YUYAMAの開発ストーリー(ユニバーサルカセット編)
複数種類の薬を服用している患者様にとって、服薬管理に役立つのが一包化調剤です。患者様にとっては便利であり飲み間違いを防ぐ安全面も担保される一方で、調剤を行う薬剤師さんにとってはどうしても手間がかかってしまいます。
従来は一包化する薬剤を手撒きしていましたが、時間がかかるうえにヒューマンエラーも起きやすいなどのデメリットがありました。これを解決するのが、ユニバーサルカセット(UC)です。今回はUCの開発に至った経緯を紹介します。
始まりは「薬剤師さんの負担を改善したい」という思い
従来は分包機に搭載できる錠剤カセットの数には限りがあり、カセットに搭載できない錠剤は薬剤師さんが一つずつマス目に手撒きをしなければなりませんでした。しかし手撒きにはどうしてもミスが付きまとい、薬剤師さんの心理的負担にもなっていたのです。
こうした現場の状況を受けて、YUYAMAの製品開発メンバーは「薬剤師さんの負担をなんとか改善したい」という思いから、一丸となって一包化をめぐる課題の解決に取り組むことになりました。
しかし薬は形も大きさも千差万別。それらを一つのカセットで払い出せるようにすることが最大の難関でした。まずはありとあらゆるパーツフィーダー(部品供給装置)を調査しましたが、さまざまな部品を一つのパーツフィーダーで搬送するものは見つからず……。
そこで、パーツフィーダーの構造をヒントに、2 枚の円盤を回転させて錠剤を払い出す独自の機構を発案することに。それによってあらゆる形状の錠剤の正確な取出しが可能になり、さらに錠剤の幅や高さに合わせて、カセット払い出し口の形状が自動で変わるようにしました。その結果、コンパクト化、清掃性・静寂性の向上につながりました。
また、円盤の動作やカセット払い出し口の形状を制御するには、UC 独自の錠剤分類を作る必要がありました。既存の錠剤カセットの製造に使用している形状分類を参照し、同じ分類でサイズが異なるもの、同じサイズで形状が微妙に異なるものを抽出。無駄のない確実な検証を実施し、ようやく新たな分類を作り上げることに成功したのです。
小型化、分解清掃可能など、機能性をとことん追求
次の難関となったのは、カセットのサイズでした。薬剤師さんの使い勝手を考え、目指したのは小型分包機「charty(シャルティ)」に5個搭載できるサイズ。もともと使用を考えていたモーターでは大きすぎたため、メーカーに交渉し、超小型モーターを開発してもらうことになりました。
そのほかにも社内外の協力で乗り越えた難関は挙げればキリがありません。たとえば、UC にはさまざまな薬剤を入れることから清掃しやすいよう簡単に分解できる構造にしたり、薬品名の表示を変えられるように初めて電子ペーパーを採用したり…。さらに薬剤師さんが扱いやすいように、カセットの部分とモーターの部分を分けて軽量化も実現しました。
発売後、薬剤師さんから想定以上の反響
2016 年7 月、満を持して発売を迎えたUC は、薬剤師さんの業務を変えました。それまで手撒きが必要だった錠剤を、薬品ごとにまとめてドサッとUC に入れるだけで分包が可能になり、手撒きする回数が減ったことでミスの心配も減少しました。
実際にUCを使用した薬剤師さんたちが、SNSで「UC がとても便利で感動」「機械工学の進歩を目の当たりにした」「薬剤師1 人分の仕事をしてくれる」などと発信して、話題になったこともあります。
錠剤カセットの常識を打ち破ったUC は、いまだに競合他社の追随を許しません。そして、YUYAMA の錠剤カセットはさらに進化を続けています。
<編集後記>
- マスへの手撒き作業は撒き間違いが許されないため、神経を使う作業だと認識しています。その精神的不安を解消するためのアイテムとしてUCは有効です。多くの方々に知っていただき貢献できれば幸いです。(開発担当:M.M)
- 製品開発の起点にあるのは、やはり薬剤師さんの不便を解消したいという思いです。今回の記事でよりYUYAMAの製品に愛着を持っていただけたら嬉しく思います。(ライター:N.K)
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