2022.10.17調剤機器

現状とのギャップから考える「患者さんが薬局に求めていること」

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患者さんが薬局に求めていること

日本の少子高齢化にともない、極大化する医療ニーズに対して、医療現場では医療従事者が不足することが予測されています。

このような見通しを踏まえて、医療業界はさまざまな課題解決に取り組んでいる最中ですが、薬局のあり方についても社会的要請に応じた転換期を迎えていると言えるでしょう。

薬局は、患者さんにとってどのような存在であるべきなのでしょうか。本記事では、現状を振り返るとともに薬局に求められている役割についてお伝えします。

 

薬局を取り巻く社会環境の変化

薬局を取り巻く社会環境の変化

医薬品の使用におけるチェック体制を強化し、患者さん一人ひとりに処方された薬の効果や安全性をさらに高めることにつながるとして推進されてきた「医薬分業」の制度。

いまや全国の処方箋受取率は75.3%にのぼり、医薬分業はかなり進んできています(出典:日本薬剤師会「処方箋受取率の推計「全保険(社保+国保+後期高齢者)令和3年度 調剤分」」)。薬局薬剤師は医療機関から独立した医薬品の専門家として、一人ひとりの患者さんに適切な調剤や服薬指導を行うことが大前提となりました。

加えて冒頭にも述べた通り、高齢化社会の日本では今後ますます医療ニーズが高まっていく見通しです。これからは処方箋にもとづく調剤や服薬指導はもちろん、人生100年時代を見据えて、日頃の健康状態を維持・向上するための支援を求める声も大きくなっていくはずです。

現在の薬局と患者さんの関係性

では実際に、患者さんは薬局に対して、どのような印象や認識を持っているのでしょうか。令和3年2月に内閣府が公表した「薬局の利用に関する世論調査」をもとに、現在の薬局と患者さんの関係性について考えてみたいと思います。

同調査によると、調査対象者のうち、利用している薬局の薬剤師による薬の説明や相談への対応に満足している人は85.3%にのぼり、患者さんの薬局利用における満足度は高い水準にあることがわかります。

一方で、「かかりつけ薬剤師・薬局を決めている」「薬局は決めているが、薬剤師は決めていない」という人は合わせて26%となり、「病院や診療所ごとにその近くにある薬局に行く」という回答が最多を占める結果に。その理由として、「病院や診療所ごとにその近くにある薬局を利用する方が都合がよい」という回答のほか、「薬局を利用する機会が少なく、必要性を感じない」「薬局を一つに決める利点がわからない」といった回答が目立ちます。

2016年4月に法令化された「健康サポート薬局」の制度についても91.4%が「知らなかった」と回答しており、残念ながら現時点では認知度の低さが大きな課題となっています。

これらの結果から見えてくる現状は、処方箋への対応はもちろん、薬局・薬剤師は地域の患者さんの健康維持・向上のうえでも大きな役割を期待されているにもかかわらず、患者さんにそのことを正しく認識されていないということではないでしょうか。

ただ、同調査でも、かかりつけ薬剤師・薬局を決めることの利点として、58.9%が「服用している全ての薬をまとめて管理し、薬の重複や副作用を確認」、24.0%が「緊急時の開店時間外の調剤」、18.7%が「薬についての開店時間外の電話などによる相談への対応」に関心を示していることがわかっています。

また、「今後、かかりつけ薬剤師・薬局を決めたいと思う」「薬局は一つに決めたいと思うが、かかりつけ薬剤師は決めたいと思わない」と回答した人は、合わせて全体の50.3%を占めており、「かかりつけ薬剤師・薬局」の潜在的なニーズは決して低くないと言える状況です。

健康サポート薬局が行っている取り組みについても、「土・日曜日も相談に対応」「健康維持や向上に関する取組を支援するための専門知識を持っている薬剤師が相談に対応」「相談内容に応じて、連携体制を取っている地域の病院や診療所、介護施設などを紹介」といった内容に関心が集まっているようです。

 

これからの薬局に求められること

これからの薬局に求められること

現状に鑑みると、患者さんが薬局の持つ機能をより活用したいというニーズはあるものの、それらが顕在しづらい環境であると言えるかもしれません。

その中で、顕在化していないニーズを汲み取り、より地域医療に貢献することをめざして、新しいことに取り組んでいる薬局もあります。

例えば、夜間・休日の調剤や緊急時の電話相談、在宅患者への対応など、さまざまな状況におかれた患者さんが必要なときに適切なサービスを受けられる体制の構築。介護のお悩みに対するサポート。健康維持のためのワークショップの開催。かかりつけ医との連携体制の強化。DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進などが挙げられます。

改めて、日本がめざす地域包括ケアシステムの構築においては、薬局・薬剤師の方々が担う役割が非常に大きいと言えます。従来の業務だけにとらわれず、医薬品の専門家としての立場から、患者さんの健康をさまざまな側面で支えていくことが期待されているのではないでしょうか。

こうした新しい取り組みに挑戦される薬局の皆様の課題解決に、YUYAMAは対物業務の自動化・効率化を通じて貢献してまいります。

 

 

※この記事は情報提供を目的としており、株式会社ユヤマ・株式会社湯山製作所の企業としての見解を示すものではございません。記事に関するご意見・ご感想はお気軽にお寄せください。

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タグ : 患者 薬剤師 薬局
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