山形大学医学部附属病院様(山形県)

応対者:山形大学医学部附属病院 製剤室室長 金野 昇様
取材者:株式会社ユヤマ 営業企画課 松尾 笑加

ChemoRoが動いている分、他の業務に集中できます

抗がん剤混合調製ロボット ChemoRo

2012年、東京大学大学院とユヤマで行った共同研究の結果(医療薬学 2012 vol38. No.7)から、抗がん剤の調製に対する薬剤師の曝露リスク不安が73.1%と高いことが判明しました。病院薬剤師が参集する各種学会においても、抗がん剤調製に関わる曝露については非常に多くの発表が行われており、本テーマへの関心の高さがうかがえます。 そこで、全国でいち早く、純国産の抗がん剤混合調製ロボット ChemoRoを導入された山形大学医学部附属病院様に、導入に至った経緯やその後の利用状況について伺いました。

ChemoRo導入の経緯についてお教えください。

ChemoRoの導入は、薬剤師の業務負担軽減と、曝露防止の2点を目的としており、高度薬物治療支援システムで予算をとれたことで、抗がん剤調製ロボットの導入を検討することになりました。

海外メーカー製のものも当時ありましたが、ChemoRoを選ぶことになった理由としては、いくつかあります。1つは純国産メーカーであること、2つ目が、ダブルアームであること、そして、凍結乾燥・液体のどちらにも対応しているという点です。
また、スペースの問題で、ChemoRoが海外メーカー製のものよりコンパクトであったことも理由の1つです。

ChemoRoについて語る金野様

第1号の導入ということで、不安などはありませんでしたでしょうか?

不安はありませんでした。不安よりも期待の方が大きかった。海外メーカー製のものとChemoRoとどちらも視察を行った上で、どこまでロボットがやってくれるかという期待からChemoRo導入を判断しました。今は、当初の期待以上の活躍をしてくれていると思います。

搬入・設置はスムーズにいきましたでしょうか?

導入時にトラブルは特にありませんでした。製剤室の奥に入れることを決めていましたので、手前にあるキャビネット類は全て動かしましたが、設置のために業務が止まるということはなく、支障はありませんでした。

ChemoRoはどのような薬品に対して使用されていますか?

ゲムシタビン、パクリタキセル、シクロホスファミド、イホスファミドなど※が多いですね。液体薬品はChemoRoで動かしているものが多いです。当院では抗体製剤の調製をChemoRoで行う場合もあります。

※ChemoRoを使用している主な薬品の詳細は下記のとおり。
・ゲムシタビン……ゲムシタビン点滴静注用1g「ホスピーラ」、ゲムシタビン点滴静注用200mg「ホスピーラ」
・パクリタキセル……パクリタキセル注射液30mg/5mL「サワイ」、パクリタキセル注射液100mg/16.7mL「サワイ」
・シクロホスファミド……エンドキサン注100mg、エンドキサン注500mg
・イホスファミド……イホマイド注1g

どの薬品に対してChemoRoを使用するという基準などはあるのでしょうか?

明確な基準はありませんが、ChemoRoで調製できるRp.の場合はChemoRoを動かすようにしています。ChemoRoを動かしている間に、他の業務ができますので。ChemoRoだけを動かすか、手調製と並行して行うかのどちらかで、手調製だけをするということはありませんね。

1日の抗がん剤調製件数のうち、ChemoRoの稼働率はどのくらいになるのでしょうか?

1日の抗がん剤調製件数は入院で20~25件、外来で20件ほどになり、抗がん剤以外の抗体製剤は曜日によって差がありますが、外来で1日平均6~7件あります。全件のうち、ChemoRoを動かしているのは入院で25%、外来で30%程度です。薬品や処方内容によってChemoRoでは調製できない場合があるので、対象外の処方を除くと、現状の稼働率は入院・外来どちらも4割弱くらいですかね。稼働状況としてはまずまずです。もうちょっと稼働率が上がればいいですが、十分に活躍していると思います。副薬剤部長の新関先生の言葉を借りるなら、予想以上に活躍しています。

ピーク時間の調製の様子

今後の目標値などはあるのでしょうか?

当院の目標としては、ChemoRoの稼働率を5~6割まであげたいと考えています。 しかしながら、全てをロボットにさせる必要はないと考えています。というのも当院は、「教育機関」としての役割を担っているからです。当院では、学生実習や新人教育などを通じて抗がん剤が扱える人材を育てる必要がありますので、全てをロボットにさせるのではなく、教育のために手作業も行うというスタイルです。

ChemoRoをご使用いただいている中で、どのような点にメリットを感じておられるでしょうか?

使いやすさですね。まずは誰でもできるということ。実習生を受け入れしている際には、実習生に色々経験させるため、私たちの指導のもとで、ChemoRoのセッティングをしてもらうこともあります。薬・器材のセッティングをする際に、音声ガイドが流れるようになっていますが、慣れていない実習生でもこのガイドに従えば準備することができます。また、バーコード認証によって安全を担保しているので、そういう点からも使いやすさがあると感じています。
そして、ChemoRoが動いている時間を他のことに費やせるというところもメリットです。当部署では、病棟業務もかけもちしているのですが、ChemoRoを使うことによって、病棟に行く時間を作り出そうとしています。
本当は外来患者様のところに行ってもっと話をする時間も作りたいと考えています。

インタビューの様子

患者様に与薬をされる看護師さんたちからの評価はいかがでしょうか?

何人かの看護師さんがChemoRoを見に来ましたが、実際には看護師さんたちはあまりわかっていないというのが現状です。
一方で、他の病院の方が見学に来ることもありますが、そちらの方が、すごいシステムだと評価してくれます。異職種よりも同じ職種の方のほうが、現時点では評価されており、このことを看護師さんなどの他職種へ広めていきたいと考えています。
また、導入初期に、ある外来患者様が、自分の点滴はロボットが調製したものなのかどうかを、主治医の先生に聞かれたそうです。曝露防止などではありませんが、患者様の中にも、ChemoRoが実際に活用されているのかどうか、気になる方がいたようです。

鑑査についてはいかがですか?

重量と画像と両方で残してくれているので、安心です。ただ、画像がもう少し見やすいといいですね。薬瓶が空になっている画像を撮影する際に、薬瓶のシールで瓶底が見えないことがあります。エンドキサンなどは、ラベルを残したままだと撮影画像で残量が見えないので、現状では、ラベルを少し切って鑑査時に見える状態にしています。

ラベルを切って見える状態にした薬瓶

ChemoRo導入前と比較して、導入後にどのような変化がありましたか?

当院では、当日分の調製と翌日分の監査を同じ時間帯に行っているのですが、以前と比較して、翌日分の監査に集中できる時間が増えました。
監査はもちろん集中して行わなければならないのですが、業務に追われてしまうと、他の作業をやりながらになるので注意が散りやすくなります。ChemoRoを導入したことによって、ChemoRoが当日の調製を行いますので、その時間を翌日分の監査に集中的にあてられるようになりました。
ChemoRoの稼働率がもっと上がれば、キャビネットから離れて、外来患者様や病棟に行く時間が生まれてくるのではないかと考えています。

山形大学医学部附属病院様(山形県)はこんなところ

キャビネットの前にいる時間を、患者様のところに行く時間に費やしたい

教育機関として実習生の受け入れや新人教育に力を入れている病院様です。 インタビューに応じてくださった金野様がこの言葉を語られていたとき、とても生き生きとした表情で、患者様と向き合う時間を大事にされている様子が伺えました。
毎年受け入れしている実習生や新人の先生方にとっても目標のような存在となっているのではないでしょうか。
これからの時代を担う先生方の活躍を支えるサポート役として、これからもChemoRoをお役立て頂ければと思います!

2015年7月時点の情報です。

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