2024.01.16調剤機器

乾燥、静電気……薬局での冬のお悩み対処法をご紹介

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冬に起こりやすい乾燥や静電気。これらは調剤の質や安全性に影響を及ぼす可能性があるため、薬局内の対策を十分に行っておきたいものです。

今回は、特に注意が必要な薬品と分包機の扱いについて、気を付けたいポイントと適切な対処法をご紹介いたします。

冬の調剤室で気を付けたいポイント

乾燥や静電気による影響を防ぐため、以下のポイントを改めてチェックし、調剤室の環境整備を見直してみてください。

薬品をPTPシートから直撒きしない

乾燥や静電気が発生すると、薬品を分包機に投入した際、帯電して機器に付着してしまう可能性があります。

これによって正しく分包ができなかったり、コンタミネーションを引き起こしたりするリスクがあるため、薬品の投入時はPTPシートから直撒きするのではなく、いったん乳鉢などに移してから撒くようにしましょう。

分包機の清掃は水拭き・乾拭きをセットで

帯電による薬品の機器への付着を防ぐには、薬品経路の清掃にもポイントがあります。

乾拭きのみでは静電気がより発生しやすくなってしまうため、あまり汚れていない場合でも必ず水拭きと乾拭きをセットで行うようにしてください。

機器や薬品に触れる際は除電グッズを活用

寒さが厳しくなると、薬剤師さんがセーターやニットを着用することも増えるのではないでしょうか。セーターやニットを着ていると静電気が起こりやすいため、機器や薬品に触れる際には適宜、静電気除去シートなどのグッズを活用することをおすすめします。

専用グッズがない場合も、一度機器や薬品以外のところに触れてから扱うように心がけるだけでも効果があります。ぜひお試しください。

分包紙の保管場所を見直す

分包紙が吸湿して紙ズレが起きることがないように、分包紙は湿度が適切に保たれている場所での保管を行いましょう。室温20度前後、湿度50%前後が理想的ですが、難しい場合は調剤室など空調管理ができている部屋で保管してください。

また、エアコンの風が直接当たるなどによって乾燥しやすい場所や、反対に水回りや壁際、窓際などの結露しやすい場所を避けることも重要です。さらに床に近い場所も多湿になりがちですので、台やパレット、すのこ、段ボール等の上に置くようにしましょう。

調剤室の湿度を管理する

調剤室の湿度が極端に低いと、静電気が発生しやすくなります。一方で湿度が高すぎても分包紙が吸湿してしまい、紙ズレが起こる要因に。

冬は薬局内の感染症対策などのために加湿器を使用するケースもあるかもしれませんが、原則として分包機のすぐ近くに加湿器を設置することは避けてください。特に調剤室の湿度は病院薬局環境基準で40~70%が望ましいとされているため、湿度管理に気を付けましょう。

エアコンの風向きに注意する

寒い冬にはエアコンの使用が欠かせませんが、エアコンの温風が機器や薬品などに直接当たると静電気が起きやすくなります。エアコンの風向きを調節したり、サーキュレーターを活用して空気を循環させたりなどの工夫をしてみましょう。

まとめ

調剤室の環境を整えることは、安心・安全な調剤業務を行ううえで非常に重要と言えます。

冬本番を迎え、ますます乾燥や静電気が起こりやすくなるため、今回ご紹介したポイントを日頃のオペレーションの見直しにぜひ役立てていただければ幸いです。

<編集後記>

  • 乾燥や結露する時期には、処方箋やラベル等、紙類についても反りや静電気の影響がでる場合があります。調剤室の環境や、保管場所については同様にチェックしてみることで予防のお役に立つことができれば幸いです。(編集担当:J.T)
  • 冬場は日常生活においても厄介な乾燥や静電気。意外と見落としがちなポイントもあるかと思いますので、改めてチェックしてみてください。(ライター:N.K)

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タグ : 分包 湿度 静電気
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