病院と診療所の違いについて 電子カルテの使用方法も異なる?
電子カルテは病院や診療所など、導入された医療機関によってさまざまな用途で使用されています。
本記事では、病院と診療所において電子カルテの使用方法などの違いについてご説明します。
病院と診療所では電子カルテの使用方法は異なる?
病院と診療所では、電子カルテの使用方法は異なるのでしょうか。
結論、情報を共有する先の部門数以外、大きな違いはありません。
病院と診療所の違いは設置されているベッドの数によります。
ベッド数が20床以上の場合は「病院」、19床以下の場合は「診療所」として定義されています。特にベッドが0床(=外来診療のみ)の診療所を「無床診療所」と呼びます。
病院では外来、病棟、手術室、検査室、薬剤部、医事課などのさまざまな部門に分かれているため、スムーズに患者さんの情報をほかの部門と共有する必要があります。
そのため、病院での電子カルテは早く正しい情報を共有することを重要な目的の一つとして利用されています。
診療所は病床数が少なく、また1人の医師によって運用されていることもあるので、限られたスペースで効率よく診療をすることにも着目して電子カルテが利用されます。
病院での電子カルテの利用
こちらでは、病院での電子カルテの利用についてご説明します。
情報の共有
病院では各部門がそれぞれのデータをほかの部門と共有することをその重要な目的の一つとして利用しています。
紙カルテで他の部門に情報を提供する場合、紙カルテを保管している場所まで行かなければならないのでスピード感に欠けてしまったり、渡すカルテを間違えてしまったりする人為的ミスが発生してしまいます。またどこかの部門の誰かが紙カルテを使用中は他の者が情報にアクセスすることができません。
電子カルテで情報を共有する場合は、移動せずにデスク上で情報共有ができるので所要時間が大幅に削減できます。もちろん、1患者のデータに同時に多くの者がアクセスすることができます。
電子カルテサーバに蓄積されたデータに同時に多くのクライアントがアクセスできる「情報の共有」は、施設の規模が大きくなればなるほど飛躍的にそのメリットが高まるといえるでしょう。
業務改善
多くのスタッフを抱える病院では、業務改善も目的のひとつとして電子カルテを利用しています。
例えば紙カルテの場合は保管場所に移動し、正しいカルテを探してから持ち運ぶ、コピーを取るなどの作業が発生します。
電子カルテの場合はデスク上でカルテデータを閲覧・参照することができるので、移動や探す時間をゼロにするすることができます。
スタッフが多い病院においては、医師や看護師の業務改善を行うことも電子カルテを利用するメリットといえます。
診療所での電子カルテの利用
こちらでは、診療所での電子カルテの利用についてご説明します。
過去データの振り返り
診療所では効率よく診察するため、電子カルテは過去データを早く閲覧・参照するためにも利用されています。
紙カルテの場合、医師や医療事務スタッフが膨大な紙媒体の中から該当する資料を探さなければならないので、多くの時間がかかってしまいます。
そのような非効率を排除し、より質の高い医療を提供する為にも、過去データをすぐに閲覧・参照ができる電子カルテが有用であるといえます。
スペースの改善
診療所は病院ほど大きなスペースで運営していませんので、紙カルテよりも省スペースで効率よく運用するために電子カルテを利用しています。
もちろん、紙カルテの場合は患者さんのカルテを探したり、元あった場所に戻したりする際に都度作業が発生してしまいます。
また、新たな機器や設備を導入しようとしても、紙カルテの保管のために多くのスペースを取ってしまっていることから、導入が難しくなることもあります。
ビルにテナント入居している診療所では、保管カルテスペースの肥大化を理由に移転を検討せねばならなくなることもあります。
有効にスペースを活用し、医療の質を上げるためにも、診療所は電子カルテを利用しています。
おわりに
本記事では、病院と診療所で電子カルテの使用方法などの違いについてご説明しました。
病院と診療所で電子カルテの使用方法や目的に大きな違いはありません。しかしながら、病院のように医療機関としての規模が大きくなればなるほど「情報共有」のメリットが、無床診療所のように規模が小さくなればなるほど「省スペース」のメリットが高まるといえます。
いずれの医療機関でも、効率よく医師や患者さんの負担を抑えるために活用されています。

株式会社ユヤマ

最新記事 by 株式会社ユヤマ (全て見る)
- 医療DXの現在とは? - 2025年3月18日
- クリニックにおける診療科目別で電子カルテを選ぶ際のポイントをご紹介 - 2025年3月6日
- 2025年4月施行!「かかりつけ医機能報告制度」とは?クリニックがこれから期待される役割について - 2025年2月25日