【2026年改定】電子的診療情報連携体制整備加算とは?点数・施設基準から電子カルテ必須要件まで徹底解説

令和8年度(2026年度)診療報酬改定では、「電子的診療情報連携体制整備加算」が新たに創設されました。「医療DX推進体制整備加算」および「医療情報取得加算」が廃止されて再編・新設された加算であり、国が推進する医療DX方針を強力に後押しするものです。
本記事では、クリニックを経営する先生方やこれから開業する先生方に向けて、電子的診療情報連携体制整備加算が新設された背景と、詳細な算定点数や施設基準、そして今後のクリニック経営に不可欠となる電子カルテの必須要件や選び方のコツについて解説します。
(更新:2026年4月7日 令和8年3月23日付および4月1日付の疑義解釈資料(その1・その2)について追記)
(更新:2026年4月27日 令和8年4月20日付および4月21日付の疑義解釈資料(その3・その4)について追記)
令和8年度診療報酬改定で新設された「電子的診療情報連携体制整備加算」とは?

これまで、クリニックにおける医療DXの評価軸として機能してきたのは、「医療情報取得加算」および「医療DX推進体制整備加算」でした。これらの加算は、オンライン資格確認システムの導入や、マイナ保険証を利用できる環境の整備といった、主にインフラ基盤の構築を評価する目的で運用されてきました。令和8年度診療報酬改定では、これらの加算が廃止され、「電子的診療情報連携体制整備加算」へと統合・再編されています。※1
なお、既存の加算から新たな加算へは自動的に移行されません。「電子的診療情報連携体制整備加算」を算定する場合は、改めて届出を行う必要がある点に注意が必要です。※7

引用元:厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定説明資料等について. 令和8年度診療報酬改定7.外来医療の機能分化・強化等 ※1
この再編の背景には、国の政策目標がシステムインフラを整備するフェーズから、構築されたインフラの利活用によって医療情報の連携と質の高い医療の提供を実現するフェーズへと移行しつつあることが伺えます。マイナ保険証の利用促進に加え、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスを実際に日々の診療で活用し、医療情報を共有・活用する仕組みを有する医療機関をより高く評価する体系へと進化しています。
この情報連携を推進する動きは、医科領域に留まりません。歯科や調剤を含めた医療業界全体の最適化を見据えて設計されており、歯科では電子的歯科診療情報連携体制整備加算、調剤では電子的調剤情報連携体制整備加算が新設されました。※1
医科、歯科、調剤薬局が三位一体となって電子的な連携基盤を構築することで、患者がどの医療機関や薬局を受診しても、一貫した正確な医療情報に基づいた安全な医療が提供される体制が実現します。
医療DX推進と情報共有がもたらす質の高い医療の提供
これらの加算新設の根底には、全国医療情報プラットフォームを通じた「3文書6情報」の安全かつ正確な共有があります。3文書とは診療情報提供書、退院時サマリー、健診結果報告書を指し、6情報とは傷病名、アレルギー、感染症、薬剤禁忌、検査、処方を指します。これらのデータが医療機関間でシームレスに共有されることで、以下のメリットがあります。
- 初診の患者であっても、過去の既往歴や他院での投薬状況、アレルギーの有無などを診察室で即座に把握できる
- 不要な重複検査を削減できる
- 複数の医療機関を受診している患者に対する併用禁忌や重複投与などのチェック機能が実現する
- 災害発生時などの緊急事態においても、クラウド基盤上の医療情報を参照することで、お薬手帳を持たない避難者に対しても迅速かつ適切な医療提供が可能になる
関連記事:電子カルテにおける3文書6情報とはどのようなものなのか?
電子的診療情報連携体制整備加算の算定点数
電子的診療情報連携体制整備加算の評価体系は、クリニックがどの程度深く医療DXのシステムを導入し、活用しているかに応じて区分されています。外来(初診時、再診時)および入院時の具体的な算定点数について解説します。
初診時の算定点数(加算1~3)と再診時の算定点数
外来の初診時における評価は、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスの導入状況に応じて、加算1~3に分類されています。いずれの区分においても、算定頻度は「月に1回」に限られます。※1、2
| 初診時の区分 | 算定点数(月1回) | 主な施設基準・要件の要約 |
|---|---|---|
| 加算1 | 15点 | 全区分共通の基本要件を満たした上で、 ・電子処方箋の発行体制 ・一定の条件を満たす電子カルテの導入 ・電子カルテ情報共有サービスの活用体制 をすべて備えていること |
| 加算2 | 9点 | 全区分共通の基本要件を満たした上で、 ・電子処方箋の発行体制 ・一定の条件を満たす電子カルテの導入 ・電子カルテ情報共有サービスの活用体制 のいずれかを備えていること |
| 加算3 | 4点 | 全区分共通の基本要件のみを満たしていること(ベース評価) |
| 再診時 | 2点 | 施設基準について地方厚生局長等に届け出た保険医療機関を受診した患者に対し、再診を行った場合に算定できる |
この段階的な点数設定は、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスをすべてのクリニックが直ちに導入するのは現実的ではないことを踏まえつつも、普及を目指す国の意図を反映した明確なインセンティブ構造となっています。現状のシステム構成では加算1や2を取得することが難しいクリニックにおいても、まずは基本要件を確実におさえてベース評価である加算3を取得し、将来的なシステム更新のタイミングで上位加算を目指すという経営戦略を立てることが可能です。
また、従来の医療情報取得加算では再診時の算定頻度が「3か月に1回(1点)」に制限されていましたが、電子的診療情報連携体制整備加算では評価が見直され、「月に1回(2点)」の算定が可能となりました。※1、2
この変更により、継続的に通院する慢性疾患の患者を多く抱えるクリニックでは毎月安定した算定が可能となり、収益の向上につながります。毎回の受診時に電子資格確認を通じて最新の薬剤情報等を取得し、それに基づいた丁寧な医学管理を行うことが、正当に評価される仕組みへと改善されたといえます。
ただし、後述するように、電子的診療情報連携体制整備加算は初診時・再診時ともに明細書発行体制等加算との併算定はできないことに注意が必要です。※2
同月内の算定ルールについて(疑義解釈資料より)
電子的診療情報連携体制整備加算は基本的に、ある疾患の初診時に加算1~3(15点、9点、4点)を算定し、その翌月に同じ疾患について再診を行った場合に、再診時の2点を算定することができます。同月内の算定については、令和8年4月21日付の疑義解釈資料(その4)において、以下の2点が示されました。※10
初診と同じ月に再診を行った場合
電子的診療情報連携体制整備加算を初診時に算定し、同月内に再診を行った場合、再診料での電子的診療情報連携体制整備加算は算定できません。※10
再診時に電子的診療情報連携体制整備加算を算定した月に、他の疾患で初診を行った場合
ある疾患の再診時に電子的診療情報連携体制整備加算を算定し、同月内に他の疾患で初診を行った場合、初診料での電子的診療情報連携体制整備加算は算定できません。※10
つまり、初診・再診を問わず、一人の患者に対して「月1回」算定できるということです。同月内の再診はもちろん、他の疾患で同月内に受診した場合は、過剰算定にならないよう注意が必要です。
入院時の算定点数と診療録管理体制加算からの移行
有床のクリニックや病院に向けては、入院時にも新たな評価区分が設けられており、入院初日に1回算定できる仕組みとなっています。※1、2
| 入院時の区分 | 算定点数(入院初日) | サイバーセキュリティ要件の概要 |
|---|---|---|
| 加算1 | 160点 | 外来の基本要件を満たした上で、 ・「安全管理ガイドライン」への準拠 ・専任の医療情報システム安全管理責任者の配置(年1回程度、全職員を対象とした情報セキュリティ研修を定期的に実施) ・医療情報システムのバックアップ(複数方式、一部はオフライン環境で保管) ・BCP(業務継続計画)の策定と定期的な訓練・演習 を整備していること |
| 加算2 | 80点 | 外来の基本要件を満たした上で、 ・「安全管理ガイドライン」への準拠 ・専任の医療情報システム安全管理責任者の配置(年1回程度、全職員を対象とした情報セキュリティ研修を定期的に実施) を整備していること |
従来は「診療録管理体制加算」の要件として規定されていた厳格なサイバーセキュリティ対策要件が、本加算へと集約された形です。入院医療を提供する医療機関には、ランサムウェアなどの脅威から診療データを守り抜くための高度なセキュリティ対策が強く求められることになります。
関連記事:電子カルテのセキュリティ対策:サイバー攻撃から患者情報を守るには
医療情報システムのバックアップに関する補足
入院時における電子的診療情報連携体制整備加算の、加算1の要件である「医療情報システムのバックアップ」については、令和8年4月1日付の疑義解釈資料によって補足されています。まず、非常時においても継続して診療を行うための最低限必要な医療情報システムとして、以下の3つが例示されています。※8
- 電子カルテシステム
- オーダーリングシステム
- レセプト電算処理システム
これらの医療情報システムのバックアップ方法については、複数方式を組み合わせ、一部はオフライン環境で保管することが推奨されています。クラウドサービスを利用したバックアップの考え方や、バックアップの週次・月次の世代管理等、詳しくは厚生労働省の疑義解釈資料を参照してください。※8
電子的診療情報連携体制整備加算を算定するための施設基準
本加算を算定するための基本要件は多岐にわたります。具体的な施設基準について解説します。

引用元:厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定説明資料等について. 令和8年度診療報酬改定7.外来医療の機能分化・強化等 ※1
マイナ保険証の利用率要件(30%以上)とオンライン資格確認体制
本加算を算定するための基本要件には、(1)~(7)の7項目があります。要件(3)の「オンライン資格確認を行う体制を有していること」については、多くの医療機関ですでに医療DX体制の前提となっています。令和5年(2023年)4月1日から原則として導入が義務づけられ、令和6年(2024年)12月末時点では約97%と、ほぼすべての医療機関・薬局において導入されています。※1、3
一方、基本要件のなかでも最も高いハードルといえるのが、要件(5)の「マイナ保険証利用率が30%以上であること」です。体制を整備するだけでなく、掲示や案内、声かけなどクリニック側から積極的にアプローチし、実際に患者にマイナ保険証を利用してもらわなければ、この基準を満たすことは困難です。※1
例えば、クリニックの受付では「保険証をご提示ください」と案内するだけでなく、「マイナンバーカードはお持ちですか? こちらのリーダーで受付をお願いします」という具体的なアクションを促すオペレーションへの切り替えが推奨されます。また、マイナ保険証の利用によって患者の過去の投薬歴やアレルギー情報を正確に把握できること、結果として医療事故を防ぎ、より安全で質の高い医療を提供できることをスタッフ全員が理解し、利用促進の目的を共有することも大切です。患者側に対しても、不安を払拭するような説明とともに、マイナ保険証の利用はより安全な医療の提供につながるというメリットを伝えます。
実際に、要件(6)には「マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じる体制を有していること」があります。※1
取得したデータを形式的にシステムに取り込むだけでなく、日々の診療や患者への提案に積極的に活用する姿勢が求められます。
明細書の無償交付、院内掲示およびWebサイトでの情報公開
患者に対する情報公開と透明性の確保も、本加算の重要な要素です。要件(2)の明細書の無償交付体制や、要件(7)の院内掲示およびクリニックのWebサイトでの公開がこれに当たります。
電子的診療情報連携体制整備加算の要件に明細書の無償交付が内包されたことで、従来の「明細書発行体制等加算(1点)」との併算定ができなくなりました。万が一、レセプト上で両方の加算を同時に算定してしまうと返戻の対象となるため、注意が必要です。※2
電子処方箋システムの発行・登録体制の整備
初診時の加算1または加算2を取得するための追加要件としては、(8)~(10)の3項目があります。加算1は要件(1)~(10)のすべてを、加算2は(1)~(7)の基本要件に加え、(8)~(10)のいずれかを満たす必要があります。※1
そのうち、要件(8)の「電子処方箋を発行する体制」または「調剤した薬剤に関する情報を電子処方箋システムに登録する体制(院内処方の場合など)」を満たすためには、クリニックにおいて電子処方箋を導入する必要があります。その際、利用中の電子カルテやレセコンの大規模な改修作業が必要となるケースが大半です。電子処方箋の導入にあたっては、早期にベンダーと協議を行い、自院のシステムで対応可能なのか、どのようなスケジュールになるのか、あるいはリプレイスが必要なのかを見極める必要があります。
関連記事:電子処方箋のメリット・デメリットとは?開業医が知っておくべき導入の具体的な手順や活用できる補助金について解説
なお、令和8年4月21日付の疑義解釈資料(その4)では、院外処方・院内処方それぞれの場合の具体的な体制について示されました。※10
院外処方の場合
電子処方箋または引換番号が印字された紙の処方箋を発行し、処方情報を登録していること
院内処方の場合
医療機関内で調剤した薬剤の情報を電子処方箋管理サービスに登録していること
【重要】制度に対応する「電子カルテ」の必須要件

本加算の要件(9)には、一定の条件を満たす電子カルテを導入していることが挙げられています。厚生労働省の資料には、一定の条件として「アからウの全て又はエを満たす」と記述されています。ア~エの要件とは以下の通りです。※1
ア 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠した体制であること。
イ 電子処方箋管理サービスとの接続インターフェースを有していること。
ウ 電子カルテ情報共有サービスとの接続インターフェースを有していること。
エ 厚生労働省が認証する電子カルテ製品であること。
それぞれについて整理します。
「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」準拠
厚生労働省が定める「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」は、医療情報システムの安全管理や、e-文書法などの法令等に適切に対応するための技術的および運用管理上の対策を示したものです。患者の機微な個人情報を保護するための技術的安全対策として、アクセス権限の厳格な管理や通信の暗号化、監査ログの取得などが細かく規定されているほか、運用上のルールなども定められており、医療業界におけるサイバーセキュリティ対策の包括的な基準といえます。※4
オンプレミス型・クラウド型いずれの場合も、導入を検討する電子カルテベンダーがこのガイドラインの最新版にどのように対応し、どのようなセキュリティ水準を提供しているかを導入前に確認することが重要です。要件を満たさないシステムを使用し続けることは、加算が算定できないだけでなく、重大なコンプライアンス違反や情報漏洩リスクにつながります。
関連記事:電子カルテのガイドラインとは?~3省3ガイドラインから3省2ガイドラインへ~
電子処方箋および電子カルテ情報共有サービスとの接続インターフェース
加算1(15点)を取得するためには、国が提供する医療DXサービス群とのシームレスな連携が求められます。要件(9)のイには電子処方箋管理サービス、同じくウには電子カルテ情報共有サービスとの接続インターフェースを有していることが明記されており、それぞれ要件(8)と要件(10)にも関連しています。※1
この連携において鍵となるのが、国際標準規格である「HL7 FHIR」に準拠した電子カルテです。ベンダー独自の閉鎖的な仕様ではなく、HL7 FHIRという標準規格を用いることで、異なるベンダー間や医療機関間でのデータ交換がスムーズに実現します。これから電子カルテの導入やリプレイスを検討するク
リニックにおいては、国際標準規格への準拠や、国が提供する医療DXサービス群との連携実績などを選定のポイントにすることをおすすめします。
なお、要件(10)は細分化されており、電子カルテ情報共有サービスへの接続だけでなく、地域の医療機関同士をつなぐネットワークの活用も評価の対象となります。例えば、地域の複数の医療機関間で検査結果や画像情報等を含む診療情報を共有・閲覧できる「地域医療情報ネットワーク」に参加し、実際に検査結果や画像情報を他院と共有している実績があれば、同要件を満たすものとみなされます。※1、8
関連記事:電子カルテ情報共有サービス完全ガイド:義務化の真相・補助金活用・経過措置までを網羅的に解説
さらに、令和8年4月21日付の疑義解釈資料(その4)では、この「電子処方箋および電子カルテ情報共有サービスとの接続インターフェース」という施設基準について詳細が示されました。これらの施設基準を満たすためには、単に接続インターフェースを有したシステムを導入するだけではなく、医療機関等向け総合ポータルサイトを通して運用開始日を登録し、厚生労働省のWebサイト上で対応施設として公表されている必要があります。ただし、運用開始日の登録については、令和8年4月中旬時点では準備中となっています。※10
厚生労働省が認証する電子カルテ製品の導入
要件(9)のエ「厚生労働省が認証する電子カルテ製品であること」という規定が示すのは、国が開発と普及を推進している「標準型電子カルテ」と、それに連動した標準仕様に準拠した民間の電子カルテに対する認証制度の動きです。
国が開発する標準型電子カルテは、どの医療機関にも共通する必要最小限の基本機能と、国が提供する医療DXサービス群との連携機能を搭載した、シンプルな構成になる見込みです。一方、民間の電子カルテメーカー側も厚生労働省の認証を目指し、標準仕様に準拠した電子カルテシステムの開発や改修を進めています。
開業と同時に電子カルテを導入するクリニックやリプレイスを検討しているクリニックにおいては、どの電子カルテを選べばよいのか悩むかもしれません。必ずしも標準型電子カルテを導入する必要はなく、標準仕様に準拠し、厚生労働省の認証を受けたメーカー製の電子カルテを導入することもできます(ただし、標準仕様の詳細については2026年3月時点で協議中であり、標準仕様に準拠したメーカー製の電子カルテはまだ存在しません)。また、国はクラウド・ネイティブ化を進めていますが、個々の医療機関の判断により、民間の電子カルテメーカーが提供するオンプレミス型電子カルテを使い続けることも可能です。
いずれの場合も、厚生労働省の認証を受けた電子カルテかどうかは、電子的診療情報連携体制整備加算を取得するうえで重要な選定ポイントになるといえます。
関連記事:標準型電子カルテとは?現状と今後の展望について徹底解説
加算の算定に向けた実務上のポイントと注意点
本加算を算定するためには、施設基準について管轄の地方厚生(支)局に届け出る必要があります。届出について、実務上のポイントと注意点を解説します。
算定に向けた実務チェックリスト

本加算の要件は多岐にわたるため、算定漏れや施設基準の要件未達がないよう、計画的に準備を進めることが大切です。
| 確認項目 | 具体的な対応内容とポイント |
|---|---|
| 電子カルテの要件確認およびベンダーとの協議・改修確認 | 電子カルテベンダーに対し、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」への準拠や、電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスとの連携実績、接続対応のスケジュールおよび改修費用について確認しましょう。医療DXに関するシステム改修は、全国の医療機関が一斉にベンダーへ依頼するため、対応に長期間を要する可能性があります。早めの行動が推奨されます。 |
| マイナ保険証利用率の現状把握 | マイナ保険証の利用率は、支払基金からのメール通知または医療機関等向け総合ポータルサイトのマイページから確認できます。基準である30%に満たない場合は、到達のための施策を検討しましょう。 |
| 患者向け広報の準備 | 医療DX推進の体制や明細書の無償交付に関する文章を作成し、クリニックのWebサイトを更新します。待合室に掲示するポスターなどの掲示物も作成しましょう。 |
| 運用マニュアルの策定 | マイナ保険証による本人確認や、取得した情報を診察室でどのように活用するかの院内ワークフローを構築し、マニュアルを策定します。 |
| 施設基準の届出 | 管轄の地方厚生(支)局に対し、期日までに施設基準の届出書を提出します。既存の加算から新たな加算へは自動的に移行されないため、「電子的診療情報連携体制整備加算」を算定する場合は、改めて届出を行う必要があります。※7 |
| レセコンの算定排他設定 | 電子的診療情報連携体制整備加算は明細書発行体制等加算との併算定ができません。誤請求を防ぐため、電子的診療情報連携体制整備加算の算定開始と同時に、明細書発行体制等加算が自動算定されないよう設定を行いましょう。 |
保険医療機関等電子申請・届出等システムによるオンライン申請
施設基準を満たす体制が整った後は、管轄の厚生(支)局へ届出を行う必要があります。厚生労働省は、各種施設基準の届出をWeb上で完結できる「保険医療機関等電子申請・届出等システム」を運用しています。手続きの手順やオンライン申請の方法については、厚生労働省が解説動画を公開しています。※5
保険医療機関等電子申請・届出等システムを利用するためには、オンライン請求ネットワークへ接続された端末と、専用の認証情報(ID・パスワード等)が必要です。ログイン後、専用画面から該当する届出名称を検索して選択し、画面の指示に従って必要事項の入力や添付書類のアップロードを行います。オンライン申請なら、郵送や持参の手間なく申請を完了させることができます。※5
令和8年6月1日から算定を行う場合は、5月7日から6月1日まで(必着)に届け出る必要があります。締切日直前には手続きが集中することも予想されるため、できる限り早めに提出しましょう。それ以降は、各月の末日までに届出が受理された場合、翌月1日から算定できます(月の最初の開庁日に届出が受理された場合は当該月の1日から算定可能)。届出期日から逆算し、計画的に準備を進めることが成功の鍵です。※6
なお、令和8年5月31日において「医療DX推進体制整備加算」および「診療録管理体制加算」の施設基準をすでに届け出ている保険医療機関が、同年6月1日以降に「電子的診療情報連携体制整備加算」を算定する場合は、改めて届け出なければなりません。※7
【重要】令和8年6月から「電子的診療情報連携体制整備加算」を算定するための注意点(疑義解釈資料より)
令和8年4月20日付の疑義解釈資料(その3)では、新設・再編されたさまざまな加算について、令和8年度診療報酬改定が施行される6月から算定するためのスケジュールが具体的に示されました。※9
・令和8年6月診療分の施設基準の届出期限は令和8年5月7日から6月1日まで
・ただし、5月下旬以降は窓口の混雑が予想されるため、可能な限り「令和8年5月18日まで」の届出を推奨
・電子申請による受付開始は令和8年5月25日からである点に注意
届出の前に、必要な施設基準を満たしているか具体的に確認する必要があります。例えば、「マイナ保険証利用率30%以上」という基準は、加算を算定する月の3・4・5か月前のいずれかのレセプト件数がベースとなります。したがって、令和8年6月から算定したい場合は、令和8年1月、2月、3月のマイナ保険証利用率を見て、いずれかが30%を超えていることを確認します。
また、疑義解釈資料(その4)で示されたように、「電子処方箋管理サービス」や「電子カルテ情報共有サービス」については単に導入するだけではなく、運用開始日を医療機関等向け総合ポータルサイトへの入力・公表が求められます。※10
その他の施設基準についても、要件を満たしているかをひとつずつ確認しながら届出の準備を進めましょう。
制度対応に不可欠な「電子カルテ」選びとシステム見直しのコツ
今回の診療報酬改定や電子的診療情報連携体制整備加算の創設からもわかるように、クリニックにおける電子カルテは、もはや「クリニック経営の基盤システム」へと進化しています。
電子カルテを導入またはリプレイスする際は、複雑な施設基準やインターフェース連携に対応できるベンダーと二人三脚で進めることが重要です。ベンダーの選定で特に注視したいポイントを3つ挙げます。
| ポイント | 詳細 |
|---|---|
| 高度な開発力と法制度への追従性 | 診療報酬改定や新たなDX施策が発表されるたびに、迅速にソフトウェアを改修できる十分な開発体制を持っているか。 |
| 堅牢なセキュリティとバックアップ体制 | 厚生労働省の安全管理ガイドラインに準拠しているか。 ランサムウェアなどの脅威からクリニックのデータを守るための、高度なセキュリティ機能とクラウドバックアップなどの仕組みを有しているか。 |
| クリニックに寄り添うサポート体制 | 現場のスタッフに対する導入前の教育体制は充実しているか。 稼働後のトラブルシューティングやアフターサービス体制は充実しているか。 法改正や診療報酬改定についての情報提供に加え、クリニックに寄り添い、課題を解決する提案力や手厚いサポート体制はあるか。 |
特に、電子処方箋の発行や電子カルテ情報共有サービスへの接続は、クリニック側が独自にシステムを構築できるものではありません。国際標準規格であるHL7 FHIRなどのインターフェースに対応しているかどうかも重要です。ベンダーの開発力不足や対応の遅れによって加算を取得する機会を逃せば、結果として大きな経営的損失を生むことになります。電子カルテ選定の際は、ベンダーの開発体制や対応状況を確認し、サポート体制も含めて慎重に選定することをおすすめします。
ユヤマの電子カルテのオンラインデモ

クリニック経営の効率化や課題解決には、電子カルテをはじめとするITツールの活用が有力な手段となります。ツールの選定においては、「自院が求める機能が搭載されているか」「誰もが使える操作性か」「いざというとき頼れるサポート体制か」などを確認するため、デモンストレーションの実施をおすすめします。
当社の無床診療所様向け電子カルテシステム「BrainBox」シリーズは、開業準備や日々の診療で多忙な先生方にも気軽に体験していただけるよう、オンラインデモを随時実施しています。

時間や場所の制約なく電子カルテを体験できる
当社のオンラインデモは、先生のご都合の良い時間帯に合わせて、30分から1時間程度で効率よく実施できます。PCまたはタブレットとインターネット環境があれば、どこからでも接続可能です。体験会のようにご足労いただく必要はなく、休憩時間や診療終了後などのスキマ時間も活用いただけます。
丁寧なヒアリングと具体的な運用イメージのご提案
オンラインデモでは、製品の特徴や導入事例、実際の使い方を丁寧にご紹介します。気になることがあれば気軽にご質問ください。また、当社の営業担当者が、現在抱えている経営課題(事務負担の軽減、集患対策など)や目指しておられる診療スタイルなど、ご要望を丁寧にヒアリングします。その上で、画一的な説明ではなく、貴院に最適な「BrainBox」の活用方法と具体的な運用イメージをご提案します。
早めの体制整備と信頼できる電子カルテベンダー選びが重要

本記事では、令和8年度診療報酬改定で新設された「電子的診療情報連携体制整備加算」について、従来の加算から再編・新設された背景、算定点数と施設基準、そして電子カルテに求められる要件について解説しました。
本加算はクリニックの収益基盤を支える重要な柱となり得ますが、その要件を満たすためには厳格な施設基準や国が提供する医療DXサービス群との連携、サイバーセキュリティ対策の構築などさまざまな課題が存在します。これらの課題を乗り越え、より安全で質の高い医療を提供し続けるためには、制度の変化にも柔軟かつ迅速に適応できる、拡張性の高い電子カルテが必要不可欠です。早めの情報収集と計画的な体制整備、そして信頼できる電子カルテベンダーと二人三脚で取り組むことこそが、クリニックの安定経営と地域医療へのさらなる貢献を実現するといえます。
参考資料
※1 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定説明資料等について. 令和8年度診療報酬改定7.外来医療の機能分化・強化等.
※2 厚生労働省. 中央社会保険医療協議会 総会(第647回) 議事次第. (会議後修正)総-2 別紙1-1 医科診療報酬点数表.
※3 厚生労働省. オンライン資格確認 QA集.
※4 厚生労働省. 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版 概説編.
※5 YouTube. 厚生労働省. 保険医療機関等電子申請・届出等システムについて.
※6 厚生労働省保険局医療課. 令和8年度診療報酬改定について【全体概要版】(令和8年3月10日版)
※7 厚生労働省. 疑義解釈資料の送付について(その1)(令和8年3月23日保険局医療課事務連絡)
※8 厚生労働省. 疑義解釈資料の送付について(その2)(令和8年4月1日保険局医療課事務連絡)
※9 厚生労働省. 疑義解釈資料の送付について(その3)(令和8年4月20日保険局医療課事務連絡)
※10 厚生労働省. 疑義解釈資料の送付について(その4)(令和8年4月21日保険局医療課事務連絡)
株式会社ユヤマ
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