2025.04.11電子カルテ

令和7年4月改正!医療DX推進体制整備加算について

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医療業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)は、質の高い医療提供体制を構築するための鍵となります。この流れを推進させるべく、令和6年度の診療報酬改定において「医療DX推進体制整備加算」が新設されました。さらに、令和7年4月には加算内容および算定要件と施設基準の改正が、同年7月23日にはマイナ保険証利用率の見直しおよび一部経過措置の延長が発表されました。本記事では、改正のポイントや医療DX推進体制整備加算の要件・基準、マイナ保険証の利用率の見直し、経過措置に至るまで、最新の情報を網羅的に解説します。
(更新:2025年7月29日 7月23日付の要件の見直しについて追記)

医療DX推進体制整備加算とは

令和6年度の診療報酬改定により新設された「医療DX推進体制整備加算」は、医療機関がデジタル技術を活用して質の高い医療提供体制の整備状況を評価するための施策です。

施策導入からこれまでに、令和6年10月、令和7年4月、そして同年10月と複数回にわたって加算内容の見直しや調整が行われています。以下の図は、令和7年4月1日から適用される要件・基準をまとめたものであり、マイナ保険証利用率実績および電子カルテ情報共有サービス活用体制の経過措置については7月23日付でさらに変更が加わったのでご注意ください。

医療 DX推進体制整備加算の見直し(令和7年4月1日から適用)
引用元:厚生労働省. 医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについて ※1

 

医療DX推進体制整備加算の算定要件と施設基準について

施設基準

令和7年4月以降の改正前後での算定要件比較は、下表の通りです。

令和7年3月以前 令和7年4月以降
施設基準 電子処方箋 施設基準
医療DX推進体制整備加算1 導入済 医療DX推進体制整備加算1
未導入 医療DX推進体制整備加算4
医療DX推進体制整備加算2 導入済 医療DX推進体制整備加算2
未導入 医療DX推進体制整備加算5
医療DX推進体制整備加算3 導入済 医療DX推進体制整備加算3
未導入 医療DX推進体制整備加算6
在宅医療DX情報活用加算 導入済 在宅医療DX情報活用加算1
未導入 在宅医療DX情報活用加算2

*1 令和7年4月4日期限で、新施設基準の加算1~3を受けるためには新様式での届け出が必須になっています。また、継続して加算4~6を受ける場合は、届け出の修正等は不要とされています。ただし、新たに「医療DX推進体制整備加算」を算定する医療機関に関しては、加算1~6のいずれに関しても届け出が必要となります。

*2 当社BrainBoxでの施設基準の正式名称は、以下のように「(医科・歯科)【BrainBox設定】」が付きます。(例)医療DX推進体制整備加算1(医科・歯科)【BrainBox設定】」
 
出典:厚生労働省. 医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについて ※1

算定要件

クリニックがこの加算を算定するためには、以下の要件を満たす必要があります。※1

オンライン請求の実施

電子情報処理組織を使用した診療報酬請求を行っていること。​

オンライン資格確認の体制整備

​オンライン資格確認を行う体制を有していること。​

診療情報の活用

オンライン資格確認等システムを通じて患者の診療情報や薬剤情報などを取得し、診療に活用できる体制を有していること。​

電子処方箋の発行

​電子処方箋を発行する体制を有していること。

令和7年3月以前は、電子処方箋の導入有無にかかわらず、電子処方箋の導入基準を満たしているものとされていました。しかし、令和7年4月の改正に伴い、電子処方箋の導入状況により加算点数に差が出る点がポイントです。

電子カルテ情報共有サービスの活用

国等が提供する電子カルテ情報共有サービスを活用する体制を有していること。

なお、電子カルテ情報共有サービス活用体制の経過措置は、以前までは令和7年9月30日とされていましたが、7月23日付の中央社会保険医療協議会の発表により、令和8年5月31日まで延長されることとなりました。※2

マイナ保険証の利用実績

​マイナ保険証の利用率が一定基準を満たしていること(下表参照)。

こちらは、7月23日付の中央社会保険医療協議会の発表によって要件が見直されているのでご注意ください。

情報の掲示と公開

医療DX推進の体制に関する事項を院内に掲示し、原則としてWebサイトにも掲載していること。

健康管理にかかる相談

マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じること。

上記の要件を満たすことで、医療DX推進体制整備加算の算定が可能となります。

 

出典:厚生労働省. 医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについて ※1

関連記事:「電子カルテ情報共有サービスにおけるクリニックへのメリットとは」(ユヤマ公式コラム)

マイナ保険証の利用率も見直しへ

令和7年10月より新たに加わったマイナ保険証の利用率による施設基準区分は、下表の通りです。7月23日付の中央社会保険医療協議会の発表では、発行済みの健康保険証への経過措置が令和7年12月1日に終了することを受けて、さらに要件が見直されました。令和7年10月~令和8年2月と、令和8年3月以降の2段階で引き上げられます。※2

マイナ保険証利用率
適用時期 令和7年1~3月 令和7年4~9月 令和7年10月~
令和8年2月
令和8年3月~
利用率実績 令和6年10月~ 令和7年1月~ 令和7年7月~ 令和7年12月~
加算 1 ・ 4 30% 45% 60% 70%
加算 2 ・ 5 20% 30% 40% 50%
加算 3 ・ 6 10% 15%
(*3の場合 12%)
25%
(*3の場合 22%)
30%
(*3の場合 27%)

*3 小児科外来診療料を算定している医療機関であって、かつ令和6年1月1日から同年12月31日までの延外来患者数のうち6歳未満の患者の割合が3割以上の医療機関の場合

 

出典:厚生労働省. 医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについて ※1
   厚生労働省. 個別改定項目について 医療DX推進体制整備加算等の要件の見直し ※2

体制整備のポイントと経過措置について

主な施設基準ごとの医療DX推進体制を整備する際のポイントと、それぞれの対応期限の目安は下表の通りです。

施設基準 ポイント 対応期限の目安
 オンライン請求の実施 対応した医事コンピューターの導入 届出まで
 オンライン資格確認の体制整備 オンライン資格確認端末の導入とシステム設定 届出まで
 診療情報の活用 ネットワーク環境の整備と電子カルテとの連携 届出まで
 電子カルテ情報共有サービスの活用 電子カルテ情報共有システムへの加入と地域医療連携ネットワークへの参加 経過措置として令和8年5月31日まで
 情報の掲示と公開 院内掲示物の設置とWebサイトへの掲載 届出まで

「マイナ保険証利用率」の施設基準は届け出が不要です。施設基準通知等の規定事項における「届出に関する事項」よると、「毎月社会保険診療報酬支払基金から報告されるマイナ保険証利用率が当該基準を満たしていればよく、特に地方厚生(支)局長への届出を行う必要はないこと」とされています。※3

BrainBoxシリーズ対応状況について

当社BrainBoxシリーズは、本改正に伴いすでに対応するアップデートを行っております。万が一、アップデートが行われていない場合は、アップデート実施のご対応をよろしくお願いいたします。

また、今後も随時見直される可能性が高いため、厚生労働省HPを定期的にご確認いただくことを推奨いたします。

 

まとめ

本記事では、令和7年4月改正の「医療DX推進体制整備加算及び在宅医療DX情報活用加算」により、電子処方箋発行システムを導入済みである場合は、未導入である場合に比べて加算点数に差が出ること、またマイナ保険証の利用率実績により加算点数に差が出ることなどを解説しました。

マイナ保険証の利用率実績については、令和7年7月23日付で要件がさらに見直され、今後2段階で引き上げられます。また、「電子カルテ情報共有サービスの活用」の経過措置は、令和8年5月31日まで延長されました。経過措置期間を過ぎた場合に、加算点数に対して影響が出てくることが予想されるため、早めの対策を行うことが重要です。

当社は、医療DX推進をお考えのクリニック様へ一からサポートを行っております。お困り事やご相談は、お気軽に問い合わせページよりご連絡いただけますと幸いでございます。
 

お問い合わせ

YUYAMAお問い合わせページ:https://www.yuyama.co.jp/inquiry/

 

 

参考資料

※1 厚生労働省. 医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについて.
※2 厚生労働省. 個別改定項目について 医療DX推進体制整備加算等の要件の見直し.
※3 厚生労働省. 「個別改定項目について」の補足説明資料.

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