薬局・病院・クリニックが取り組むSDGs
薬局・病院・クリニックが取り組むSDGs
企業などの組織が将来にわたって継続し、より発展していくためのツールとして活用されているSDGs(持続可能な開発目標)。薬局や病院・クリニックなどの医療機関においても例外ではなく、SDGsへの取り組みはいまや不可欠になっています。
本記事では、医療機関がSDGsに取り組む意義とその具体的な事例について、お伝えします。
医療機関がSDGsに取り組む意義
SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年9月に開催された国連サミットにおいて加盟国の全会一致により採択されました。2030年までに世界を持続可能でよりよいものにすることを目的とし、17の目標と169のターゲットから構成されています。
これらを達成するために、国家をはじめ、各自治体や企業、団体、そして個人においても、それぞれの立場から取り組むべきことを議論・検討し、行動することが重要です。
SDGsの掲げる目標の一つに「3. すべての人に健康と福祉を」があるように、医療機関はそもそもSDGsへの貢献性が高い存在ではあると言えますが、具体的に何に、どのように取り組むかは各医療機関のアイデアに委ねられています。
実際「3. すべての人に健康と福祉を」以外の目標に対しても医療機関が果たせる役割は多くあるため、SDGsへの取り組みは薬局や病院、クリニックがそれぞれの存在意義を改めて確認し、経営方針を見直すきっかけにもなるでしょう。
SDGsへの具体的な取り組み例
前述の通り、各医療機関によってSDGsへの取り組みはさまざまです。いくつか取り組みの事例をお伝えします。
障がい者雇用などの就労支援や働き方改革
「8.働きがいも経済成長も」「10.人や国の不平等をなくそう」に該当するものとして、多様な人材を採用することによる就労支援や、育児や介護をしていてもスタッフが働き続けられるような環境整備などが挙げられます。
少子高齢化によって医療現場の人手不足が懸念されるなか、雇用の創出によって働き手を増やすことは非常に重要です。こうした取り組みは、最終的には十分な医療サービス提供の体制構築にもつながります。
男女ともに働きやすい職場の実現
「5.ジェンダー平等を実現しよう」の目標も、性別に関係なく活躍するスタッフが多い医療機関では重要な取り組みです。病院やクリニック内に保育所を設けたり、育児休暇の取得や復職後のサポートを推進したりなど、女性はもちろん、男性も仕事と育児を両立しやすい環境の整備が進んでいます。
また、患者さんに対するジェンダー平等への取り組みとして、問診票の性別欄を「男性」「女性」「その他」といった形で設けたり、そもそも性別欄を設けなかったりすることで、LGBTQへの配慮を示す医療機関も増えつつあります。
医療従事者や医療職を目指す学生の支援
スタッフのキャリア支援や資格取得のための奨学金制度、医療職を目指す学生の受け入れといったサポートは、「4.質の高い教育をみんなに」の目標につながる取り組みです。
将来の医療従事者や医療職を支える取り組みとして、教育の問題にとどまらず、医療を取り巻く社会システムの健全な発展においても貢献性が高いと言えるでしょう。
介護・在宅療養への支援
「3.すべての人に健康と福祉を」「11.住み続けられるまちづくりを」に貢献できる取り組みには、在宅療養者への診療・調剤サービス、医療機関などへの移動車の運行などがあります。
在宅療養の患者さんにとっても、その患者さんを介護する方にとっても負担が少なく、十分な医療サービスを提供できる体制を整えることで地域社会への大きな貢献となります。
環境への配慮
温室効果ガスの排出量削減や省資源化は近年、意識を強めている人が増えており、特に組織単位で積極的に取り組む意義は大きいでしょう。具体的にはFSC森林認証紙の利用やDX推進によるペーパーレス化、リサイクル、太陽光パネル設置による自然エネルギー活用、クールビズの実施、レジ袋の削減などが挙げられ、「12.つくる責任つかう責任」「13.気候変動に具体的な対策を」などの目標に貢献できます。
また病院やクリニックであれば「6.安全な水とトイレを世界中に」に該当する取り組みとして、ストーマ装具を洗浄できる設備を整えたオストメイト対応トイレの設置なども挙げられるでしょう。
まとめ
今回ご紹介した取り組みは、SDGsのほんの一例に過ぎません。地域の特性やスタッフの強みなどを考慮しながらアイデアを持ち寄り、さまざまな取り組みを着実に続けていくことが大切です。
<編集後記>
- 3年前、大阪から東京までSDGsの研修を受けに行きました。ユーザー様のSDGsの取り組みを毎月一つ調べて社内に紹介したことをしみじみと思い出します。(編集担当:Y.O)
- 近年よく耳にするようになった「SDGs」ですが、大げさに考えすぎず、できることから着実に積み重ねていくことが地域社会への貢献はもちろん、最終的に国際目標の達成にもつながっていくのだと感じました。(ライター:N.K)
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