【2026年度版】いつ起きてもおかしくない水害。知っておきたい対策を紹介

近年、世界的な気候変動の影響により、日本でも記録的な豪雨が多くの水害を引き起こしています。水害に見舞われた地域では薬局店舗への浸水被害も報告されているため、もしものときに備えて対策を講じておくことが大切です。
本記事では、具体的にどのような水害対策を行う必要があるのか、万が一被害に遭った場合にどのように対処したらよいかをお伝えいたします。
水害に備えて事前に対策しておきたいこと

水害による被害を最小限にとどめるには、日ごろから危機意識を持って事前の対策をとっておくことが重要です。平常時から特に以下のポイントを押さえて備えておきましょう。
施設やリース物件に付保する動産保険の契約内容を確認する
施設やリース物件には水害を含む自然災害などによる損害を補償するため、動産保険が付保されているケースが一般的です。
ただし、補償対象(店舗建物、調剤機器、医薬品在庫など)や支払限度額、免責事項などの詳しい契約内容は保険商品によって異なります。そのため改めて契約書や約款を確認し、どのような浸水状況でどの程度の補償が受けられるのかを把握しておくことが大切です。
有事の指示・連絡系統を整備する
水害は開局時間中に限らず、休日や夜間など曜日・時間帯を問わず発生します。有事には誰が現場の状況を把握し、どのような順番で関係者やメーカーへ指示・連絡するかを緊急連絡網やフローチャートとして文書化し、従業員全員で共有しておきましょう。
また、在宅中や通勤途中に被害に遭った場合も想定し、連絡フローの文書は二部作成して従業員各自が自宅やスマートフォンなどでも保管・確認できるようにしておくのが望ましいと言えます。
土嚢(土のう)や防水シートを準備する
浸水経路となりやすい店舗の出入り口や搬入口に設置できるよう、倉庫などに十分な量の土嚢を準備しておくことをおすすめします。
近年は、水を含ませるだけで膨らむ軽量な吸水性土嚢や、手軽に準備できる水嚢(水のう)、設置が容易な止水板なども普及しています。店舗の構造や人員配置に応じてこれらを効果的に組み合わせ、限られた時間内でも即座に対応できる体制を整えておきましょう。
大雨予報が発表された場合にすぐ対応すべきこと

警報級の豪雨が予想される場合は、なるべく早く以下の対応を済ませておきましょう。
使用機器データのバックアップをとる
水害による物理的な店舗・機器の損傷だけでなく、患者さんの大切な個人情報や処方履歴などのデータが失われる事態も避けなければなりません。万が一の浸水や停電を想定し、大雨の予報が出された時点でレセコンや電子薬歴などの最新バックアップを取得してください。
また、バックアップデータを保存した外付けハードディスクやUSBメモリなどの記録媒体は、本体から取り外し、あらかじめ水害の影響を受けにくい上階など安全な場所へ移しておくことも忘れないようにしましょう。
レセコンサーバーや精密機器を高い場所へ移動する
床置きや低い棚に設置されているレセコンサーバーや通信機器などは、設置高を最低でも床から50cm以上の高い場所へ移しておくことをおすすめします。
大規模な水害であれば、浸水被害がそれ以上になる可能性も否定できません。搬送可能な機器はデスクの上や棚の最上段など、可能な限り高い位置へ避難させておきましょう。
電子機器のコンセントを抜く
電子機器に通電したまま浸水してしまうと、漏電による機器の全損や、感電・火災事故を引き起こすリスクが高まります。大雨の予報が発表され、閉店や避難する際は、分包機やパソコン、水剤分注機などの主要な電子機器の電源を落とし、必ずコンセントプラグをコンセントから抜いておくことを徹底してください。
排水溝をふさぐ
外からの浸水だけでなく、下水道の処理能力を超えた雨水による汚水の逆流(内水氾濫)にも注意が必要です。汚水の逆流は店舗内の衛生環境を悪化させ、復旧作業や消毒作業を困難にします。
水害の危険が迫った際は、トイレや給湯室の流し台、浴室などの排水溝に、水を入れたビニール袋(水嚢)を詰めて重しをし、逆流をブロックする対策を行いましょう。
万が一、被害に遭ってしまったときは…
どんなに万全な対策を講じていても、想定していたレベルを上回る甚大な被害に見舞われることもあるでしょう。
万が一、被害に遭ってしまった場合、まずは従業員の安全確保を最優先にした上で、被害状況を写真に残しておくことが大切です。浸水の高さが判断できる記録があると、保険や公的支援の申請時に役立つ可能性があるためです。
また、分包機をはじめとする精密な調剤機器が水没・浸水した場合、慌てて電源を投入することは危険です。内部の電子基板やモーターに水分や泥が残った状態で通電させると、ショートを起こして修理不能な壊滅的故障を引き起こすだけでなく、発火や感電事故につながる恐れがあります。
速やかに電源スイッチを切り、コンセントを抜くといった適切な初期対応を行った上で、ご自身で分解や洗浄・乾燥を行おうとせず、すぐに機器メーカーのサポート窓口へ連絡し、点検整備を依頼してください。
実際に発生した豪雨災害においても、浸水した分包機に対し、適切な電源処置を実施した後、基板の洗浄・乾燥や点検整備を行い、再び使用できる状態まで復旧した事例もありました。
多くの調剤機器メーカーでは、災害発生時の緊急点検対応や代替機の貸出手配などのサポート体制を整えています。被害に直面した際は自己判断で機器を操作せず、専門的なノウハウを持ったメーカーサポートを活用することが、早期の業務再開と被害コストの最小化につながります。
(注:本記事は薬局を想定して記述していますが、病院でも入院患者は除いた機器関係での対応内容は同様です)
☆記事についてのご意見・ご感想はこちらからお願いします☆
※この記事は情報提供を目的としており、株式会社ユヤマ・株式会社湯山製作所の企業としての見解を示すものではございません。記事に関するご意見・ご感想はお気軽にお寄せください。
株式会社ユヤマ
最新記事 by 株式会社ユヤマ (全て見る)
- 【2026年度版】いつ起きてもおかしくない水害。知っておきたい対策を紹介 - 2026年9月15日
- 電子カルテの音声入力とは?基本機能とSOAP作成の自動化、導入のメリットと注意点、選び方を解説 - 2026年9月9日
- 皮膚科クリニック向け電子カルテの選び方|画像管理と複雑な処方入力を効率化 - 2026年8月26日






現状とのギャップから考える「患者さんが薬局に求めていること」
いつ起きてもおかしくない水害。知っておきたい対策を紹介
令和8年度調剤報酬改定から読み解く、薬局経営の生存戦略~直面している構造転換という荒波~
イギリスの薬局事情(前編)
SDM (Shared Decision Making)における薬剤師の役割と可能性とは
AI時代に求められる薬剤師とは?変わる仕事と変わらない価値