調剤の外部委託を実現!オランダ分包センターの内部に迫る!
オランダの分包センターについては過去のコラムでも取り上げ、日本とは異なる薬局事情や分包センターの仕組みを紹介しました。今回は第2弾として、オランダの分包センターの運用の実態を一例として紹介します。
分包センターの基本情報
オランダの分包センターAでは、薬剤師は数名のみが在籍し、ほとんどの業務は薬剤師ではないスタッフが行っています。複数台の錠剤機、巻き取り装置が導入されており、分包オペレーターとDTA(手撒き)オペレーターが複数名配置されて1日あたり数十万包の処方に対応しています。
それぞれの業務においてチェックを徹底し、ミスが起こらず、エビデンスのとれる仕組みを構築しているのが特徴です。また、各作業場所ではコンタミネーションを防止し、作業者を守るためのクリーンな業務環境を実現しています。
分包センターで行われている業務の流れ
分包センターの業務の流れは以下の通りです。
【1:デブリ(除包)】
薬品が入庫したらデブリ(除包)を行い、独自のボトルで保管。当日に行う分包量が決まっているため最小限のデブリ量を行います。必要量、現在庫量を考慮してデブリすべき量が指示されます。空気中に粉が舞わない環境を確保し、マスクの着用を徹底することで作業者の安全を守っています。
【2:保管】
ラベルでロット番号、有効期限などを管理。誰がいつ除包したかについても登録されます。
【3:充填】
ロット番号、有効期限を正確に管理するため、必ず欠品充填を行います。薬局単位でバッチ処理(データの一括処理)を行われており、分包はほぼ停止することなく、バッチ単位で一気に複数名分が完結するようになっています。
また、後の処方情報がわかるため、分包中に次の処方のカセットを入れ替えて準備します。カセットはRFID(複数の物品を電波によって非接触で一括読み取りできる機能)で管理されており、間違って分包されることはありません。
【4:分包】
すべての錠剤分包機にはダクトがついており、機械内で粉が舞わないように対策されています。
【5:手撒き】
数台のDTAステーションが設置されています。DTAを行う薬品は決まっており、カセットの搭載が向いていない薬品や高額の薬品、1/2錠、1/4錠に限定されています。なお、手撒きは1薬品ずつ、LEDを用いたガイドによってどこに撒くかの指示を出し、手撒きの間違いを防ぐやり方で行われています。
【6:巻き取り】
巻き取り機がついていて、1バッチ分を連続で巻き取った後、鑑査へ移行します。
【7:機械鑑査】
鑑査装置に巻き取られた分包品をセットし、機械で撮影しながら鑑査を実施(分包に間違いがないかは大きさ、色、形状で判定)。鑑査しながら、患者ごとにカットします。鑑査は別部屋で複数人によって画像を見ながら行われています。
【8:修正】
ワーニングが出た場合は包を確認し、必要があればハサミで切り込みを入れてピンセットで修正。テープで止めて、写真を撮影します。
【9:梱包】
レターパックや封筒に入れて、委託側の薬局へ郵送されます。
まとめ
今回紹介したように、徹底的な仕組み化によって安定的かつ安全な調剤を可能にしているのが分包センターです。
超高齢社会の日本においても同様のシステムの実現性は未知数ではあるものの調剤業務の効率化は命題とも言えるため、ユヤマは技術力によって、さらなる貢献を目指していきます。
<編集後記>
- 改めてまとめてみて、何年もかけて改善して磨いてこられた運用なのだと感じました。今後の日本国内の運用にも参考になる点もあると思います。(編集:M.S)
- 過去の記事では分包センターの意義や役割をご紹介しましたが、今回はオペレーションに焦点を当てました。規模の大きい処方量に対して少人数で効率化する仕組みは参考になる点も多いのではないでしょうか。(ライター:N.K)
☆記事についてのご意見・ご感想はこちらからお願いします☆
※この記事は情報提供を目的としており、株式会社ユヤマ・株式会社湯山製作所の企業としての見解を示すものではございません。記事に関するご意見・ご感想はお気軽にお寄せください。

株式会社ユヤマ

最新記事 by 株式会社ユヤマ (全て見る)
- 医療DXの現在とは? - 2025年3月18日
- クリニックにおける診療科目別で電子カルテを選ぶ際のポイントをご紹介 - 2025年3月6日
- 2025年4月施行!「かかりつけ医機能報告制度」とは?クリニックがこれから期待される役割について - 2025年2月25日