2025.02.25クリニック開業 , 電子カルテ

2025年4月施行!「かかりつけ医機能報告制度」とは?クリニックがこれから期待される役割について

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[目次]

1. 制度導入の背景

2. 制度の目的と期待される効果

3. かかりつけ医機能報告制度の概要

4. 制度の普及状況と課題

5. かかりつけ医の役割と地域医療への影響

6. クリニックに期待される役割

7. まとめ

 

1. 制度導入の背景

かかりつけ医機能報告制度

図1:かかりつけ医機能報告制度について|厚生労働省

2025年4月から施行される「かかりつけ医機能報告制度」は、地域医療の質向上や患者の利便性向上を目的として導入されました。

この制度は、日本の高齢化社会における医療の質向上と地域医療の強化を目指しています。高齢化が進む日本では、医療需要の変化に伴い、特に慢性疾患を抱える高齢者に対する継続的な医療管理が求められています。

しかし、医療機関のマンパワー不足が深刻化しており、医療従事者の確保が大きな課題となっています。

このような背景から、かかりつけ医機能が発揮させる制度整備が必要とされ、「かかりつけ医機能報告制度」が導入されました。

 

2. 制度の目的と期待される効果

かかりつけ医機能報告制度は、地域医療の質向上と強化を目的としています。この制度により、医療機関はかかりつけ医としての機能を報告し、地域住民に対して適切な医療情報を提供します。クリニックは、この制度を通じて以下の役割を果たします。

医療情報の提供

クリニックは、診療時間や対応可能な疾患、在宅医療の提供状況などの情報を報告し、地域住民が適切な医療機関を選択できるようにします。

地域医療の質向上

報告された情報を基に、地域の医療機関間で連携を強化し、医療の質を向上させます。これにより、地域全体の医療サービスが向上し、住民の健康が守られます。

 

3. かかりつけ医機能報告制度の概要

かかりつけ医機能報告制度

図2:かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会 報告書|厚生労働省

かかりつけ医機能報告制度は、医療機関がかかりつけ医としての機能を都道府県知事に報告する制度です。具体的には、以下の情報を報告します。

診療内容

診療科目、診療時間、対応可能な治療内容など、医療機関が提供する具体的な医療サービスの内容

対応可能な疾患

日常的によくある疾患への対応状況や、慢性疾患の管理体制

在宅医療の提供状況

在宅医療の提供状況や、訪問診療の実施状況

地域連携の状況

他の医療機関や介護サービスとの連携状況、紹介受診の体制など

 

この情報は、地域住民が適切な医療機関を選択できるようにするために活用されます。

報告された情報は、都道府県知事が確認し、地域の医療機関間での連携を強化するために利用されます。

 

4. 制度の普及状況と課題

かかりつけ医機能報告制度は全国的に普及が進んでいます。

厚生労働省は、自治体向けの説明会や研修を通じて、制度の理解と普及を促進しています。

各自治体は、地域の医療機関と連携し、かかりつけ医機能報告制度の円滑な運用を支援しています。例えば、地域医療連携会議を開催し、報告内容の確認や改善点の共有を行っています。

 

しかし、報告の手間やコスト、システムの互換性などの課題も存在します。

医療機関にとって、報告の手間やコストが負担となる場合があります。これに対して、厚生労働省は報告システムの簡素化や補助金の提供などの対策を講じています。

また、電子カルテや報告システムの互換性が課題となることがあります。これに対して、標準化の推進やシステムの改良が進められています。

 

5. かかりつけ医の役割と地域医療への影響

かかりつけ医の役割

患者の健康管理

かかりつけ医は、患者の日常的な健康管理を行います。定期的な健康診断や生活習慣病の管理を通じて、患者の健康状態を継続的に把握し、必要な治療や指導を行います。これにより、病気の早期発見や重症化の予防が可能となります。

予防医療の提供

かかりつけ医は、予防接種や健康教育を通じて、地域住民の健康維持・増進に努めます。例えば、インフルエンザの予防接種や生活習慣病予防のための健康指導を行います。

地域医療の調整役

かかりつけ医は、患者が専門的な治療を必要とする場合に、適切な専門医療機関への紹介を行います。また、在宅医療や訪問診療を通じて、患者が自宅で適切な医療を受けられるよう支援します。これにより、地域全体の医療資源を効率的に活用することができます。

 

地域医療への影響

地域医療の質向上

かかりつけ医機能報告制度により、医療機関が提供する医療サービスの内容が明確化され、地域住民が適切な医療機関を選択できるようになります。これにより、地域全体の医療サービスの質が向上し、住民の健康が守られます。

医療資源の効率的な利用

かかりつけ医が地域医療の調整役を果たすことで、医療資源の効率的な利用が促進されます。例えば、初期診療をかかりつけ医が担当し、専門的な治療が必要な場合には適切な専門医療機関に紹介することで、医療機関の負担を分散させることができます。

地域連携の強化

かかりつけ医機能報告制度を通じて、医療機関間の連携が強化されます。これにより、患者が必要な医療を迅速に受けられる体制が整い、地域全体の医療サービスが向上します。

 

6. クリニックに期待される役割

クリニック

初期診療

患者が最初に訪れる医療機関として、風邪や軽度の外傷などの初期診療を行います。これにより、病院の負担を軽減し、患者が迅速に医療を受けられるようにします。

慢性疾患の管理

糖尿病や高血圧などの慢性疾患の管理を行い、定期的なフォローアップや生活習慣の指導を通じて、患者の健康維持をサポートします。

予防医療の提供

健康診断や予防接種を行い、病気の早期発見や予防に努めます。これにより、地域全体の健康レベルを向上させます。

地域連携

クリニックは、他の医療機関や地域資源と連携することで、患者に包括的な医療サービスを提供します。例えば、専門医療機関への紹介や在宅医療の支援を行い、患者が適切な医療を受けられるようにします。

 

クリニックが直面する具体的な課題とその対策は以下が挙げられます。

診療報酬の問題

クリニックは診療報酬が限られているため、経営が厳しくなる可能性があります。対策として、効率的な診療体制の構築や、予防医療の推進による収益多様化が必要と考えられます。

スタッフの確保

医療スタッフの確保が難しい場合があります。対策として、離職を防ぐため柔軟な勤務制度の導入やタスクシフト・タスクシェアでひとり当たりの業務負担軽減を行なうことによる働きやすい職場環境の整備が考えられます。

ITシステムの導入

電子カルテや遠隔診療システムの導入にはコストがかかります。対策として、国や自治体の補助金を活用することや、システムの導入による業務効率化を図ることが考えられます。

地域住民との信頼関係の構築

地域住民との信頼関係を築くことが重要です。対策として、地域イベントへの参加や、住民とのコミュニケーションを積極的に行うことが有効です。

 

クリニックは、これらの課題に対策を講じて、地域医療の中核として機能し続けることが求められます。

 

7. まとめ

クリニックは、初期診療や慢性疾患の管理、予防医療の提供を通じて、地域住民の健康を支えます。

これにより、病院の負担を軽減し、地域全体の医療サービスの質を向上させることが期待されます。

また、予防医療の提供や地域連携の推進を通じて、患者が適切な医療を受けやすい環境を整えます。

 

かかりつけ医機能報告制度を導入することによる展望は、以下の3点が挙げられます。

医療機関間の連携強化

かかりつけ医機能報告制度により、医療機関間の連携が強化され、患者が必要な医療を迅速に受けられる体制が整います。

患者の健康管理の効率化

クリニックは、慢性疾患の管理や予防医療の提供を通じて、患者の健康管理を効率化することが期待されます。

地域医療の質向上

かかりつけ医機能報告制度を通じて、地域全体の医療サービスの質が向上し、地域住民の健康が守られます。

 

本制度は、クリニックが地域医療の中核として機能し、地域住民の健康を支えるための重要な制度です。

地域住民の方々から、かかりつけ医として選ばれ、永続的なトータルケアを実施することで、安定したクリニック経営が期待できるでしょう。

 

 

参照ページ:

[1] (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000123022_00007.html):かかりつけ医機能報告制度|厚生労働省

[2] (https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001193028.pdf):かかりつけ医機能について|厚生労働省

[3] (https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_335126_00008.html):かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会 報告書|厚生労働省

 

 

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タグ : 電子カルテ クリニック かかりつけ医 かかりつけ医機能報告制度
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