2022.05.23電子カルテ

電子カルテの機器構成、全部屋に端末は必要?

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電子カルテの機器構成

電子カルテのメリットのひとつとして「情報へのアクセスのしやすさ」が挙げられます。紙カルテであれば、カルテ棚まで移動し、必要なカルテを探し、元の場所まで移動してから閲覧使用する(そして使い終わったらカルテ棚へ戻しに行く)という手順を踏まねばなりませんが、電子カルテ端末があればその場で即座に閲覧することができます。また、紙カルテであれば院内の「どこか」で「誰か」が使用中は他の全ての者がこれを閲覧使用できないという状態が発生しますが、電子カルテであれば同一患者のカルテを同時に複数の端末で(=複数の者が)閲覧することができます。

このように、医師をはじめとして院内スタッフ全員の生産性が飛躍的に向上し、より質の高い医療を提供することが可能となる電子カルテですが、「では全ての部屋に電子カルテ端末が必要なのか?」という疑問が生じます。

本記事では全部屋に電子カルテ端末が必要なのかについてご説明します。

 

電子カルテは院内全部屋に端末が必要?

結論として、診療所の全部屋に電子カルテ端末を設置する必要はありません。

明らかに不要な部屋、必ず設置する必要がある部屋、業務の実情に即して要不要を適宜判断すべき部屋があります。また、必要な部屋であっても設置台数についてはやはり状況を踏まえて検討を行う必要があります。

 

以下、カルテとレセコン機能が統合された一体型電子カルテシステムを例として具体的にご説明します。

 

診察室

同時に診察に従事する医師の人数に関係なく、診察室にはそれぞれ端末が必要です。医師が院長1人であっても、診察室が3つあるのであればそれぞれに1台が設置されている必要があります。

 

窓口(受付・会計)

最低1台は設置する必要があります。窓口では主に新患登録、診察受付、会計などの窓口業務を行う為に電子カルテ端末を使用します。

台数については2台以上が理想的です。2台あれば朝の診療開始直後に大勢の患者の受付を分担して行うことができ、その後は1台を主に受付・新患登録用、もう1台を主に会計用として使用することで業務フローを最適化することができます。1台だけの場合、診察受付や新患登録で端末を使用している間は診察終了後の患者の会計を行うことができず、一体型電子カルテでは本来起こらない筈の「会計待ち」が発生し、患者を待たせてしまうことになります。逆に、会計中は新たに来院した患者の受付や新患登録に着手することができません。特に、耳鼻咽喉科などのように短時間で大人数の患者を診察する科目では、端末台数がボトルネックとなって窓口業務が遅滞してしまうと診療全体に悪影響を及ぼすことになってしまうので注意が必要です。

 

点滴室、検査(採血、検尿)室、処置室

点滴オーダの備考指示や全般的なカルテ情報を参照する必要がある場合や、点滴終了をもって患者カルテ情報を会計へ送るという運用フローを行いたい場合に必要です。

また、採血時にカルテ情報を参照する必要がある場合や、院内で実施した検尿の結果を電子カルテに入力する必要がある場合に必要です。

医師が処置を実施する際に患者カルテの参照や追記を行いたい場合や、スタッフがあらかじめ必要な器具・材料・薬剤を準備する為にカルテの処置オーダを参照しておくというフローの場合に必要です。

なお、診療所ではこれらの医療行為を一続きのスペースの中でエリアを分けて実施する場合があるので、最適なロケーションで1台設置すれば全てを兼務させることができる可能性があります。

 

手術室、内視鏡室

医師が手術や内視鏡検査を行う際に患者カルテの参照や追記を行いたい場合には必要です。

 

レントゲン室、CT室

撮影室の隣の操作室で患者カルテの参照や追記を行いたい場合には必要です。

 

その他検査室(超音波、心電図、etc.)

その場で患者カルテの参照や追記を行いたい場合には必要です。

 

院内薬局

通常、院内薬局では電子カルテから発行された院内処方箋に従い調剤や鑑査を行うので、患者カルテの参照を行わねばならない特段の事情がある場合を除いては不要です。

なお、院内調剤の頻度や規模によっては調剤システムを導入し電子カルテシステムとの相互接続による連携を行えば高い投資対効果が得られる場合があります。

 

リハビリ室

リハビリ室では電子カルテに実装されたリハビリ機能を用いてリハビリ計画作成やリハビリ実施記録の作成、参照を行います。もちろん適宜患者カルテの参照も行います。設置台数はリハビリ室の広さや機器のレイアウト、スタッフや患者の動線を勘案しながら決定します。

 

隔離室

小児科で感染症の患児が来院した場合の為の隔離室を設けている場合、部屋を使用する時だけ持ち込んで使用できる電子カルテ端末(ノートPC)があると便利です。隔離室を使用していない時は別室で補助端末として使用します。

 

カウンセリング室

精神科や心療内科で臨床心理士によるカウンセリングを実施する場合、カウンセリング室を使用する時だけ持ち込める電子カルテ端末(ノートPC)があると便利です。

なお、カウンセリング予約の有無にかかわらずカウンセリング実施日には臨床心理士が終日勤務する場合、患者カルテを参照する為の端末として使用し、それ以外の日は別室で補助端末として使用します。

 

院長室、事務長室

院長室で患者カルテの点検や電子カルテシステムの統計機能を用いた経営分析などを行いたい場合に端末があると便利です。

事務長室についてもほぼ同様に、いながらにして電子カルテシステムの経営データを扱えるのが便利である場合に設置します。

 

カンファレンス室

カンファレンス室で電子カルテ端末を使用するという場合は、敢えて専用の端末を用意しておく必要はありません。診療時間中にはどこかの部屋で使用している端末(ノートPC)を持ち込めば事足ります。

 

その他の部屋

端末の要不要は科目によって、あるいは自らの目指す医療の方向性によってその基準が様々です。例えば「診療所に併設する病後児保育室にも端末を設置したい」と考える小児科医師もいらっしゃいます。これまでの例を参考に、「どこで」「何を」したいのか、そして「電子カルテ端末はそれにどのように寄与するのか」を検討してみましょう。

 

院外持出し端末

「部屋に設置する」という論旨からは外れますが、往診や訪問診療などのように医師が院外で電子カルテを使用する場合には院外運用仕様の端末(ノートPC)を導入します。訪問診療専門の診療所である場合を除き、院外で使用するのは午前診と午後診の間の時間帯や午後が休診の曜日である場合が多いので、通常の外来診療中は院内のいずれかの部屋で補助端末として使用します。

 

その他のポイント

端末増設

こちらでは、端末設置にまつわるその他のポイントをご説明します。

 

段階的な設置(端末増設)

診療所の新規開院では、院内の「どこで」「何を」したいのかについて、電子カルテシステム運用を前提としたマスタープランを可能な限り具体的に作成しましょう。その上で、「初期投資を抑える意味でも開院当初の来院患者数の少ないうちはここまでの機器構成で」→「来患数が増加し経営が軌道に乗ってきたら業務改善(=患者サービスの向上)の為にこの部屋で台数追加とこの部屋に新規設置を」→「ゆくゆくはこのような展開も図りたい」などのように優先順位を決めて端末を段階的に設置(や台数追加)していく増設スケジュールを組んで、常に高い投資対効果が得られるようにしましょう。但し、端末不足が原因で院内の業務フローに著しい支障が生じている箇所があれば、直ちにメーカー担当者から見積を取って端末追加の検討を行う必要があります。解決すべき問題がクリアされるのはもちろんのこと、業務フローが改善し遺失利益を取り戻すことによって短期間で費用をペイできる可能性があります。ちなみに、このように「必要」との判断をトリガーとする増設とは別に、「診療所の決算に向けた節税策として追加端末を導入する」という考え方も併せて持っておくことをおすすめします。優先度の高い順に経営効率の高い増設が行えます。

 

ネットワークの敷設

「初期投資を抑えて段階的に増設していく」のがポイントであると述べましたが、電子カルテシステムを運用していく為の院内ネットワークの敷設は開院前の工事の段階で先々まで見越して可能な限り済ませておくのがポイントです。電子カルテシステムは院内に無線LANのアクセスポイントを設置することでのちの端末増設にも対応できるよう設計されていますが、院内の場所によって、或いは付近で動作する他の機器や設備の状態によって通信が不安定になるリスクが常に存在します。故に、「常に最適・最良の医療を提供する体制を担保する」という意味でも安定的に通信が行われる有線LANによる院内ネットワーク構築が望ましいと言えます。端末の追加購入(増設)は段階的に必要なタイミングで行うのが合理的ですが、LANケーブルの配線工事を端末増設の都度行うのは費用がかさみ得策とは言えません。ネットワーク配線の敷設工事だけは全体構想に沿って最初にまとめて行っておくことをおすすめします。

 

おわりに

おわりに

本記事では、電子カルテは全部屋に端末が必要なのかをご説明しました。結論として、全部屋に電子カルテは必要ありません。

ただし、要不要の判断だけではなく、必要な部屋では更に設置台数まで見極めておく必要があります。院内の「どこで」「何を」するのに「何台」必要かの全体像をあらかじめ決めた上でそれらに優先順位をつけておき、段階的に増設してくのがポイントです。

スタッフや電子カルテメーカーと相談しながら投資対効果の高い導入を検討しましょう。

 

 

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