2025年7月号
【国衛研 伊藤氏ら研究班】薬局製剤活用へ指針改訂を-約2割が生薬製剤取扱い
【中医協分科会】200床未満の薬剤師応募低調-採用は半数に満たず

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【国衛研 伊藤氏ら研究班】薬局製剤活用へ指針改訂を-約2割が生薬製剤取扱い

情報提供元:薬事日報社

生薬を含む薬局製造販売医薬品(薬局製剤)について全国2109薬局を対象に実態調査を行った結果、生薬製剤を販売する薬局が約2割に上る実態が、厚生労働行政推進調査事業費補助金「薬局製造販売医薬品の範囲の見直しに向けた研究」(研究代表者:伊藤美千穂国立医薬品食品衛生研究所生薬部長)の報告書で明らかになった。1種類の生薬を1製剤として販売する単味生薬製剤を取り扱う薬局も17%存在していた。研究班は、一般用医薬品供給の充実などのためには薬局製剤指針を改訂して漢方処方に基づく薬局製剤品目を増補し、さらに単味生薬製剤の追加を検討することが必要と提言している。

同研究は、薬局製剤指針等の改定に向けた基礎資料とすることを目的に、現在の薬局製剤指針、製造販売承認基準、薬局の実態等を整理し、漢方・生薬製剤の位置付けについて検討したもの。薬局製剤をめぐっては、薬局製剤指針の範囲内で承認されており、漢方処方が236品目収載されているが、一般用漢方製剤承認基準に示す漢方処方であっても一部の漢方処方は薬局製剤として認められていない。

また、単味生薬製剤のほとんどは薬局製剤指針に収載されておらず、薬局製剤として認められていないのが現状で、医療用区分で漢方処方の調剤に用いることを効能・効果として承認された生薬を処方箋に基づかず、生薬として販売(零売)している実態も見られていた。

昨年11月から今年1月にアンケート調査を実施した結果、薬局製剤を「取り扱わない」と回答した薬局は約75%で、その理由は「需要がない」が約半数を占めた。「費用対効果が悪い、手間がかかる、余裕がない」といった煩雑さを理由に取り扱わない薬局も2割を超えた。

一方、薬局製剤を「取り扱う」薬局のうち、約78%は生薬を含む製剤を取り扱っていると答え、回答薬局全体の約2割が生薬を含む製剤を取り扱っていた。生薬を単味で販売することがあるかとの質問には17%の薬局が「ある」と回答し、その販売形態としては「刻み」または「粉末」である場合が多かった。

調査結果から、一般用漢方製剤製造販売承認基準に示される漢方処方で薬局製剤指針に収載されていない処方について、新たに薬局製剤として薬局製剤指針に収載してほしいとの要望が少なからずあったことが判明。単味生薬製剤を購入したい消費者が相当数いたことも明らかとなった。

研究班は、零売などの不適切な販売の是正に向けては、薬局製剤として販売可能な漢方処方に基づく品目を充実させることや、一般用生薬製剤製造販売承認基準に示された単味生薬製剤を薬局製剤として販売できるよう薬局製剤指針を改訂し、これらの品目を加える必要性も指摘した。

調剤薬局での生薬の取り扱いの難しさや関連知識の不足を指摘する声も多く、より多くの薬局が生薬を含む薬局製剤を取り扱えるようにするためには「適切な手引きやガイドラインの策定を行うことが望ましい」と提言した。

 

【中医協分科会】200床未満の薬剤師応募低調-採用は半数に満たず

情報提供元:薬事日報社

中央社会保険医療協議会の診療報酬調査専門組織入院・外来医療等の調査・評価分科会は22日、2024年度診療報酬改定に関する影響調査の速報結果を公表した。病床規模別の薬剤師の求人数に対する応募と採用割合について、200床未満の病院では求人数に対する応募者割合が定員割れしていたことが判明。求人数に対する採用割合はいずれの病床規模においても100%よりも低い割合だった。

病床規模別求人数に対する応募数割合の平均を見ると、20床~100床未満は98.7%、100床~200床未満が75.9%、200床~300床未満が87.9%、300床~400床未満が115.5%、400床~500床未満が137.8%、500床以上が149.8%と病床数が多いほど応募数が多くなる傾向が示された一方、200床未満では定員割れしていた。

求人数に対する採用数割合は、さらに深刻な状況にあることが分かった。20床~100床未満は52.2%、100床~200床未満は44.6%、200床~300床未満が53.2%、300床~400床未満が60.4%、400床~500床未満が72.8%、500床以上が70.3%といずれの病床規模で薬剤師不足が顕著であり、200床未満では求人 数の半数ほどしか確保できていなかった。

病棟薬剤業務における持参薬確認業務時間の割合を調べたところ、病院の機能に関係なく20%以上を占めていた。

一方、各入院料ごとの病棟薬剤師による薬学管理として実施している内容では、急性期一般入院料などの算定施設では「入院時の持参薬の確認と医師への処方提案」「入院中の薬剤管理や服薬指導等の実施」が多かった。

病棟薬剤師による薬学管理としてさらなる充実が求められる内容を聞くと、各入院料の算定施設で「入院中のポリファーマシー対策を医師・看護師等と実施」が多く挙がった。

眞野成康委員(東北大学病院教授・薬剤部長)は、「大規模病院でも応募者は多いが500床以上でも採用に関しては70%程度しか取れていない。規模が小さくなると、より応募が少なくなる傾向がある。どうやって薬剤師確保していくか考える必要がある」と述べた。

持参薬管理業務についても「病棟業務の中でも時間が取られる業務であり、入院中の薬物療法のベースとなる業務でもう少し効率化していく必要がある。薬剤師以外の者へのタスクシフトがどれだけ進んでいるかも調べるといいのではないか」と語った。

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