医療AIはここまで進化!最新の活用事例をチェック!
医療従事者の働き方改革や医療の質向上を推進するにあたって、期待が寄せられているのが医療AIです。すでに診療や臨床研究の現場においてAIが取り入れられているケースは少なくありません。また、最近では政府が医師の診療を支援するための国産生成AIの開発を進めているなど、医療におけるAI技術の実用化に対して積極的な取り組みが行われています。
今回は医療AIが現在どのように進んでいるか、また調剤現場におけるAI技術の活用についてもご紹介します。
医療AIについて
医療AIは多岐にわたる分野で活用が進んでいます。特に政府が重点的にAIの開発を進めているのは以下の分野です。
- 画像診断支援
- 診断・治療支援
- 医薬品開発
- ゲノム医療
- 手術支援
- 介護・認知症
たとえば画像診断支援として、がんの早期発見が挙げられます。オリンパスが発売しているのは、大腸の内視鏡画像をAIで分析し、医師の診断を補助するソフトウェアです。大腸の腫瘍を識別するうえでの正診率を高め、早期発見に貢献するものとして注目を集めています。
出典:オリンパス「オリンパス、AIを搭載した内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN-X」を発売」
また診断・治療支援では、ユヤマの「クラウド型電子カルテBrainBox CloudⅡ」をはじめ、AIによる問診システムが普及しつつあります。「BrainBox CloudⅡ」の場合、患者さんが入力した症状などの情報をAIが読み取り、電子カルテ上の病名と紐づけて診察時に病名の候補を出すほか、適切な医薬品や検査などを提案することが可能です。
このように、さまざまな場面で医療AIの可能性が示されています。AI技術の発展とともに、今後ますます医療現場におけるAIの活用は広がっていくでしょう。
調剤現場におけるAI技術の活用
ユヤマでは持参薬鑑別支援システム「モバイルタブジャッジ」においてAI技術を取り入れています。
モバイルタブジャッジは、スマートフォンで薬品を撮影すると薬品を1つずつ解析し、候補となる薬品が表示されるシステムです。この機能の実現には以下の3つのステップがあり、①と②においてAI技術が活用されています。
- ①画像から薬品部分を識別し、抽出する
- ②薬品の刻印を抽出する
- ③抽出した刻印を薬品マスタの情報と照合する
具体的にどのような技術が使われているのかを紹介します。
①画像から薬品部分を識別し、抽出する
AI技術を使って、薬品の撮影画像から、薬品を見つけて1錠ずつ切り出して抽出することが可能になっています。プリクラやスマホの画像の加工に使われている技術と同じです。また、分包紙のしわで反射が生じていても影響を受けないように学習しているので、問題なく切り出すことができます。
②薬品の刻印を抽出する
薬品の画像を切り出したら、次に薬品に描かれている刻印や印刷を読み取ることで、薬品を区別できるようになっています。暗くて人の目では判別しづらい薬品についても、AI技術を使って綺麗に刻印の抽出が可能になっています。
こうしたAI技術によって薬品から必要な情報を取り出し、マスタと照合することによって薬品を特定します。
③抽出した刻印を薬品マスタの情報と照合する
AI技術で薬品を特定することも可能ですが、現在は、抽出した情報と装置の持つマスタとを照合して、マッチング率の高い薬品候補を表示しています。そこから先生に正しい薬品を選択していただく仕組みにしています。部分的にAIによる高性能な技術を活用しながら結論はロジックに基づいて出力することで、精度と品質の両立を図っています。
今後さらにAI技術を磨き、学習の精度を高めることで、人による判断の負担をより少なくできる技術が確立していくように研究開発を進めています。
まとめ
AI技術を活用して医療の質を向上させるポイントは、AIに完全に依存するのではなく、AIが特に得意とする画像処理などを任せながら人間との役割分担を図ることです。医療従事者の負担が減り、患者さんにとっても安全な医療を受けられるように、効果的なAI活用が求められています。
<編集後記>
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- AIと医療従事者が協力し合うことで、より高品質で効率的な医療サービスが提供可能になることが期待されます。今後もAI技術のさらなる発展に注目して、製品に活かしていきたいと思います(開発:T.S)
- 「AIに仕事を奪われる」という言説もありますが、大切なのは便利なツールであるAIを使いこなし、共存することだと思います。これからの医療AIの発展が楽しみです。(ライター:N.K)
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