬剤師不足病院の評価カギ-26年度改定へ中間まとめ

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薬情に二次元コード印字-患者向ガイド取りまとめ

情報提供元:薬事日報社

医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、患者向医薬品ガイド検討会の取りまとめを公表した。全医療用医薬品を対象に製薬企業がガイドを作成し、患者が理解しやすい「必須版」から始め、薬局等が提供する薬剤情報提供書に二次元コードを印字してアクセスする方法などを求めた。課題である認知度向上対策として、周知啓発キャンペーン、患者等向けシンポジウムの実施等が必要とした。ガイドの運用については取りまとめに記載された内容を踏まえ、厚生労働省と連携しながら検討を進めていく予定としている。

昨年12月から6回にわたって議論した内容をまとめたもの。ガイドの目的として、公的機関が保証した信頼できる情報を発信し、患者等が医師・薬剤師等に質問・相談するきっかけになると共に、薬剤師等による説明ツールとして活用されることで円滑なコミュニケーションを促すことなどとした。

全ての医療用医薬品を対象品目として教科書的に作成され、今後新規承認される品目、ガイド未作成の品目の作成にも取り組む。一方、漢方処方の調製に用いる調剤原料、洗浄・消毒薬といった患者が薬剤として認知しにくいものは作成の対象外とした。

患者が理解しやすく、医療関係者も利用しやすいよう原則A4判1枚、最長でも2枚程度の文量にまとめた「必須版」、詳細を知りたい患者向けに現行ガイドと同程度の内容を含んだ「詳細版」の2部構成とし、ガイドの認知度が低い現状を踏まえ、必須版の作成・普及を優先するとした。

一般の人たちに理解してもらうため、用語は小学校高学年程度が理解できる用語を使用し、漢字が四つ以上並んだ副作用名や医学専門用語の羅列とならないよう適切な用語に置き換える。

必須版では、販売名・一般名・製剤写真、どんな薬かや使用に当たり注意すべきこと・副作用、使用できない人・特に注意して使用すべき人などを記載項目とし、内容は項目間での重複を避けることなどとした。

製薬企業のガイド作成に当たり、行政が必須版の記載内容や記載方法を解説した新たな手引きを作成。企業は手引きに基づき、現行ガイドが未作成の品目について速やかに必須版を作成し、既にガイドがある品目では未作成品目よりも優先度を下げて順次、必須版を作成する。新規承認品目については販売開始までに必須版を作成するとした。

必須版を一定程度作成した段階で患者等のニーズに関する調査を行い、調査結果を踏まえ、ガイド内容の改善、詳細版の作成も検討する。

ガイドの提供方法としては、医療機関・薬局が提供する薬剤情報提供書に二次元コードを印字し、コードからアクセスする方法を優先的に推進しつつ、PTPシート等に記載されたGS1コードからアクセスする方法、電子版お薬手帳など各種PHRにおける医薬品の説明としてガイドにアクセスする方法に関しても機能整備を進めていくことが望ましいとした。

 

薬剤師不足病院の評価カギ-26年度改定へ中間まとめ

情報提供元:薬事日報社

中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織入院・外来医療等の調査・評価分科会は7月31日、2026年度診療報酬改定に向けた実態調査の検討結果となる中間取りまとめ案を了承した。病棟薬剤業務実施加算の届出数が増加する中、小規模病院では同加算によって薬剤師の人件費を確保できず未算定施設が多いなど、病院機能や規模、地域によっては必要な薬剤師数を十分に確保できていない問題を提起した。今後、「病棟配置の効率化や薬剤師確保への取り組みについて、25年度入院外来調査の結果等を踏まえ、さらに検討する」としている。

中間取りまとめ段階だが、前回の24年度改定に比べて病院薬剤師確保に関する問題点を多く指摘している。26年度改定では、病院薬剤師が不足している地域の病院、急性期病院に比べ、加算が取りづらい慢性期・回復期病棟、病床数が少ない小規模病院に対する評価がポイントとなりそうだ。

病棟薬剤業務実施加算の届出医療機関数は年々増加し、「薬剤師による介入が医師の負担軽減に寄与している」と明記した。

24年度改定で新設された基幹病院から地域の薬剤師が不足している病院に出向した場合に算定が可能な「薬剤業務向上加算」についても、委員から「出向した薬剤師の成長や受け入れ先の地域医療機関における薬剤業務の質の向上につながっている」との発言があり、同加算を評価する意見が紹介された。

一方で、小規模病院の薬剤師確保を課題に位置づけた。7月の分科会では、委員から「薬剤師の人件費を賄う場合、病棟薬剤業務実施加算により150床程度の算定で得られる診療報酬でようやく1人分となる」と、小規模病院に対する評価見直しを求める意見が出ていた。

薬剤業務向上加算も算定施設が増えているものの、地域によっては基幹病院から地域病院への出向が難しく、「地域の医療機関に出向できる薬剤師の確保が課題」と指摘されている。

分科会では、今後明らかになる調査結果を踏まえ、病棟配置の効率化や薬剤師確保に対する取り組みを検討していく考えだ。

中間取りまとめでは、医師の処方に基づく医薬品の調剤業務(いわゆる対物業務)について院内処方と院外処方を比較した場合の評価に差がある現状に言及。

委員からの「院内処方と院外処方との同一業務に対する報酬上の点数差が大きすぎるため、薬局薬剤師数が大幅に増加し、病院薬剤師数が人手不足に陥っていると考えられるので、再度検討すべき」との院外処方の適正化を求める意見に加え、別の委員からの「院内処方の評価を上げることで院内処方の増加につながる恐れがあるので、入院患者の調剤に対する評価を検討してはどうか」との意見を両論併記した。

また、高齢者の多剤服用によるポリファーマシー対策では、急性期病棟では在院日数が短く病院薬剤師が十分に取り組めない問題点を指摘した。

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