カルテの書き方やその目的についてご紹介!
カルテはドイツで生まれた「Karte」の言葉からきています。
診療記録のカードという意味をもち、日本では診療録という表記がなされています。
今回は、そんなカルテを書く目的についてご紹介します。
カルテを書く目的とは?
カルテを書く目的として3つに分けることができます。
1つ目は、「法律上の義務」です。
医師法第24条1項に「医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。」と定めており、カルテの作成を義務づけています。
2つ目は、「実臨床で必要になるため」です。
現在に至るまでの患者の状態とそれに対して都度提供されてきた医療行為、及びその根拠たる医師の分析や考察の経緯が時系列で記録されているので、判断や決定を行う上で非常に大きな役割を担う「記録」だからです。
3つ目は、「保険請求の根拠になるため」「医学教育の資料となるため」です。
カルテは保険請求時の根拠にもなり、臨床参加型実習で用いる際の資料としても活躍します。
カルテに最低限記録する内容
カルテには、最低でも以下4つの内容を記録する必要があります。
1つ目が「診療者の氏名・性別・年齢・住所」
2つ目が「病名や主な症状」
3つ目が「治療方法(処方や処置)」
4つ目が「診療の年月日」
の4項目になります。
一般的なカルテの記録内容は?
一般的なカルテの記録内容としては上記4項目に加えて、より詳細な内容を記録していることがほとんどです。
これは患者さんの状態を常に把握し、計画的に治療を進めていくために定められている重要な内容になります。
「患者さんの基本情報・主な症状・現病歴(現症)・既往歴・家族歴・社会歴・嗜好・アレルギー・現症や身体所見・検査・入院後経過・治療方針」が主な記録項目になります。
問題指向型医療記録「POMR」の書き方
チーム医療の重要性が叫ばれている昨今で、カルテは「記録」機能の重要な役割を担っています。
「記録」としてのカルテの有用性を最大限に引き出す為の書き方・考え方の代表例のひとつとして問題指向型医療記録「POMR(Problem Oriented Medical Record)」があります。
このPOMRは入院後治療や看護の計画を立てるうえで有効的と言え、採用している病院が増えています。
この記録方法では最初に問題となる点をいくつか挙げた後、各問題を下記の4つの項目に分類してカルテを書いていきます。
S(Subject):主観的なデータ。
患者さんの訴えや病歴などです。
O(Object):客観的なデータ。
診察や検査の所見などです。
A(Assessment):前2つの情報に対する評価です。
P(Plan):前3つを元にして作られた治療方針です。
の4つの項目になります。
この4つの頭文字を取り「SOAP(エス・オー・エー・ピー)」という風に呼ばれることがあります。SOAPでは問題点ごとに収集情報・その判断をはっきりと区別しなければなりません。さらに客観的に得た情報・聴取情報を分けた後、問題点を抽出し、それぞれの問題に関して評価・対処を記録していく必要があるのです。
このSOAPを用いることで、患者さんの抱える悩みや問題点、治療や援助を進めていく過程が明確になります。
それによって医療や介護の現場で、チーム全体での情報共有がスムーズになるメリットがあります。
おわりに
今回は、カルテの書き方についてご紹介しました。
手書きカルテの一筆一筆が、電子カルテ入力操作のひとつひとつが、日本の医療を支えており、日本の高度で高品質な医療提供体制・保険医療制度は全ての医療現場で日々新たに書き綴られているカルテによって成り立っていると言っても過言ではありません。

株式会社ユヤマ

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