2026年11月号
ヒヤリハット6年ぶり増加‐薬剤師の専門性発揮で
【概算要求】薬剤師臨床研修に10億円‐創薬・先端医療強化策で大幅増額

ピックアップニュース

ヒヤリハット6年ぶり増加‐薬剤師の専門性発揮で

情報提供元:薬事日報社

日本医療機能評価機構は9月29日、2025年の薬局ヒヤリ・ハット事例をまとめた集計結果を公表した。報告件数は11万4904件となり、5年連続の減少から転じて6年ぶりに増加した。疑義照会や調剤など全ての区分で前年を上回った。

薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業に参加する薬局数は、25年末時点で4万9310施設と前年から1861施設増加し、過去最多を更新した。今年6月末時点でも5万0288施設となり、全国約6万3000薬局の約8割が参加している。

25年の報告件数は11万4904件で、前年の11万3185件から1719件増加した。報告の内訳では、疑義照会や処方医への情報提供に関する事例が9万4872件で前年から1157件増加し、全体の82.6%を占めた。実際に疑義照会を行った事例の内容は、投与量に関するものが2万3601件で最も多く、同効薬の重複が1万2713件、病態禁忌が8644件、相互作用が8107件と続いた。

同機構は、相互作用や併用禁忌、病態禁忌などを薬剤師が専門的知識に基づいて発見した事例が増加していると指摘し、「薬剤師の専門性が発揮された事例の報告が増えている」と分析した。

一方、調剤に関する事例も1万9821件と前年から517件増加した。内容別では、「その他」3415件、規格・剤形間違い2814件、計数間違い2694件、異なる成分の薬剤取り違え2315件の順で多く、前年と同様の傾向を示した。

報告事例を新規収載医薬品別に集計したところ、不眠症治療薬「クービビック錠25mg・50mg」が195件で最多となり、持効型インスリン製剤「アウィクリ注フレックスタッチ」28件、抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ顆粒2%分包」24件が続いた。

同機構は、クービビック錠について「併用禁忌薬が多く、疑義照会事例が多く含まれた可能性がある」としている。

 

【概算要求】薬剤師臨床研修に10億円‐創薬・先端医療強化策で大幅増額

情報提供元:薬事日報社

厚生労働省は2027年度予算概算要求で、都道府県内での人材交流や治験を担う病院薬剤師の育成を目的とした「薬剤師臨床研修の社会実装事業」に10億円を計上した。大学病院を含む基幹病院を中心とした施設群の構築と、その中で実施する薬剤師臨床研修を支援することで、24年に策定した薬剤師臨床研修ガイドラインの社会実装を後押しする。

病院間連携の整備進める‐受入れ施設の拡充課題
同事業は、日本病院薬剤師会が4月から開始した病院間連携研修事業を基盤とするもの。今年度予算では1300万円だったが、高市政権が日本成長戦略の17戦略分野の一つに位置づける「創薬・先端医療」の強化策の一環として、大幅な増額要求となった。

薬剤師臨床研修ガイドラインでは、卒後1年以上の研修期間中に、地域の基幹病院に加え、回復期・精神科病院や薬局などで研修を行い、医療人としてのプロフェッショナリズムや基本的な薬剤師業務を修得することを求めている。

一方で、指導体制や生涯を通じたキャリア形成のあり方は十分整理されておらず、特に中小病院では単独施設でガイドラインを満たす研修の実施が難しいとの課題が指摘されていた。このため、地域内の複数施設が連携して標準的な研修を提供する体制整備が求められている。

日病薬は23年度から卒後臨床研修のあり方に関する調査・検討事業を実施。今年度は病院間連携研修事業として、単独施設でガイドラインを満たせない中小病院や単科病院などが複数施設で研修プログラムを実施できる病院間連携モデルの整備を進めている。

代表病院に加え、研修協力病院(パートナー病院)やパートナー薬局が参画し、自施設では経験できない診療領域や在宅医療、介護、地域連携などの研修機会を提供する仕組みで、現在、全国31グループが認定されている。

日病薬の川上純一副会長は、「専門医療機関など単施設でガイドラインに対応した研修が可能な施設でも、疾患領域に偏りが生じる場合がある。病院間連携を取り入れることで質の高い研修を提供でき、薬剤師の卒後臨床研修の幅が広がる」と意義を語る。

今年度事業では、研修受け入れ拡大に向けた課題や必要な支援策の整理に加え、地域・施設間連携モデルの検討、指導体制や運営に必要な人的負担・コストの把握を進める。また、厚労省の委託事業では、研修受け入れ可能病院の施設状況や研修体制に関する基礎情報を収集し、施設間の役割分担やガイドライン適用範囲、運営上の課題などを分析する。

現在、病院間連携研修事業の実施施設を含め、ガイドラインに対応した研修を提供できる施設は94施設に達している。日病薬は全国統一の研修施設情報登録システムを構築・運用し、薬学生が研修環境を比較できるようにすることで、将来的なマッチング基盤の整備も進めている。

ただ、受け入れ施設の拡充はなお課題として残る。27年度時点の受け入れ総枠は663人にとどまり、毎年約2000人の薬学部卒業生が病院へ就職している現状を踏まえると、ガイドラインに準拠した研修を受けられるのは全体の3分の1程度に過ぎない。日病薬は、将来的に病院へ就職する全ての新人薬剤師が標準的な臨床研修を受けられる体制整備を目指している。

31グループのうち16グループにはパートナー薬局が参加しているものの、薬局薬剤師向けの臨床研修体制整備は十分進んでいない。武田泰生会長は、病院間連携事業での薬局薬剤師受け入れについて「将来的な可能性は否定しないが、現状では受け入れキャパシティの問題があり難しい」との認識を示した。

厚労省は今回の事業を通じ、基幹病院を軸とした施設群の有効性や薬剤師臨床研修の社会実装に向けた課題を整理し、全国で活用可能なモデルとして示す予定だ。病院薬剤師の育成基盤整備に加え、人材交流や治験を担う創薬人材の育成につなげたい考えである。

薬剤師卒後臨床研修の基盤が整備されれば、研修認定薬剤師、第三者機関認証制度の導入が検討される専門薬剤師とキャリア形成につながる期待もある。

Contact & Streaming Serviceお問い合わせ&配信サービス

サービスや製品に関するご相談など、お気軽にお問い合わせください。