訪問診療サービスを提供するクリニックを開業する際のポイント
一般的には、患者さんがクリニックなどの医療機関を訪問して診療を受けます。
しかし、高齢者や足の不自由な方など、クリニックを訪問できない方も多くいらっしゃいます。
そのため、近年のクリニックでは訪問診療サービスを提供することが多くなりました。
本記事では、訪問診療サービスを提供するクリニックを開業する際のポイントを解説します。
訪問診療のメリット
訪問診療には、下記のようにさまざまなメリットがあります。
通院の負担軽減
先述の通り、近年の日本にはクリニックに通えない方が多くいらっしゃるものです。
年々要介護者が増加していることから家族の負担が増えており、ホームヘルパーなど在宅の医療に関する需要が高まっています。
クリニックにおいても訪問診療サービスを実施することで、患者さんの通院の負担を軽減できることから、高い満足度を得られます。
感染症のリスクを低減できる
街中では流行病や事故など、身体に関するさまざまなリスクが存在します。
身体が弱いお子様や高齢の方はリスクに巻き込まれる可能性が高く、クリニックを訪問することに不安を感じる方も多いものです。
医師が自宅を訪問してくれることでさまざまなリスクを低減させ、安心して診療を受けられる点はメリットと言えます。
役割を分担することで業務に集中できる
医師は事務員やクラークの力を借りていても、多くの作業を抱えているものです。
そのため、複数人の医師が在籍しているクリニックにおいては、誰がどの業務を行うのかを明確にすることが重要です。
院内と院外で診療するように役割を分担することで、各員が業務に集中することができ、業務効率を改善することができます。
訪問診療を行う際に検討するポイント
こちらでは、訪問診療を行う際に検討するポイントをご紹介します。
訪問診療のみ・院内診療も含めるのかを決める
訪問診療のみを実施する医療機関には、下記のような条件が求められます。
- 無床病棟である
- 訪問診療を実施する地域を設定し、その範囲の患者さんに周知する
- 訪問診療が求められた場合、医学的に正当な理由がない限り断らない
これらの条件により、医師は自分のクリニックを開業する前に訪問診療のみを行うのか、院内診療も含めるのかを決めましょう。
営業時間を決める
訪問診療はその便利さから、24時間365日対応してくれると考えている患者さんがいらっしゃいます。
必ずしも24時間365日対応する必要はありませんが、その場合は在宅療養支援診療所の要件を満たすことができなくなります。
在宅療養支援診療所の要件を満たすことで、診療報酬の評価が向上するため、収益面に差が現れます。
バックオフィスを充実させる
訪問診療を行うためには、クラウド型の電子カルテやレセコンなどを充実させる必要があります。
また、遠隔操作やデータの確認ができるように、バックオフィスを整えておかなければなりません。
患者さんの自宅で診療するためには、さまざまな機器や設備が必要であるため、初期費用を求められることは理解しておきましょう。
訪問診療の課題
先述の通り、訪問診療を行うためには営業時間やバックオフィスの設備の充実さなど、さまざまなポイントを検討する必要があります。
深夜や早朝といった時間帯の急患に対応するためには、医師ひとりでは難しいことでしょう。
しかし、24時間365日に対応しなかった場合、在宅療養支援診療所の要件を満たせていないことから、診療報酬が下がります。
そのため、訪問診療を行うためには複数の医師やスタッフのほか、設備の充実といった点が課題として挙げられます。
おわりに
本記事では、訪問診療サービスを提供するクリニックを開業する際のポイントを解説しました。
訪問診療は高齢者や足の不自由な方のように、クリニックを訪問できない方を対象にした診療です。
また、近年では流行病などの影響により、訪問診療を希望する方が増加傾向にあります。
訪問診療を検討している医院では、スタッフや設備を充実させる必要がある点に注意しましょう。

株式会社ユヤマ

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