医師偏在とは?現状や厚生労働省の医師偏在対策について解説

医師不足が語られる一方で、近年、医師数そのものは増加しています。しかし、地域や診療科によっては必要なところに必要な医師がいない状態が続いており、医療提供体制の持続性に影響しているのが実情です。本記事では、最新の統計データに基づく医師偏在の現状や、厚生労働省が打ち出しているさまざまな医師偏在対策、クリニックをはじめとする医療現場の取り組みや医療DX活用の重要性について解説します。
医師偏在とは?その定義と背景
日本全体の医師数は年々増加傾向にあり、厚生労働省の統計においても過去最多を更新し続けています。しかし、医療の現場では「医師が足りない」という声が絶えません。この乖離を理解するためには、医師偏在という構造的な課題を紐解く必要があります。
医師偏在の定義と種類

医師偏在とは、全国の医師が特定の地域や特定の診療科に集中し、分布に著しい偏りが生じることで、患者が必要とする医療サービスを適切に受けられない状態を指します。医師偏在は、主に以下の3種類に大別できます。※1
1.地域偏在
都市部や利便性の高い地域に医師が集中する一方で、地方や過疎地域、離島・へき地において医師が慢性的に不足している状態です。さらに、同じ都道府県内であっても、県庁所在地などの中心部に医師が集中し、周辺の市区町村では医療提供体制が脆弱になるケースも発生しています。
2.診療科偏在
特定の診療科には医師が多いのに対し、他の診療科では人材が不足する状態です。外科、産婦人科、小児科、救急科など、昼夜を問わず緊急の対応が求められる診療科や、訴訟リスクが比較的高いとされる分野は医師不足が深刻化しやすい傾向にあります。一方で、計画的な診療が行いやすく、当直などの負担が少ないとされる眼科や皮膚科などを志望する医師が多い傾向が見られます。
3.外来医師の偏在
入院/外来の種別に医師の偏在が見られる場合もあります。例えば、当直などの負担が大きい入院設備のある医療機関で勤務することを避け、外来のみを担うケースが挙げられます。近年、外来医療に従事する医師の偏りが「外来医師過多区域」という形で制度上明確に扱われるようになりました。
医師偏在が生じる背景
医師偏在が生じる背景としては、「医師のキャリア形成(研修・症例・専門性)」「生活環境(家族・教育・交通)」「医療需要の地域差」「人口動態(都市への人口集中と地方の人口減少)」など、複数の要素が複雑に絡み合っています。
「新医師臨床研修制度」の影響
2004年(平成16年)、従来の医師臨床研修制度に変わり、医師の2年間の研修を必修化する新たな制度が導入されました。※2
この制度により、若手医師が自身のキャリアプランに合わせて自由に研修先の医療機関を選択できるようになりました。その結果、最先端の医療機器や症例数に恵まれ、生活環境も便利な都市部の病院に人気が集中し、地方の大学病院の医局を中心とした従来の医師派遣機能が相対的に弱まったことが、現在の医師偏在の一因とされています。
医師のワークライフバランス
社会全体でワークライフバランスを重視する価値観が浸透するなか、医師の働き方に対する意識も変化しています。過酷な労働環境を避け、自身の生活や家族との時間を確保しやすい診療科や勤務地を選択する医師が増えていることも、偏在を加速させる要因といえます。
日本の地方における医師の相対的な不足について、1998年から2008年にかけて行われた研究もあります。この研究では、医師数を増やすための政策が続けられてきた一方で、医師数は増えても分布の不平等は一定だったこと、つまり、地理的分布の不平等が必ずしも自動的に改善しないことが示されています。さらに、都市化と人口移動が統計上の「人口当たり医師数」を見かけ上改善させる場合がある点も指摘されています。※3
医師偏在の現状と影響
現在の日本の医療現場における医師偏在の現状と、患者や地域社会に対する影響について、客観的なデータとともに解説します。
医師数の概況
厚生労働省がまとめている「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、2024年12月31日時点の届出医師数は347,772人でした。増減率は変動しているものの、医師数は一貫して増加傾向にあります。※4

引用元:厚生労働省. 令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 ※4
地域ごとの医師の分布状況
「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、医療施設に従事する人口10万人当たり医師数は全国平均で267.4人でした。令和5(2023)年の概況では262.1だったことから、5.3ポイント増加していることがわかります。都道府県別に見ると、最も多いのは徳島県で345.4人、最も少ないのは埼玉県で189.1人でした。単純比較で約1.83倍も開いており、都道府県によって医師数に差があることがうかがえます。※4

引用元:厚生労働省. 令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 ※4
このように、医師偏在は単純な都市と地方の二項対立ではなく、西高東低の傾向や、大都市のベッドタウンにおける急激な人口増加に医療供給が追いついていない実態など、地域固有の事情が反映されています。
医師偏在指標とは
厚生労働省は、地域ごとの医師の偏在状況を客観的に把握するために「医師偏在指標」を算出しています。この指標は、単純な人口比だけでなく、以下の5つの要素を総合的に考慮して計算されます。※1
- 医療需要(ニーズ)および将来の人口・人口構成の変化
- 患者の流出入等
- へき地等の地理的条件
- 医師の性別・年齢分布
- 医師偏在の種別(区域、診療科、入院/外来)
全国に330ある二次医療圏をこの医師偏在指標で一律に比較し、上位33.3%を「医師多数区域」、下位33.3%を「医師少数区域」として、各都道府県が設定しています。※1
国は、医師偏在指標をふまえて確保すべき目標医師数を算出し、医師確保計画を策定すること、そして3年ごとの計画見直し(PDCA)を通して医師確保を進めることを示してきました。さらに、地域としての医師確保が特に急がれる区域を「重点医師偏在対策支援区域」として指定するなど、支援対象を絞った設計が具体化しています。※1
医師偏在がもたらす医療サービスへの影響
医師偏在が医療サービスに与える影響は、患者側のアクセスだけでなく、医療機関側の提供体制(診療継続性)にも及びます。主な影響を2つ挙げます。
専門医不足による地理的障壁の拡大
医師が不足している地域では、特定の疾患に対応できる専門医が不在となるケースが多く、患者は適切な治療を受けるために長距離を移動しなければなりません。医療にアクセスするための地理的障壁(距離や交通手段など)は、高齢の患者や定期的な通院が必要な患者にとって、身体的にも経済的にも大きな負担となります。結果、医療の受診遅れや通院負担につながることもあります。
救急搬送の遅延
地域の救急搬送を受け入れる医療機関が限られることで、受け入れ先の決定に時間がかかり、救急搬送が遅延するいわゆる「たらい回し」のリスクが高まります。初期治療の遅れは、患者の予後に直結します。
このように、医療機関側では夜間・休日対応や在宅医療など、地域で不足している医療機能を誰が担うかが課題となっています。これは制度上も明確に言及されており、後述するように、外来医師過多区域において新規開業する医療機関に対して、こうした機能提供を要請できる仕組みとなっています。※1
医師偏在の問題点

医師偏在が引き起こす問題は、単なる利便性の低下にとどまりません。診療の質、地域社会の存続、そして医師自身の健康という3つの側面から、その深刻な問題点について掘り下げます。
医療サービスの質の低下
医師偏在によって、業務が限られた医師に集中することで、診療の質や医療の安全への影響が懸念されます。例えば、専門医や絶対的な医師数が不足している地域では、初期診断の遅れや、最新のガイドラインに基づいた最適な治療へのアクセスが制限されるといったケースが考えられます。また、地域内に医療機関の選択肢が少ないために特定のクリニックに患者が集中してしまうと、一人ひとりの患者に対して十分な診察時間を確保することが難しくなります。過重労働による医師や医療スタッフの疲弊は、医療事故のリスクを高める要因にもなり得ます。
地域医療の崩壊リスク
地域のクリニックは、住民が安心して暮らすための重要な社会的インフラです。医師不足や後継者の不在によってクリニックが閉院を余儀なくされると、その地域の医療提供体制は一気に崩壊の危機に直面します。日常的な診療拠点が失われた地域からは、子育て世代や高齢者を中心に人口の流出が加速します。人口減少が進めば、残された医療機関の経営も立ち行かなくなり、さらに閉院が相次ぐという負の連鎖に陥ります。医師偏在は、地域社会そのものの存続を脅かす根本的な課題といえます。
医師の過重労働とメンタルヘルス
医師が少数しかいない地域や負担の大きい特定の診療科では、一人あたりの業務量が限界を超えて膨れ上がります。当直やオンコールが頻回になり、十分な休息を取ることができないまま長時間の過重労働をしてしまうと、身体的な疲労やメンタルヘルスの悪化、バーンアウト(燃え尽き症候群)を招きます。過労によって一人の医師が離職してしまうと、残された医師の負担がさらに増大するという悪循環が生じます。
制度面では、2024年(令和6年)4月から勤務医の時間外・休日労働に上限規制が適用されるなど、医師の働き方改革が本格化しています。しかしながら、絶対的な医師数が不足している地域においては、いかにして地域の医療供給量を維持しつつ医師の健康を守るかが喫緊の課題となっています。
厚生労働省の医師偏在対策①医師確保対策
こうした危機的な状況を打破するため、厚生労働省は国を挙げて総合的な医師偏在対策を進めています。まずは、医師確保対策に関する取り組みの全体像について解説します。

引用元: 厚生労働省. 医師偏在対策について ※1
医師養成課程における取り組み
地域偏在および診療科偏在を是正するための介入として、大学医学部における中長期的な需要・供給推計に基づいた地域枠の設定や、都市部等の上限圧縮、医師少数地域に配慮した定員の設定などが進められています。さらに、専門研修においても、日本専門医機構によって都道府県別・診療科別の専攻医の採用上限数(シーリング)が設定されます。なお、特に確保が必要な診療科(産科など)や地域枠医師については、シーリングの対象外となります。※1
医師確保計画に基づく都道府県の取り組み
国と都道府県は、医師偏在指標に基づいた「医師確保計画」を策定し、3年ごとのPDCAサイクルを回すことで、目標医師数の達成を目指す仕組みを強化しています。さらに、大学と連携した地域枠の設定や、地域医療対策協議会・地域医療支援センターによる働きかけ、医師確保と派遣される医師能力開発・向上を目指すキャリア形成プログラム、認定医師制度の活用などの施策も行われます。※1
医師の働き方改革
2024年4月から、医師の働き方改革の新制度が始まりました。医師の長時間労働や業務の集中などを是正するため、時間外労働の上限が規制されるとともに、健康確保措置の適用が進められています。また、適切な労務管理およびタスクシフト/シェアの推進、地域医療構想や外来機能の明確化による医療施設の最適配置、地域間・診療科間の医師偏在の是正など、さまざまな対策が進められています。※1、5
厚生労働省の医師偏在対策②医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ
2026年(令和8年)4月より、「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」が段階的に施行されます。重点医師偏在対策支援区域や外来医師過多区域など、指標に基づいてエリアを区切り、メリハリのある対策が行われる方針です。特に、改正医療法に基づく施策は、これからクリニックを新規開業する先生方にとっても注目していただきたいポイントです。
重点医師偏在対策支援区域の創設と経済的インセンティブ
人口減少よりも医療機関の減少スピードが速い地域などについて、優先的・重点的に対策を進めるために「重点医師偏在対策支援区域」が設定されます。令和6年度補正予算では、全国で計109区域が提示されました。※1

引用元:厚生労働省. 医師偏在対策について ※1
この重点医師偏在対策支援区域でクリニックを開業したり、既存のクリニックを承継したりする医師に対しては、医師偏在是正プランに基づき経済的インセンティブが用意されます。具体的には、令和8年度の予算編成において以下の支援内容が検討される見込みです。※1
- 診療所の施設整備、設備整備、一定期間の地域への定着に対する支援
- 当該区域における一定の医療機関に派遣される医師および従事する医師への手当増額의支援
- 医師の勤務環境や生活環境改善の支援(土日の代替医師確保など)
- 派遣元医療機関に対する支援 など
外来医師過多区域における新規開業への要請とペナルティ
一方、「外来医師過多区域」においては、無床診療所の新規開業について一定のルールが設けられます。外来医師過多区域の基準は以下の通りです。※1
- 外来医師偏在指標が「全国平均値+標準偏差の1.5倍」以上 かつ
- 可住地面積あたり診療所数が上位10% の地域

引用元:厚生労働省. 医師偏在対策について ※1
2025年12月には医療法等の一部を改正する法律(改正医療法)が成立し、外来医師過多区域において新規開業を希望する場合のルールが以下のように厳格化されました。※1、6
| 外来医師過多区域における新規開業時のルール | 詳細 |
|---|---|
| 事前届出の義務化 | 開業の6か月前までに、提供予定の地域外来医療の内容等を都道府県知事に届け出る必要があります。 |
| 協議の場への参加と要請 | 地域外来医療を提供しない意向の場合、地域の協議の場に参加して理由を説明することが求められます。理由がやむを得ないと認められないときは、地域で不足している医療機能(夜間・休日の初期救急、在宅医療、公衆衛生、医師不足地域での土日の代替医師等の医療提供)の提供を要請される場合があります。 |
| 都道府県医療審議会への出席と勧告・公表 | 要請に応じない場合、都道府県医療審議会に出席して説明するよう求められます。さらに、正当な理由がないと判断されると最終的に勧告を受け、医療機関名が公表される可能性があります。 |
| 保険医療機関の指定期間の短縮 | 要請や勧告に従わない場合、通常6年である保険医療機関の指定期間が「3年以内」に短縮されます。更新時に再度厳格な確認が行われ、勧告に従わない状態が続けば、さらに2年などに短縮される可能性もあります。 |
| 医療機能情報提供制度(ナビイ)での項目追加 | 保険医療機関の指定期間が短縮された医療機関に対し、医療機能情報提供制度(ナビイ)において、地域外来医療の提供状況や要請・勧告の有無等が項目として追加される方針です。 |
この変更により、開業そのものが禁止されるわけではありませんが、実質的には地域医療への貢献を強く促す内容となっています。これから開業を検討する先生方は、行政の構想と自身のクリニックのコンセプトにギャップがないかを事前に把握しておくことが重要です。
関連記事:【2025年最新】クリニック開業に必要な申請・届出完全ガイド|スケジュールと医療DX対応まで網羅
外来医療計画と新規開業希望者向けの情報提供
医療法第30 条の4第2項第10 号の「外来医療に係る医療提供体制の確保に関する事項」に基づき、各都道府県において「外来医療計画」が策定されています。令和6年度以降は、3年ごとに見直すこととされています。※1
地域ごとの外来医療機能の状況を可視化するために外来医師偏在指標が用いられているほか、医療機関のマッピングに関する情報等とあわせて、新規開業希望者やその資金調達を担う金融機関等に対する情報提供が行われています。具体的には、さまざまな機会で周知されるほか、都道府県のホームページに掲載されます。※1
厚生労働省の医師偏在対策③管理者要件の拡大と医師少数区域経験の認定制度
ほかにも、保健医療機関の管理者になるための要件を拡大したり、医師少数区域における勤務経験を認定する制度を設けたりすることで、医師偏在を是正しようとする動きもあります。
管理者要件の拡大と厳格化
保険医療機関の管理者(院長など)になるための要件として、「医師少数区域等での一定期間の勤務経験」の対象が拡大されます。これは、中堅・シニア世代の医師に対して、医師不足地域での勤務を促進するための施策です。
従来は地域医療支援病院のみに限定されていましたが、公的医療機関、国立病院機構、地域医療機能推進機構、労働者健康安全機構が開設する病院も新たに対象となります。また、この要件として求められる医師少数区域等での勤務経験期間についても、現行の「6か月以上」から「1年以上」に延長され、より長期間の地域医療への貢献が求められるようになります。さらに、研修直後に美容医療に進むいわゆる直美への対策として、保険医療機関の管理者には2年の臨床研修および保険医療機関(病院に限る)で3年等の保険診療従事経験を要件とし、責務を課すことも示されています。※1
医師少数区域経験の認定制度
医師少数区域等における勤務を促進するため、これらの区域に一定期間勤務し、必要業務を行った者を認定する制度も示されています。認定に必要な業務は以下の通りです。※1
- 幅広い病態に対応する継続的な診療および保健指導(地域の患者への継続的な診療、診療時間外の患者の急変時の対応、在宅医療など)
- 他の医療機関や介護・福祉事業者者等との連携(地域ケア会議や退院カンファレンスへの参加など)
- 地域住民に対する健康診査や保健指導等の地域保健活動
なお、認定医師へのインセンティブとしては、以下が例示されています。※1
- 一定の病院管理者としての評価
- 研修受講料や旅費 など
医師偏在によって生じる課題を解消するための医療機関側の取り組み
医師の偏在を解消するためには国が主導するトップダウンの制度改革が欠かせませんが、加えて、医療現場におけるボトムアップの取り組みも不可欠です。医師偏在によって生じるさまざまな課題を解消するためには、電子カルテ情報共有サービスをはじめとする医療DXの活用が重要となります。
医療DXと遠隔医療技術の活用による専門医不足の補完
地方や医師少数区域において、すべての診療科の専門医を配置することは困難です。そこで有効なのが、遠隔画像診断支援サービスやオンライン診療などの医療DXを活用したアプローチです。急変時の対応や対面診療への切り替えなどの地域連携が前提となりますが、遠隔医療技術やオンライン診療は、医師偏在によって生じる医療アクセスの距離の壁を解消できる可能性を秘めています。
また、地方の医療施設と地方自治体がいかに連携できるかが、遠隔医療の実装を左右し得るという全国調査の結果もあります。この調査では、遠隔医療に必要な機器類や財政的な支援などが導入の障壁となっていること、遠隔医療を利用している医療機関ほど自治体との協働が多いことが示されています。※7
実際に、山口県では県土の6割を占めるへき地においても十分な医療を提供できるよう、デジタル技術を活用した遠隔医療の実証が行われました。具体的には、県内のへき地診療所と医療拠点病院にクラウド型電子カルテを導入し、診療情報を共有することで、医師が不在の日でもオンライン診療を行う体制が構築されています。※8、9
「電子カルテ情報共有サービス」による地域連携の強化
厚生労働省が推進する「電子カルテ情報共有サービス」も、地域医療を支える重要なDXインフラです。電子カルテ情報共有サービスを活用することで、全国の医療機関において患者の3文書6情報を安全に共有できるようになります。例えば、患者が複数のクリニックや大病院を受診したり、異なる地域へ引っ越したりした場合でも、過去の診療履歴や重複投薬のリスクを即座に把握できます。これにより、初診時の問診時間を大幅に短縮しつつ、安全性の高い医療を提供できます。
関連記事:電子カルテにおける3文書6情報とはどのようなものなのか?
関連記事:電子カルテ情報共有サービス完全ガイド:義務化の真相・補助金活用・経過措置までを網羅的に解説
このように、医療DXは医師の偏在を直接的に解決はしませんが、医療へのアクセスや医師の業務負担の軽減という両面から、医師偏在によって生じるさまざまな課題を解決するのに役立ちます。
政府は2030年(令和12年)を目途に電子カルテの普及率をほぼ100%にすることを目指しており、地域全体の医療サービスの質が向上するよう後押ししています。※1
ユヤマの電子カルテのオンラインデモ

クリニック経営の効率化や課題解決には、電子カルテをはじめとするITツールの活用が有力な手段となります。ツールの選定においては、「自院が求める機能が搭載されているか」「誰もが使える操作性か」「いざというとき頼れるサポート体制か」などを確認するため、デモンストレーションの実施をおすすめします。
当社の無床診療所様向け電子カルテシステム「BrainBox」シリーズは、開業準備や日々の診療で多忙な先生方にも気軽に体験していただけるよう、オンラインデモを随時実施しています。

時間や場所の制約なく電子カルテを体験できる
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オンラインデモでは、製品の特徴や導入事例、実際の使い方を丁寧にご紹介します。気になることがあれば気軽にご質問ください。また、当社の営業担当者が、現在抱えている経営課題(事務負担の軽減、集患対策など)や目指しておられる診療スタイルなど、ご要望を丁寧にヒアリングします。その上で、画一的な説明ではなく、貴院に最適な「BrainBox」の活用方法と具体的な運用イメージをご提案します。
医師偏在対策の今後の展望
本記事では、医師偏在とは何か、その現状や厚生労働省の対策について解説しました。
2026年4月以降、日本の医療提供体制は「自由な開業と配置」から「客観的データに基づく最適配置と地域ごとの支え合い」へと、大きな転換期を迎えます。これからクリニックを開業する場合は、国や都道府県が定める医師確保計画の動向を常に注視し、在宅医療や夜間・休日対応など地域から求められる役割を経営戦略に柔軟に組み込んでいく視点が必要となります。外来医師過多区域における厳しい要請も、見方を変えれば、競合クリニックとの明確な差別化を図り、地域に深く根ざすための大きなチャンスといえます。
また、どのような地域においても、少人数のスタッフで診療の質を落とさずに患者のニーズに応えるためには、電子カルテをはじめとする医療DXの活用が不可欠です。制度による枠組みの整備と、テクノロジーを活用した現場の業務改善が両輪として機能することで、すべての患者が質の高い医療を受けられる社会の実現が期待されます。
参考資料
※1 厚生労働省. 医師偏在対策について.
※2 厚生労働省. 医師臨床研修制度の変遷.
※3 Shinichi Tanihara, et al. (2011) Urbanization and physician maldistribution: a longitudinal study in Japan. BMC Health Serv Res. 11:260.
※4 厚生労働省. 令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況.
※5 厚生労働省. 医師の働き方改革概要.
※6 厚生労働省 医政局. 医療法等の一部を改正する法律の成立について(報告).
※7 Daisuke Matsubara, Hiroyuki Teraura, et al. (2026) Telemedicine use in medical facilities for rural medical care and local governments in Japan. J Rural Med. 14;21(1):43–48.
※8 山口県. 医師確保に関する情報. デジタル技術を活用した遠隔医療の実証について.
※9 厚生労働省. 令和6年度 在宅医療関連調査・講師人材養成事業. へき地での在宅医療の提供について(遠隔診療など).
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