【令和8年度(2026年度)診療報酬改定】ポリファーマシー対策はどう変わる?地域における薬局・薬剤師の役割について

日々の調剤業務の中で、患者さんが抱えるポリファーマシー(多剤併用)の問題に頭を悩ませている薬剤師の先生方は多いのではないでしょうか。減薬の取り組みは従来から進められてきましたが、加えて退院後の継続的なフォローや複数クリニックの処方一元管理も必要であり、病院と地域の薬剤師が連携しながら担っていくことが求められます。
本記事では、これまでの背景を振り返りつつ、令和8年度診療報酬改定が地域薬局にもたらす変化と今後果たすべき役割、そして病院との連携の重要性についてお伝えします。
病院におけるポリファーマシーが問題視されてきた背景
病院においてポリファーマシーが本格的に問題視され、対策が急務となった背景には、高齢患者の増加とそれに伴う複数診療科の受診があります。各専門医が自科の疾患に対してガイドライン通りの最善の処方を行った結果、処方が重なり、予期せぬ重複投与や相互作用を引き起こす構造的な問題が存在していました。
特に高齢者は薬物代謝機能が低下しているため、ふらつきや転倒、認知機能の低下といった薬物有害事象につながる可能性もあり、医療安全上のリスクと考えられていました。こうした事態を受け、国の医療政策としても医療費の適正化と患者の安全確保の両面から対策が進められてきた経緯があります。
地域に残るポリファーマシーの問題

近年、病院内では病棟薬剤師の配置や退院時カンファレンスを通じて、持参薬の整理や不要な薬のスクリーニング体制が定着し、体制整備が進みつつある状況です。しかし、患者さんが退院して地域に戻った後の管理体制には懸念が残っています。
複数のクリニックから出された処方箋を別々の薬局で調剤していたり、お薬手帳の提示が徹底されていなかったりすることで、地域におけるポリファーマシーの潜在化・再発が未だ根深い問題として残っています。病院で整理された処方が、地域のフォロー体制によっては元のポリファーマシーの状態に戻ってしまうケースも想定されるため、地域においては、薬局が医療機関と連携しながら一元的な管理と適切な介入を行うことが求められています。
令和8年度診療報酬改定により進むポリファーマシーへの対策
こうした地域におけるポリファーマシーの課題解決に向け、強く後押しするのが令和8年度(2026年度)の診療報酬改定です。
今回の改定を踏まえると、地域における薬局が単なる調剤の受け皿ではなく、処方適正化に積極的に関与する「かかりつけ機能」を発揮することが期待されています。
具体的には、従来は監査が中心であり、問題があった場合には報告を行い、状況に応じて残薬にも対応するといった関わり方をしていましたが、今後は積極的に残薬への対応を行うことが求められます。残薬の原因分析や、重複や相互作用のリスクを低減させるための医師への提案に加えて、退院後の継続的なフォローも必須です。
よって、専門性を活かして患者さんへ積極的に関与し、日々の業務を対物から対人へとシフトしていくことが求められていると言えるでしょう。
今後ますます病院と薬局の地域連携が重要に

令和8年度の診療報酬改定のメリットを最大限に活かし、地域でのポリファーマシー対策を実りあるものにするためには、病院と薬局の薬薬連携が不可欠となります。
ポリファーマシーの解消は、薬局単体の努力だけで完結するものではありません。患者さんの入院時には、地域での服薬実態やアドヒアランスの課題を確実に病院薬剤師へとつなぎ、退院時には、病院での処方変更の意図や経過をきめ細やかに引き継ぐという、双方向の情報循環が必要です。
ICTを活用した電子処方箋や情報共有ツールの活用はもちろん、地域の医師会や多職種との顔の見える関係を築き、患者さんを地域全体で支えるシームレスなフォローアップ体制を、薬剤師が中心となって構築していくことが求められています。
まとめ
高齢化が加速する地域医療において、ポリファーマシー対策は患者さんの安全とQOLを守るために欠かせないものです。令和8年度の診療報酬改定は、薬剤師が処方の適正化に主体的に関与していくための大きな転機であるとも言えます。
処方箋の通りに調剤するだけではなく、処方の妥当性を精査し、病院や医師と連携しながら患者さんにとって最適な薬物療法を提供していくことが、地域における薬局と薬剤師の存在意義となるのではないでしょうか。
参考URL
1)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001684593.pdf
2)https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001277340.pdf
3)https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/48.html
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