イギリスの薬局事情(後編)

前回のコラムでは、イギリスの薬局が提供するEssential Service(必須サービス)・Advanced Service(アドバンストサービス)・Locally Commissioned Service(地域サービス)という3つのサービスを紹介しました。
これらは主に「リテール薬局」のサービスであり、イギリスには他にも「クローズド薬局」という業態があります。今回は前回に続く後編として、イギリスの2つの薬局における調剤業務についてお伝えします。
イギリスにおける2つの薬局
イギリスの「リテール薬局」と「クローズド薬局」は、それぞれ次のような役割を持っています。
リテール薬局
(Procare様ご提供写真)
リテール薬局とは、日本でいう一般的な外来患者さん向けの薬局のことを指します。経営形態は個人事業やフランチャイズ、チェーンなど多岐にわたります。
リテール薬局の調剤においては、OTCなどの薬品を箱で提供し、箱の中身はPTPシートになっているのが一般的です。基本的には従来通りの紙媒体の処方箋が採用されていますが、近年は電子処方箋に移行する薬局も増え始めています。
薬局によりますが、資金やスペースに余裕がある場合、基本的には箱払出機を導入しているところも多くあります。処方箋をベースとして、外来患者さん(ウォークイン患者さん)に対して箱で提供しています。必要に応じて、外用薬や水剤なども提供可能です。
クローズド薬局
(Total Medcare Limited様ご提供写真)
一方のクローズド薬局は、外来患者さんが来局することはなく、主に老人介護施設や薬局から分包サービスを受託したり、在宅患者さんに向けて調剤薬品を直接届けたりするサービスを提供しています。紙の処方箋ではなく電子処方箋がメインです。
薬品は箱やブリスターパック(シングルドーズ・マルチドーズ)、分包、水剤、その他外用薬を含む、幅広い提供方法に対応しており、委託している薬局側のニーズに応じて柔軟に提供できる点が特徴です。
なお、分包サービスはブリスター調剤に比べて人件費削減などのコスト面でのメリットが大きいため、薬局側としては施設への働きかけを通じて分包サービスを推進していきたい傾向がみられます。
まとめ
過去のコラムでアメリカの調剤についても紹介していますが、アメリカは「バイアル」、イギリスは「箱」といったように、国によって調剤の文化は異なります。本コラムでは、今後もさまざまな国の薬局や調剤について紹介しますので、ぜひ楽しみにお待ちください。
<編集後記>
- リテール薬局では日本製の分包機も活躍しています。前編にもあったとおり、イギリスでは薬剤師への権限移譲、業務範囲の拡大が進んでいます。調剤業務の自動化も課題となっており、日本製の分包機が貢献していけるよう頑張りたいと思います。(編集担当:N.K)
- 余談ですが、日本はスギ花粉症に悩まされる人が多いなか、イギリスでは芝が花粉症の大きな要因となっているそう。こうしたところにも国による違いがあり興味深いです。(ライター:N.K)
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