クリニック開業における施設基準や申請に必要な書類を解説
クリニックを開業するための建物には基準が設定されているため、どこでも開業することができるわけではありません。
また、運営後に行う診療行為の中には、特定の診療報酬として加算されることがあります。
本記事では、クリニック開業における施設基準や、開業の際に必要な書類を解説します。
施設基準とは?
施設基準とは、厚生労働大臣が定めた規定に基づいて制定された医療機関の機能や設備、診療体制、安全面やサービス面等を評価するための基準を指します。
人員の配置や設備などをルール化した施設基準は、診療報酬に含まれるものもあり、届け出を行うことで算定が可能となるものがあります。
クリニックに求められる施設基準
クリニックで届け出を行う施設基準には、下記のものが含まれます。
時間外対応加算
時間外対応加算とは、営業時間外に患者さんへの対応を行うことができる体制が整っている医療機関に対して報酬を加算するものです。
対象となる患者さんは再診料を算定する患者さんで、電話などの問い合わせにより緊急の対応が必要な患者さんを診療することが算定要件です。
在宅療養支援診療所
在宅療養支援診療所とは、高齢者や足が不自由な患者さんなど、医療機関を訪問することができない患者さんを訪問し、在宅療養の支援を行うことで加算される施設基準です。
24時間連絡を受け、診療行為が可能な体制であることが前提の基準で、入院の可否や緊急往診の実績などの要素により点数が決定します。
糖尿病合併症管理料
糖尿病は生活習慣病のひとつで、足潰瘍や足趾・下肢切断既往、糖尿病神経障害といったさまざまな合併症を発症する可能性があります。
施設基準の中には糖尿病の合併症に関する施術を行うことで加算されるものもあり、セルフケアの方法や正しい靴の選択、1回の指導を30分以上行うことで診療報酬に加算することができます。
施設基準の届け出方法
施設基準の届け出は、各地方の厚生局が発行している届け出書類に必要情報を記載し、窓口に提出することで申請することができます。
届け出に関する期限は毎年7月1日現在の状況報告が必要となり、7月31日までに管轄の厚生局に提出する必要があります。
施設基準の申請に必要となる書類はさまざまで、基本的な届け出だけではなく、情報通信機器を用いた診療に係る基準や、外来感染対策向上加算など、さまざまな種類があります。
そのため、加算対象となる医療行為をした際、正しい書類で提出する必要があります。
参考ページ:近畿厚生局ホームページ(https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/shinsei/shido_kansa/shitei_kijun/h30/kihon_r04k.html)
クリニック開業時に必要な書類
これまでは運営後に申請する施設基準についてご説明しましたが、開業前には下記のような書類や資格が必要となります。
防火管理責任者の資格
防火管理責任者とは、消防署が指定する講習会に参加し、確認テストに合格することで取得できる資格です。
医院やクリニックの経営者は、こちらの防火管理責任者の資格が必要です。
開業届
開業届とは、管轄の地域にある税務署に提出する書類で、医院やクリニックだけではなく、個人事業主として事業を開始する際に必要です。
開業届は事業開始後、1ヶ月以内に提出する必要があります。
保健医療機関指定申請
保健医療機関指定申請とは、厚生局に提出する書類のひとつで、こちらの申請を行わなければ保険対象となる診療をすることができません。
診療のなかには診療報酬や施設基準となる医療行為も含まれているため、こちらの申請は必要であると言えます。
申請期間は月1回で、受理されるまで1ヶ月程度の時間が必要となります。
おわりに
本記事では、クリニック開業における施設基準や、申請に必要な書類について解説しました。
施設基準とは、診療報酬のなかに含まれる加算要素を指し、時間外対応や在宅療養支援を行う医療機関が対象です。
クリニック開業のためにはさまざまな書類が必要となるため、可能なものから事前に準備を進めましょう。

株式会社ユヤマ

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