2026年5月号
【NPhA】薬局・薬剤師ビジョン2040策定-処方箋集中率評価転換を
【中東情勢対策本部】安定供給相談件数は543件-省庁連携で迅速解決例も

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【NPhA】薬局・薬剤師ビジョン2040策定-処方箋集中率評価転換を

情報提供元:薬事日報社

日本保険薬局協会(NPhA)は9日、「薬局・薬剤師ビジョン2040」をまとめ公表した。厚生労働省が示した患者のための薬局ビジョンから10年が経過する中で、「十分な総括がなされていない」との問題意識から準備を進め、策定に至った。ビジョンでは薬局が立地に依存せず、質の高い機能提供と成果(アウトカム)の創出を目指す制度設計を提言している。田中義寛常務理事(メディカルシステムネットワーク)は同日の会見で、「薬局が何をやったかという成果で評価されるべきだ。処方箋集中率だけで評価する仕組みからの転換が必要」と訴えた。

ビジョンは、医療需要が増加する一方で医療資源が減少する40年を見据え、「会員に向けた行動指針であると同時に、業界、行政、国民に対し、40年に向けて果たす覚悟を示す宣言である」と位置付けた。

あるべき姿として、薬局・薬剤師が社会インフラとしての医薬品供給基盤を強化する必要性を強調。対物業務の効率化や対人業務の充実に向け、医療DXの推進やAIの適切な活用、AIと人との役割分担による高度な薬物療法支援、多職種との連携・協働を通じて、薬剤師の専門性を発揮できる環境整備を掲げた。

また、医療DXの進展により共有される客観的データと、対話を通じて得られる主観的情報を組み合わせ、患者がどこにいても最適な薬学的管理を提供する時代に向け、評価体系については「従来の立地や集中率といった外形的基準に固執するのではなく、提供された機能の質や成果を正当に評価する体系へ移行すべきだ」と主張した。

今後、ビジョンの内容について解像度を高め、NPhAの活動や政策提言に反映していく方針だ。

田中氏は、35年をゴールとする厚労省の薬局ビジョンについて、「十分な総括がなされないまま、言わば中間地点のような状態で今日まで来ているという認識がある」と指摘。「『立地から機能へ』という考え方も、当時は医療DXが進んでいない状況下で現実的に限界があった」と述べた。

その上で、「現在は医療DXの進展によって、前提条件が大きく変わっている。われわれは医薬分業のフェーズ2と表現しているが、こうした環境変化にも関わらず、十分な総括が行われていないのであれば、自ら整理し直す必要がある」とビジョン策定の背景を説明した。

一方、具体的な制度設計のイメージについては、「きちんと頑張っている薬局を評価してほしい」と私見を述べた。その真意として、「立地だけで成り立っている薬局は淘汰されても仕方がない。頑張っているとは、患者に対してきちんとアウトカムを出しているかどうかだ」との認識を示した。

処方箋集中率の高低に関わらず機能を果たしている薬局がある一方、集中率が低くても単に多くの医療機関から処方箋を受けているだけのケースもあるとし、田中氏は「門前かどうかではなく、何をやったかで評価されるべき」と訴えた。

 

【中東情勢対策本部】安定供給相談件数は543件-省庁連携で迅速解決例も

情報提供元:薬事日報社

厚生労働省と経済産業省は9日、医薬品等に関する安定供給上の課題分析と対応策を検討する「中東情勢に影響を受ける医薬品・医療機器・医療物資等の確保対策本部」の会合を開き、メーカーなどからの相談件数が543件に上ったことを公表した。内訳は、メーカー・卸業者が192件、医療機関が351件。事業者からの相談において「安定供給に影響があると判断された」のは16件、「対応検討中」が10件、「解決の道筋が立っている」のが1件、「解決済み」が5件あった。解決済みの事案では小児カテーテル、シリンジ(注射筒)、滅菌等に使用する酸化エチレンガスなどがあった。

対応検討中の10件の中には、人工透析の部品や手術用廃液用機器などが含まれる。会合で上野賢一郎厚労相は、「省庁の垣根を越えたチームの連携体制を構築したことで迅速な解決に結びついた事案もあった。流通段階の目詰まりを解消していくことで、医療物資等の安定供給を実現できると考えている」と述べ、引き続き情報把握と対応策の検討を行っていく考えを示した。

対策本部は、上野厚労相と赤澤亮正経産相を本部長とし、厚労省からは医薬産業振興・医療情報審議官が全体統括に加わる。全体統括の下には、一斉点検・逼迫可能性調査と具体課題解消のチーム体制を敷いている。

一斉点検・逼迫可能性調査チームは、厚労省医薬産業振興・医療情報企画課の統括管理官をチーム長とし、厚労省から地域医療計画課、医療経営支援課、経産省から商務サービスG医療福祉機器産業室などが参加し構成されている。

同チームは、業界、流通、医療機関における調査をもとにリスク分析・課題抽出を行う。抽出された課題は経産省商務サービスG参事官室の参事官をチーム長とする具体課題解消チームがサプライチェーン確認を行い、供給可能者の発掘・交渉を経て、代替案を模索する。厚労省は、同チームにおいてサプライチェーン確認・代替方法の模索を担う。

厚労省は10日から、EMISを用いた病院等からオンラインでの随時報告可能なシステムの運用を開始した。また同日、上野厚労相は医療関係団体と懇談会を行い、情報提供窓口等の周知と医療現場の意見を聴取した。

厚労省が行う医療機関の定点観測によると、開始当初の6機関から7日時点では126となっている。取得したデータを踏まえて医療機関へヒアリングを行い、詳細な状況を把握していく。

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