2022.12.18電子カルテ

医療DXに向けて-今春の個別改定(中医協答申)より

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去る2022年12月23日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)総会において今春の個別改定についての答申がなされました。今後国会を通過してのち正式決定のはこびとなります(2023年1月現在)。

今回の個別改定では、その主要テーマのひとつとして医療DXを将来に向けて進展させていく上で現時点で必要な事柄についても協議がなされ、大きく以下の3つにまとめられました。

○医療DXの基盤となるオンライン資格確認の導入の原則義務付けに係る経過措置について

○医療DX推進のためのオンライン資格確認の導入・普及に関する加算の経過措置

○医薬品の安定供給問題を踏まえた診療報酬上の特例措置

 

本記事では今春の個別改定についてこれら3つから無床診療所に関連した部分を中心にご紹介します。

 

医療DXの基盤となるオンライン資格確認の導入の原則義務付けに係る経過措置について

オンライン資格確認の導入が令和5年4月から義務付けられているところ、令和4年度末時点でやむを得ない事情がある施設について次の通り大きく6つの区分で期限付きの経過措置が設けられました。

 

1)令和5年2月末までにベンダーと契約締結したが導入に必要なシステム整備が未完了の

保険医療機関、薬局(システム整備中)

⇒システム整備が完了する日まで(遅くとも令和5年9月末まで)

2)オン資に接続可能な光回線のネットワーク環境が整備されていない保険医療機関、薬局

(ネットワーク環境事情)

⇒オン資に接続可能な光回線のネットワークが整備されてから6ヶ月後まで

3)訪問診療のみを提供する保険医療機関

⇒訪問診療のオン資(居宅同意取得型)の運用開始(令和6年4月)まで

4)改築工事中、臨時施設の保険医療機関、薬局

⇒改築工事が完了するまで、臨時施設が終了するまで

5)廃止・休止に関する計画を定めている保険医療機関、薬局

⇒廃止・休止まで(遅くとも令和6年秋まで)

6)その他特に困難な事情がある保険医療機関、薬局

※例外措置又は(1)~(5)の類型と同視できるか個別判断

⇒特に困難な事情が解消されるまで

 

また、上記それぞれの事情による場合の補助や財政支援についても対象期間を延長するなどの措置が講じられています。

 

なお、「システム整備が未完了」である施設についてはシステム整備が完了する見込み(予定月)を届出で報告することが義務付けられています。

 

医療DX推進のためのオンライン資格確認の導入・普及に関する加算の経過措置

加算の経過措置

オンライン資格確認の導入・普及の徹底の観点から「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」について、初診時の評価を見直し、また再診時についても新たに評価を行います。加えて、オンライン請求を更に普及する観点から算定要件を見直す特例措置が講じられます。

 

1)初診時の加算の特例

→マイナンバーカード利用なしの場合、現行の「4点」を「6点」に引上げ

2)再診時の加算の特例(新設)

→マイナンバーカード利用なしの場合、「医療情報・システム基盤整備体制加算3」

として1月に1回を上限として「2点」を新設

3)加算要件の特例(オンライン請求の要件)

→オンライン請求を令和5年12月31日までに開始する旨の届出を行っている施設は

現行の要件である「オンライン請求を行っていること」を満たすものと見なす

 

これらの特例措置は令和5年4月から12月まで時限的に適用されます。

 

医薬品の安定供給問題を踏まえた診療報酬上の特例措置

特例措置

医薬品の供給が不安定な状況を踏まえて、患者さんへの適切な薬剤の処方や保険薬局の地域における協力促進などの観点から保険医療機関・保険薬局に対する加算について特例措置が講じられます。以下は無床診療所での投薬に関する部分のみの抜粋です。

 

1)一般名処方加算1、2(院外処方の場合)

→下記「追加の施設基準」を満たしている場合、1と2それぞれ「7点」を「9点」、

「5点」を「7点」に引上げ

※追加の施設基準:「薬剤の一般的名称を記載する処方箋を交付する場合には、医薬品の供給状況等を踏まえつつ、一般名処方の趣旨を患者に十分に説明することについて、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。」

2)外来後発医薬品使用体制加算1、2、3(院内調剤の場合)

→下記「追加の施設基準」を満たしている場合、1~3それぞれ「5点」を「7点」、

「4点」を「6点」、「2点」を「4点」に引上げ

※追加の施設基準:「(イ) 外来後発医薬品使用体制加算に係る届出を行っている保険医療機関であること。(ロ) 医薬品の供給が不足した場合に、医薬品の処方等の変更等に関して十分な対応ができる体制が整備されていること。(ハ) イ及びロの体制に関する事項並びに医薬品の供給状況によって投与する薬剤を変更する可能性があること及び変更する場合には患者に十分に説明することについて、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。」

 

これらの特例措置は令和5年4月から12月まで時限的に適用されます。

 

おわりに

本記事では今春の個別改定について無床診療所に関連した部分をご紹介しました。

医療DXを今後さらに進展させていく為に現段階で必要な事柄が経過措置として講じられ、また、不安定な医薬品供給の現況に鑑みて患者さんに適切な処方がなされる為の経過措置が講じられています。

これらの点数改定への対応は稼働中の電子カルテやレセコンのベンダーからアップデートプログラムとして3月下旬にリリースされます。4月1日の改定施行当日に算定ミスやシステムエラーなどのトラブルで躓いてしまうことの無いよう、必ず3月31日までにアップデートを完了させましょう。

(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00172.html)

 

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