2022.12.20調剤機器

セルフメディケーションは推進されたのか

国民一人ひとりが自分自身の健康に責任を持ち、適切にケアする「セルフメディケーション」。ご周知の通り、セルフメディケーションは自発的な健康管理や疾病予防の取り組み促進、そして医療費の適正化を目的としていますが、実際の現状はどうなのでしょうか。

本記事ではセルフメディケーションの現状を振り返るとともに、今後の推進にあたって薬局が担うべき役割について考えてみたいと思います。

セルフメディケーションを取り巻く現状

OTC市場は成長傾向にあるものの伸び率は小さい

矢野経済研究所が2022年7月に公表したOTC市場に関する調査結果によると、2021年の一般用医薬品と指定医薬部外品を合算した国内OTC市場は、下図の通りメーカー出荷額ベースで前年比0.1％増の8,380億円と推計されています。成長傾向が続いているものの、全体としては低い伸びに留まっているのが現状です。

 

国内OTC市場規模推移と予測

出典：矢野経済研究所　OTC市場に関する調査（2022年）

 

さらに同調査では、2022年においても国内OTC市場の伸び率は前年比0.1％増に留まると予測しています。一方で、コロナ禍のインバウンド需要減少が続いてきたなかでの昨今の行動制限緩和の影響をはじめ、新製品の投入による市場の活性化も注目されており、セルフメディケーション向上にも期待が高まります。

セルフメディケーション推進には生活者の意識と行動変容が不可欠

セルフメディケーションの推進には、国民一人ひとりが医療費削減への貢献意識を持つこと、そして「自分の健康を自ら守る」という意識が醸成されることも不可欠です。コロナ禍を経て個人の健康意識が高まりを見せるなかで、セルフメディケーションの取り組みにとっては追い風とも言えるかもしれません。

また、2017年から開始されたセルフメディケーション税制についても、日本一般用医薬品連合会と日本OTC医薬品協会等の関連団体が実施した生活者調査によると、2022年3月の最新調査では「セルフメディケーション税制の利用意向」が過去最高の20.7％にのぼるなど、徐々に国民の関心が高まっていることがわかります。セルフメディケーションのさらなる推進には、そのメリットをいかに正しく理解してもらうかが重要であると言えそうです。

セルフメディケーション推進のために薬局ができること

◎患者さんが気軽に相談できる環境づくり

患者さんにとって薬局がより身近な存在となるために、まずは気軽に相談しやすい環境をつくることが大切でしょう。特に調剤薬局の場合、「処方箋にもとづいて薬を購入する場所」という認識が一般的であるため、OTC医薬品を購入する目的だけで訪れる患者さんはあまり多くはないかもしれません。

しかしながら患者さんの本音として、OTC医薬品であってもどの薬が自分に合っているのかを専門家に相談できることは安心につながるはずです。薬局が「処方箋の有無に関係なく、いつでも健康について相談できる場所」として患者さんにとっての敷居を下げることができると、セルフメディケーション推進の一助となるのではないでしょうか。

◎OTC医薬品を正しく使うための情報提供

OTC医薬品は処方箋なしで購入可能であるものの、一人ひとりの体質や症状に適しているかを確認したり、他に服用している薬との飲み合わせなどにも留意したりしなくてはなりません。患者さん自身がこれらを適切に判断することは決して容易ではないため、薬剤師は専門家として患者さんに正しい情報提供を行い、サポートをする必要があるでしょう。

◎「かかりつけ薬剤師」としても継続的なサポート

セルフメディケーションを推進するにあたって、もっとも重要なのは「かかりつけ薬剤師」の存在と言えるでしょう。医薬品を購入するときだけでなく、日頃の健康管理や生活指導などを含めて長期的に患者さんに寄り添っていくことが大切です。

過去のコラム記事でもご紹介したように、かかりつけ薬剤師・薬局に対する潜在的ニーズは決して低くないにもかかわらず、多くの患者さんが薬局の持つ機能を十分に活用できていないという現状があります。こうしたニーズを汲み取ることは、地域医療はもちろん、国家的な課題であるセルフメディケーションの推進への貢献にもつながると言えそうです。

薬局の皆様が患者さん一人ひとりへのサポートを行いやすい環境や体制を確立できるように、YUYAMAはこれからも対物業務の自動化・効率化を通じて貢献してまいります。

 

 

 

※この記事は情報提供を目的としており、株式会社ユヤマ・株式会社湯山製作所の企業としての見解を示すものではございません。記事に関するご意見・ご感想はお気軽にお寄せください。

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